小さく刻む問題づくり

 50分の授業の中で学習者が自分の力で考える時間をつくりたい。学習者が前向きになるような工夫をしたい。毎回の授業で考える積み重ねをすることで、考える力をつけさせたい。
 どんな科目であっても、小さな問題(課題)-それは小テストともいえないような、1問、2問のごく小さなもの-を作り置きすることで、学習者考えるしかけ、前向きになるしかけをつくれるようような気がします。

個人的に、問題(発問)を3種類に分けています。

1 知識をためす、たしかめる問題(知識重視)
「○○という言葉を説明してください。」

 その分野で重要となる語句については、何度も復習をしてそれを学習者に理解してほしいと思っています。ひとつの言葉の意味を理解するに至るには、はじめに学習者にその言葉について説明をします。次にその説明を素読のように、意味が分からなくとも、読み込ませたり、書き込ませるような、地道な取り組みを行います。
 例えば、授業のはじめか終わりで、重要となる言葉についての解説を学習者に求めます。解説の方法は、ノートへの書き込み、口頭発表、教科書の読み取り、さまざまなものが考えられます。参加者全員が解説ができるよう指示をします。学習者が取り組むように、回答への評価をして、動機付けを行います。
 一つの単元で、それを何度も繰り返します。解説ができない者がいれば、それをそのままにしないように、何度も反復させます。
 知識を得て、自分の言葉で表現するためには、スポーツのような反復練習が必要だと思うのです。

2 知識をもとに表やグラフ、事象を読み取る問題(技能/思考・判断・表現重視)

「この事象から、どのようなことが考えられますか?」
「このグラフから、どのようなことが分かりますか?」

 授業の展開部分で、その知識を活用できるような発問を提示します。学んだ知識をどういったかたちで表やグラフ、事象に融合させるのかが求められます。一つの知識を、ほかの知識や事象につなげさせるための発問です。考える力が必要になってきます。

3 知識をもとに、自分の考えや思いを表現する問題
  (思考・判断・表現/興味・関心・態度)

「このニュース、どう思いますか?」
「日常生活の中の、○○に関するエピソードを教えてください。」

 ひとつの単元について学ぶ前か後(あるいは前後)で、あるトピックを用意して、それに関する学習者の意見や感想をノートに書かせます。3行感想文のようなものです。感想の中身は特段制限せず、ネガティブなことを書いていても悪くとらえません。ただ、考えをアウトプットすることができれば、それだけで○です。(あるいは、倫理的によろしくないことを書いている者がいれば、なにかしらのしかけが必要かもしれない。)
 単元のはじめと終わりでは、学習者のものの見方や知識に変容が起こります。時間の経過も加わり、学習者の身の回りで起こることも移り変わっていきます。ですので同じ質問を、単元のはじめと終わりに投げかけたとしても、まったく別の答えが返ってくるでしょう。(単元のはじめと終わりに、試したことはありませんが、きっとそうだろう。今後やってみたいしかけ。)その前後の学習者の考えをうかがい知ることで、単元の知識ががどのように学習者へ届いたのかを、うかがい知ることができるのではないでしょうか。

最近、授業では大きいことはやらず、小さな問題や小さな工夫を積み重ねるようにしています。力を抜いて、持続可能な授業づくりをやることで、少しずつ自分の教え方を良くしていきたいと思っています。おわり。

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