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やみつき注意!Iシリーズ65mm F2 DG DN | Contemporary

SIGMA社員が独断と偏見でSIGMA製品への思いを語るコーナーです。
9/9に新しい機種も発表されたIシリーズ。
その中から今回は初登場のマーケティング担当が 65mm F2 DG DN | Contemporaryを試してみました。

今日の当番|SL

こんにちは、SIGMA広報部のSLです。

私は、デザインを学ぶため台湾から日本に留学して来ました。卒業後、縁あってSIGMAに入社します。ちょうどそのころは「SIGMA GLOBAL VISION」というSIGMAのリブランディング時期だったので、そのグローバル展開に従事しました。
その後、ブランドビジュアルコミュニケーションを勉強するためロンドン芸術大学に留学し、帰国してからはずっと現職です。写真やクリエイティブワークを愛していて、公私問わず手掛けています。現在SIGMA製品のインプレッションのディレクションやインスタグラムの運営を担当しています。デザインとコミュニケーションの力で世界中の写真愛好者やクリエイターたちとアイデアを交換しながら、SIGMAのパーソナリティと良さを世界に発信する刺激的な日々を送っています。


去年12月、SIGMAはIシリーズという新しいレンズシリーズを発表。さらに今月9日に新しい2本のレンズ24mm F2 DG DN | Contemporary90mm F2.8 DG DN | Contemporaryを発表したため、Iシリーズは現在全6製品となっています。今回はそんな“プレミアムコンパクトプライム” Iシリーズのうち、昨年12月18日に発売された65mm F2 DG DN | Contemporaryをご紹介します。


Iシリーズとは

「Iシリーズ」は、デザイン性と光学性能を両立させるフルサイズミラーレス専用のレンズラインアップです。

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なぜ「I」をつけるの?どんな意味があるの?といった質問は発表してから絶えません。ユーザーさんは多分永遠に、メーカーの製品シリーズにつく英文字に対して興味を持って、解釈を求めますね。どのメーカーでもどのような解釈が最適かという悩みはつづくと思います(笑)

しかーし! SIGMAのこの「I」には、ちょっと深くて面白い設定がされていますよ! 簡単に言うと、「I」は直訳すると「私」ですね? ただそれだけでなく、「I」からは色々な単語の展開もできます。例えば「Identity」(個性)、「Iconic」(象徴的)、「Instinctive」(直感的)、「Idea」(発想)、「Inspiration」(刺激)など、一つの意味に縛られたくないという望みも込められています。その意図を感じていただき、ご自身らしい「I」のキーワードを見つけてもらえればこれ以上嬉しいことはないですね。

ちなみに、「自信を持って選んだものから、さらに自分らしい独自の自信を持てるようになる」のがIシリーズに対する私自身の解釈です。


さて、このシリーズの傘下には現在6つのレンズがあります:

24mm F2 DG DN | Contemporary (NEW 9/24発売予定)
90mm F2.8 DG DN | Contemporary (NEW 9/24発売予定)
24mm F3.5 DG DN | Contemporary
35mm F2 DG DN | Contemporary
45mm F2.8 DG DN | Contemporary
65mm F2 DG DN | Contemporary

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Iシリーズの6本はどれも性能からボディ自体のクオリティまで、 手離したくないほど素晴らしい仕上がりになっています。

今回はその中でも個人的に惚れ込んだ65mmをご紹介します。

なぜ65mm?

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65mmのイメージは、標準レンズの定番50mmと中望遠の定番85mmの間の焦点距離ですが、位置づけはちょっと曖昧だと思われるかもしれません。50mmは人間の視野角にもっとも近い、いわゆる標準の画角と言われますが、被写体を目立たせたい場合に85mmと比べると物足りなく感じることもあります。85mmならこの目的は簡単に果たしてくれますが、被写体から一定の距離を保たないと画面に圧迫感を与えるので、室内撮影や狭い距離での撮影では行動範囲が制限されると感じますね。

何かソリューションがないかを考えてみると、スチル撮影で50mmと85mmの間で良く知られている焦点距離では70mmがありますが、シネマ撮影では65mmもよく採用される焦点距離ですね。また、65mmは往年の写真愛好家からも定評がありますが、一般のユーザーにとって珍しい焦点距離なので、この焦点距離を起用する弊社は結構大胆ではないかと思います。

「65mmで何を撮れば良いの?」。正直、私も最初は本当にそう思いました。

それまで私の散策用機材の定番は45mm F2.8 DG DN | Contemporary + SIGMA fpでした。理由は簡単です、このコンビネーションは一番コンパクトで、焦点距離も撮りやすいからです。

Iシリーズはコンパクトネスと光学性能を両立させるミラーレス専用レンズなので、基本的に一眼レフ用レンズより軽く、SIGMA fpシリーズに付けるとバランスはバッチリですね。ただし、シリーズの中で比べると、65mm F2 DG DN | Contemporaryは最大径φ72mm、長さ74.7mm、重量は405gで、一番軽い45mm F2.8 DG DN | Contemporaryと比べると長さと重さはほぼ二倍になります。そのため、65mmが発売してしばらくは、「まぁ、せいぜい数枚を撮ったら棚に放置するだろうな」と思って、全然手を出す気はなかったんです。

告白! 私の大間違い!

ある日、映画を見ながら記憶の片隅にあるこの65mm F2を思い出しました。なぜシネマ業界でポピュラーな焦点距離か、その理由も知りたいと思って、SIGMA fpに65mm F2 DG DN | Contemporaryをつけて試してみました。

晴れた日に出かけて、65mmと近所で散歩しながらカメラを覗いて唖然としました。これは、全然想像を超えていて、私のいままでの理解は大間違いでした!

