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材料開発に量子アニーリングを活用。従来の手法よりも、17.2倍の効率化に成功。


量子アニーリングをはじめとする、先端技術の社会実装を手掛けるシグマアイ。今回の記事は、広報担当の佐藤がお届けします。IPA 情報処理推進機構が主催する、「量子コンピューティング技術シンポジウム2023」の登壇内容のサマリーをお送りします。三井化学様と共同で行っている、「材料開発における量子アニーリング技術の実証研究」について、弊社の羽場が講演をいたしました内容について、ご報告いたします。

配合する成分のパターンを量子アニーリングで算出。ランダムサンプリングの17.2倍の効率化を図った

本プロジェクトでは、材料開発において、主に「成分の組合せの絞り込み」の工程に、量子アニーリングを適用。複数の成分を組合せて、求められる新たな物質をつくる際には、どのような配合が考えられるのか。その組合せのパターンを量子アニーリングで算出したところ、従来のランダムに組合せる手法に比べて、17.2倍の効率化を図ることができたとのことでした。

材料開発の中でも、「原料組成の探索」にフォーカス

そもそも、量子アニーリング技術は、「組合せ最適化」に特化した計算手法です。
今回は、カナダのD-Wave Systems 社製のマシンを活用しました。材料開発の様々なカテゴリーの中で、「原料組成の探索」にフォーカス。開発目標を実現するための「成分の配合比率」を求めることがゴールです。機械学習やその他データ分析手法を駆使して、開発目標に対応するような質の高い原料組成をいかに速く絞り込むことができるのか。その点がポイントになりました。

古典&量子のハイブリッドフレームワークを構築

ただし、全ての計算を量子アニーリングで行うのは難しいので、古典コンピュータが得意な計算と、量子アニーリングがポテンシャルを発揮できる計算に分けて、シミュレーションを行いました。ハイブリッドなフレームワークを構築することで、高いパフォーマンスを上げることができたのが、このプロジェクトの大きな成果です。

量子アニーリングが得意としている「成分の組合せ」に特化し、古典コンピュータと併用することで、ランダムサンプリングによる組合せ提案と比較して探索効率が17.2倍に向上。さらに探索効率のみならず、多様性の高い組合せを算出できる、D-Waveマシンの特性を活かすことができたと担当者は主張しています。

材料探索における、量子アニーリングの最先端の活用事例をお送りいたしました。シグマアイとしては、今後も先端技術の社会実装を進めていきます。新たな取り組みは、引き続き、レポートしていきます。



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