個人事業主が使える公的融資制度はどれ?開業準備に便利な制度を紹介!

個人事業主の方で、「事業資金を借りたいがどこに相談すれば良いのか分からない」と悩んでいるケースは少なくないでしょう。

法人は経理を担当する専門の部署があったり、法律に詳しい専門家をパートナーに持っていることも多いですが、個人事業主はほとんどの手続きをひとりで行わなければなりません。

運転資金を確保することは、新たなビジネス展開を行ったり、事業を下支えして立ち直るための大切な仕事のひとつです。

そこで今回は、個人事業主が借りられる公的融資制度について詳しく解説していきます。

公的融資とは


国や自治体など、公的機関が主体になって行う融資を「公的融資」と言います。

国民の生活を支えるセーフティーネットの役割を果たし、民間の「サラ金」と言われる消費者金融などと比べて、低い金利で借りられることが多いです。

企業や個人事業主は国民の雇用を生み出す国の原動力となるため、公的機関は基本的に融資に前向きです。

個人事業主が利用できる代表的な公的融資制度


それでは、具体的に公的融資制度にはどんなものがあるのか見ていきましょう。

新創業融資制度

新創業融資制度は、日本政策金融公庫の融資サービスのひとつです。

開業して間もなかったり今後起業したいと考える個人事業主が、当面の運転資金や開業準備資金、設備投資などに使えるお金を最大3,000万円(運転資金は上限1,500万円)まで借りられます。

「無担保、無保証」なので、差し入れる担保や保証人の用意ができない人でも安心です。

以下の記事でも紹介していますので、参考にしてください。

参照:日本政策金融公庫『新創業融資制度』

新規開業資金

新規開業資金も、日本政策金融公庫が管理しているサービスです。

開業を予定している、または開業から7年以内の個人事業主が、設備投資や運転資金として7,200万円(運転資金は上限4,800万円)までの融資を受けられます。

担保や保証人は要相談となりますが、Uターンして地方で開業する場合など、地方経済を盛り上げるための一定の条件を満たすと利率が優遇されることもあります。

参照:日本政策金融公庫『新規開業資金』

マル経融資制度

商工会議所や商工会などの経営指導を受けていて、経営改善のために融資が必要な場合、無担保・無保証人で利用できる制度です。

2,000万円までを限度に運転資金や設備投資として利用できる、日本政策金融公庫が管轄するサービスです。

担保や保証人は不要ですが、商工会議所会頭や商工会会長などの推薦が必要になります。

運転資金が1年、設備投資が2年と据え置き期間が長く、ある程度目処が立ってから返済を開始できるというメリットがあります。

参照:日本政策金融公庫『マル経融資(小規模事業者経営改善資金)』

フラット35(住宅ローン)

フラット35は住宅ローンの貸付を行うサービスで、住宅金融支援機構が管理しています。

保証人不要で、借り入れの時点で金利が確定するため、支払い金額が変動せず安心です。

もし返済中に何らかの事情で計画通りの返済ができなくなったときは、サポートに変更の相談を行うことも可能です。

繰り上げ返済が10万円からしかできないという点は少しハードルが高いものの、公的機関でサポートも手厚いことを考えると、使いやすい融資制度といえます。

参照:住宅金融支援機構『フラット35』

個人事業主が公的融資制度を利用するメリット


ここでは、公的融資支援制度を利用する3つのメリットについて紹介していきます。

金利が民間の融資に比べて低い

民間企業の融資は利息制限法で金利に上限が設けられていますが、100万円以上借り入れをしたときは最大15%なので、月1万円の返済でも元本が減らないということになりかねません。

その点、公的融資は金利が低率なので、返済のときに金利が重くのしかかっていつまでも元本が減らないということが無くなります。

返済の据置期間がある

借り入れを行って翌月からすぐに返済が始まると、生活や事業が安定しないうちに返済に追われて負担がますます重く感じられてしまうこともあるでしょう。

公的融資は返済開始までにある程度の猶予期間が設けられている場合が多いので、落ち着いてからゆっくり借りたお金を返し始めることができます。

借り入れ期間が長い

公的機関の融資は、長いものでは20年程度をかけて返済していくものもあります。

1ヶ月あたりの負担が少なくて済むので、途中で返済計画が破綻する心配も少ないでしょう。

個人事業主が公的融資制度を利用する際の注意点


審査のハードルが高い

民間企業の融資に比べると、審査が厳しい傾向にあるようです。

国の経済に寄与するかどうかという点に注目して審査するので、なかなか通過しにくい融資制度も少なくありません。

必要書類を揃える手間がかかる

公的融資の申請に必要な書類はとにかく種類が多く、集めるのに手間と時間がかかります。

申請の際は、少しずつ計画的に準備しなければならないでしょう。

審査完了までに時間がかかる

早いと即日から数日程度で融資が完了する民間企業に比べて、審査が完了するまでに長いと1ヶ月近くかかる場合もあるようです。

そのため、すぐにお金を手元に用意したいという方にはあまり向かないかもしれません。

まとめ


ここまで、個人事業主が利用できる公的融資制度について紹介してきました。

公的融資は金利が低いものも多く、返済の据え置き期間が長く設定されているので、無理なく返済することができます。

今後の事業の見通しがしっかり立っており、計画的に運転資金を借りたいときは、ぜひ利用を検討してみてください。

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