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普段見慣れた景色が一瞬でクリアになり、雑多なものが整理されて全てが目新しい風景になったのです。 65mmという画角を通すことで、平凡なものの見え方さえも簡単に変えられます。これで創作意欲が刺激されましたが、65mmと散歩したことで普段駅まで徒歩10分のルートは30分になってしまいました(笑) なんだか予想外の宝物を手に入れたように嬉しかったです!

嘘なし!雑誌風写真は手軽に撮れますよ!(自画自賛)


現実からちょっと離脱する世界は魅力的

大学時代に友人とある雑誌を創刊して、その時からエディトリアルとグラフィックデザインに興味を持ち始めました。雑誌には大量の写真が求められますが、予算がなくてプロには頼めなかったんです。一眼レフを持つ知り合いにも毎回は依頼しづらくて、コミュニケーションの負担も大きいので、思い切ってデジタル一眼レフとレンズを買って自分がほしいカットを撮り始めました。雑誌は続けられませんでしたが、写真は人生の趣味になりました。ちなみに、当時はカメラについて何も分からなかった初心者の私、最初に推奨されて購入したレンズはSIGMA 17-50mm F2.8 EX DC OS HSMでした。いま振り返ると、運命を感じますね(笑)

その時、写真を啓蒙してくれる友人はこう言ってくれました:「絵を描く者は写真に近い絵を描く傾向がある(リアリズム)。写真を撮る者は絵に近い写真を撮る傾向がある(ピクトリアリスム)」。

この言葉がいまでも私に影響を与えています。そのため、私にとって写真を撮ることは、ドキュメンタリー的な意味合いよりも、より自分自身やものごとの隠された側面を引き出し、違う「美」を吟味させてくれるものといえるんですね。

私にとって、65mmはリアリティを超越し、私たちが認知する世界を再構築する手助けをしてくれる存在になりました。また一方で、現実的な制約の中で遊ぶことの楽しさをも感じさせてくれるレンズです。

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65mmは50mmのような「近いようで近くない、遠いようで遠くない」という感じがなく、85mmの「もう少し後退するスペースがほしい」という感じもしないです。被写体を際立たせてくれるボケ味は柔らかいですが、クリーミーすぎて被写体と背景を一部融合させてしまうということはなく、かといって主客をくっきりと分離させてしまうようなシャープネスでもなく、すごく気持ちの良い描写です。

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日常生活で見慣れた物事に対する見方というのはかなり固まってしまっているものですが、65mmは現実の文脈を捉えながら、リアルから少し距離をとることに熱中させてくれます。

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気づきましたか?この写真の描写は映画に近くはないでしょうか?
これが65mmがシネマ業界で愛される理由だと思いました。私たちが映画を好きな理由も、まさにこの「現実に基づいて想像と感情を自由にさせること」ですよね!

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さらに、コロナの影響で家にいる時間が増えて、身近な人やものを撮ることも習慣になりました。家族の写真を撮りたいとき、最短撮影距離55cm以上の距離を保てば圧迫感を与えることなく、寄りすぎる不快感も与えないですね。それによって、自然な動きと表情が撮れます。

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物撮りなら最短撮影距離55cmだと近接撮影は難しいですが、こんなジュエリー写真には向いてますよ! 「期待外れ」はないです!

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お試しは慎重に

Iシリーズの中では最も大きくて重い65mm F2 DG DN | Contemporaryですが、ユニークな65mmという焦点距離、F2の明るさと高い光学性能、ミラーレスシステムにぴったりなサイズ感、その全てがバランスよくまとめられていて、快適な撮影体験ができます。

学生時代には大三元レンズをスーツケースに入れて旅行した私も、年を取ってくるとだんだん重荷に感じてきます。光学機材の進歩のおかげでSIGMA fpとIシリーズのような光学性能とコンパクトさを両立してくれる機材が世の中に現れ、カメラを持ち歩いて出かける抵抗感を解消してくれました。

さらに嬉しいのは、Iシリーズの総金属製のレンズボディ、これが見た目が美しいだけでなく各操作部の感触や音まで癖になるほどの高いこだわりを持って作られていることです。撮影する瞬間だけでなく、持っているだけで嬉しい気持ちになります。ぜひお好きな服を着用して、Iシリーズレンズを鞄として肩にかけて出かけてみてください。写真を楽しむこととスタイルアップの両立に、驚くかもしれません。きっとやみつきになって手離せなくなるかもしれませんよ!
そういった意味でも、お試しは慎重にしてくださいね。

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このレンズが向いている人

メリット
1.雑誌風、映画風の写真が手軽に撮影できる!
2.当社Artラインレンズに負けない画質!
3.スタイリッシュなガジェットが好きな人から羨望の眼差しを受けられる!

デメリット
1.小さな鞄に入れるのはちょっと難しい
2.やみつきになる

こんなあなたにおすすめします:
1. いわゆる標準とよばれる以外の新鮮な焦点距離を楽しみたい方
2. お互いの写真を撮る家族や友達同士
3. 少し離れて遊べるようになったお子さんを持つ親御さん

もうひとつあります! 今回は登場しませんでしたが、Iシリーズを語る上で外せないのは専用のマグネット式メタルキャップです。65mm F2 DG DN | Contemporaryにも標準で付属しています。ソリッドな見た目ですが、レンズと触れる面にはビロードのような柔らかい布が貼ってあり、着脱の感触もとっても良いのです。同じく専用のキャップホルダーはオンラインショップ限定で発売しています。

見た目は少し硬派に見えますが、女性が使っても全然違和感なくオシャレです。実用性はもちろん抜群で、おすすめです。

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ホルダーの装着イメージはポーリン・シャダン氏によるインプレッション「私が大切にしているのは、インスピレーションをイメージに昇華させること。」より引用。こちらの記事もぜひご覧ください。


今回使用した機材




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