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ビジネスパーソンのための交渉術④

こんにちは、ビジネスエッセイを発信している松永隆です。
本記事は、拙著『ビジネスパーソンのための超実践的交渉術 日本人の交渉のやり方』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、編集したものです。

■交渉相手の分析

交渉に先立ち交渉相手先についてできるだけ多くの情報を複眼的に収集し、把握しておくことは必須事項です。情報収集、事実関係の把握は以下のような項目について行うといいでしょう。

①交渉相手先と自社との関係

端的にどちらがお客様なのかということが大きなファクターです。

特に日本では常にお客様が立場的に強く、尊重されるべきという傾向が諸外国に比べて強いように思います。

いわゆる「お客様は神様です」というメンタリティーです。諸外国でも顧客主義ということが言われるようになってきてはいますが、その絶対性は日本ほど強くありません。

いろいろな国の状況を俯瞰すると「お客=神様」と「完全に対等」の中間点あたりに落ち着く国が多いのではないかと思います。

それでもどちらがサービスを提供する側なのか、受ける側なのかということは意識して交渉に当たる必要があるでしょう。

但し、過度に日本的な「お客=神様」という考えに縛られすぎると国際交渉の場で先方に遠慮しすぎてつけ込まれてしまうことがあるので注意が必要です。

②交渉相手先企業/団体の、事業内容、歴史、社風

先方が取引実績があるお馴染みの企業、団体であるならばいいですが、あまり馴染みがない企業、団体と初めて取引をする場合は先方の全体的な事業内容や沿革、さらにはわかる範囲で社風などの情報を得ておいた方が無難です。

交渉の過程でのヒントになる可能性があります。

③業界内のシェア

業界の中でのシェアあるいはランクぐらいは確認しておくべきです。

それによって相手の交渉姿勢に違いが出てくるものなので、押さえておくべきでしょう。

④業界内の評判

②の社風にも通じるところですが、これも交渉過程でのヒントになる可能性があります。

⑤財務状態

その企業、団体の財政規模、ここ数年の損益の状態、内部留保の金額もわかる範囲で把握しましょう。

上場企業の場合は簡単にわかりますが、上場していない場合でも調べればある程度のことは推定できるはずです。

交渉においては相手にどの程度の財政的な余裕があるのかないのかを把握することで、譲歩し過ぎたり、逆に強引に行き過ぎて交渉を決裂させるなどを防げるものです。

⑥意思決定者

前段で触れたように先方の実質的な意思決定者が誰になるのかは重要なファクター です。

またその人物の人となり、社内で置かれている立場もきちんと把握する必要があります。交渉前にどうしても情報がない場合は、交渉の過程で意識して聞き出していきましょう。交渉の初期段階で顔合わせができればそれに越したことはありません。

⑦交渉担当者

先方の交渉担当者の人となり、意思決定者との関係性、どの範囲までの権限を任されていそうなのかもわかる範囲で把握しておきたいところです。

また、その人物が社内で置かれている立場、性格、心理状態もある程度把握できれば、交渉の過程で相手の反応を予想するのに役立つものです。

これも交渉前に情報が足りない場合は、交渉の過程で意識して聞き出していきましょう。

以上ですが、右記のような情報を交渉前にすべて把握するのは難しいかもしれません。

そういう場合は足りていない情報を整理しておき、交渉の初期段階で聞き出していくか、第三者から情報収集しておくのをお勧めします。

交渉が難しくなってきたときに突破口となるヒントは大体このような情報の中に潜んでいるものだからです。

私が見てきた限りでは、この事前の情報収集が不十分で交渉に入ってしまい、その後も相手から聞き出そうともしていない人が多いように思います。

その結果交渉が暗礁に乗り上げた時にどうしていいのかわからなくなるのです。最悪交渉は決裂してしまいます。

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