作文(レポート)の書き方

 作文が上手な人は、伝える力を持っている。言葉の意味や重さを知っている。もし学校の中で、作文の力をつけることができたなら、その力は人とのコミュニケーションや仕事で役立つだろう。
 作文の上達のためには、学習者が書いたものを添削し、再度書き直させ、添削し…の繰り返しが大切である。言葉の浅はかさ、誤った文章表現が、赤ペンによって明らかにされていく。その誤りに気付き、改善していくことで、文章表現の力が確立される。地道な取り組みだ。学習者と添削者の1対1のやり取り、お互いに長い時間をそれに捧げることになる。
 作文をただ返すだけでなく、助言を交えながら…となるとなおさら時間が費やされる。(時間はかかる。しかし作文が苦手な者には、聴覚的な助言と、書くための動機付けを与えるために、助言を与えたい。)

 もっと他に良い方法がないだろうか?良い、というのは、クラス内で同じテーマの作文やレポートを書き上げるとき、学習者全員が自分の作文の改善点に気づき、前向きに作文に取り組めるような…そんな方法。

 ディスプレーを使って、一人の作文を提示し、その作文を書いた生徒と対話をしながら改善点を示していくのはどうだろうか。

①作文のテーマになる体験学習を実施する。

②作文課題を提示する。この時、作文を書く上でのレポートを簡単に説明する。

③作文課題が提出されたら、ひとりひとり添削する。
 添削した作文はスキャンにかけて、電子黒板で表示できるようにする。作文の中から、全体のフィードバックにつながるような良い改善点を持っているものをピックアップしておく。
(「感想をもっと膨らませて部分だなあ…」とか「今後の生活に生かしていく、と書いているんだけど、これは具体的にどういったことだろうか?」とか、読んでいて気になる部分がたくさんある作文をピックアップする。また、全体の参考となる作文にするため、仕上がりが良いものを選ぶ。)

④授業の1時間を使って「作文の書き方講習」を行う。
 その時間のはじめに添削した作文を返し、全体への講評を行う。そのうえで、③でピックアップした作文を電子黒板で表示し、良い点と改善を要する点、気になる点を挙げていく。このとき、作文を書いた学習者に対して「この部分は何を書きたかったのか?」「この言葉はどういう意味か?」「ここに『魚を釣りました』と書いているが、この魚は何という魚か?それをその後どうしたのか?もう少し具体的に教えてほしい。」といった質問をする。質問に対しては、肯定的なアドバイスや受容を見せる。

⑤まとめとして、全体に共通する改善点を再度提示する。このとき、添削した作文を例にする。

 学習者とのコミュニケーションがなければ成立しない。恥ずかしがり屋の人、自信がない人だったら、うまく答えてくれないかもしれない。殺伐として雰囲気になってしまっては、単にその人をさらし首にするような時間になる。
 だけどうまくいけば、短時間で周りの生徒をやる気にさせるような、そして作文のフィードバックができるような、そんな授業になる気がする。気持ちよく評価すれば、参考例になる学習者も厭な気持ちはしないだろうし。

仙台の文学塾に参加して、講師との対話が多い場面を見てそう思いました。おわり。

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