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PERFECT DAYS

見てきた。
感じたり思ったことを箇条書きにする。
当然、ネタバレもあるので、知りたくない人はこの先は読まないで。

<ネタバレ>については、自分の考えていることを別記事に書いてあるので、そちらも読んでもらえると、うれしい。



さて、PERFECT DAYSについて
オープニングの東京の朝焼けが良い。
箒の音で目覚めるヒラヤマさんだが、彼が自販機でコーヒーを買うゴトンの音で目覚める人もいるんだろうなと思ったり。
トイレで泣いていた男の子を母親が抱きしめて、除菌ティッシュで手を拭うシーンはヒラヤマさんの職業を意識させるが、そのすぐ後で男の子がヒラヤマさんに手を振る。
この一連の流れが良いなぁ(「せかいのおきく」に足りないシーン)。
タバコにむせる二人の中年(いや初老か?)の男、ものすごく良い。
柄本くんは相変わらず柄本くんで良いなぁ。
耳好きなデラちゃん(?)とのエピソードも、柄本くんがいなかった時のデラちゃんもなんかよくて、でもそれ以上は追っかけないカメラも良い。
そこがPERFECT DAYS的だと思うわけ。
トイレの○×ゲーム、この感じすごくよくわかる。
高校生の頃に、机に手紙を書いとくと誰かが返事を書いてくれる。
しばらく机の上の文通が続いたことがある。
東京の公衆トイレまわりをするとおもしろそうだ。
ラスト役所さんの顔のアップ、うまいなぁ。
彼の前を通り過ぎてきた人たちが目に浮かぶ。
もう、すべてを語ってる。
説明の少ないところも良かった。
ヒラヤマさんの事情も想像させるだけで、そこは描かない。
こうでなくっちゃ。
そして、ヒラヤマさんは、父親とは会わないのだろうなと思わせるヒラヤマさん。
「今度は今度、今は今」
ヒラヤマさんのフラットさがとても良い。
そうそう、最初の首都高のシーンはタルコフスキーのなんとかという映画(調べてみたら「惑星ソラリス」だった)をイメージさせた(でも、見たことないんだよね)。
そして、なぜだかロスト イン トランスレーションを見たくなったりする。ヴェンダースの描く東京は、どこをとっても懐かしい。
そこに東京スカイツリーが映っていたとしても。
ヒラヤマさんが更地になってしまった土地を見て唖然とするところ(なにかこのエピソードに繋がるカットってあったかな?忘れてしまった)。
これは自分でもよく経験する出来事で、更地になってしまった景色を一度見ると以前の景色を思い出せなかったり、その更地になってしまった土地になにか建物が建ってしまうとすぐに馴染んでしまって、以前の景色を忘れてしまう。
ヒラヤマさんの表情を見てると、その景色の記憶が消えていくことを悲しくも諦めているようにも見えて、ふと、ヒラヤマさんだけが変わらないんだろうかと思ったりする。
姪の女の子も大きくなって変わり、彼女にあげたフィルムカメラのことも忘れたり、ヒラヤマさんだけが変わらずそこにいる。
カセットテープの頃から変わってないんだろうか。

そうそう、今日は映画が始まるまでの間、文庫本を読んでいた。
ヒラヤマさんみたいでしょ?

それから、木漏れ日。
平山さんが撮っていたのは木漏れ日だったのか。
自分は木漏れ日と聞くと、最初にその影をみてしまう。

総じて、ヒラヤマさんが無口なのがとても良い。
それはつまり、説明をしないってことで、そういえば、北野武の「あの夏、いちばん静かな海」も見てみたい。

映画を見ている間は、とても幸福感に満ちた時間だった。
もう、満足満足。
見たいと思う映画を見れた。

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