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【第13話とアニメ総括】幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR- をこんな風に考えながら楽しみました

2023年6月~9月まで放送された、アニメ「幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-」。

第1話から「感想とまとめ」と題して振り返ってきました。
今回は最終回を語ります。

また、アニメを全話観た感想も「総括」として書いてみました。
アニメについての率直な感想から、ネット上での評判についても語ってみました。

最後に、先日参加したライブイベント「幻日のヨハネ The Story of The Sound of Heart」についても少しだけお話します。

かなりのボリュームになってしまいましたが、最後までお楽しみいただけると嬉しいです。
気になる項目があったら、目次から飛んでいただければと思います。

さて、12話ではヌマヅの異変が猛威を振るう中、ヨハネとライラプスの関係についてすべてが語られました。
ライラプスとヨハネがおしゃべりできていたのは、ライラプスに魔法を書けたのではなく、ヨハネの「心の声」がライラプスの声として聞こえていたのでした。

その存在は、自身を映す鏡。
仲間との交流を通じて成長したヨハネはライラプスとひとつになり、これからの道を進んでいく決心をしたのでした。

第13話 そして今日も


世界は心に満ちていた。

換気や悲哀、祝福や憎悪。
心の音が響き合い、一つの大きな旋律になり、世界には歌声があふれていた。

時は移ろい、流れに淀みが生じた。
大地の悲鳴は空をも切り裂き、天の叫びは山をも砕いた。
黒い淀みは、常ならぬ「異変」をもたらした。

心の音を歌とし、世界を歌声で満たす者がいる。
その歌は多くの心と響き合い、世界を再び動かすことだろう。


ヌマヅの空を覆い隠す、大きな闇。
樹木が変異し、その姿を変えてしまったのだ。

木の根がヌマヅ全体を覆い、紫色の澱みに包まれる。
その中心には、核のような物体が見て取れる。

鉄道輸送にも限界があり、道も大混雑。
全ての人を避難させるのは困難。
残った人々は頑丈な建物に避難せざるを得ない状況となった。

港の大きな水門。
ヨウが救援物資を届けにきた。
子供たちも運ぶのを手伝う。

カナンも遅れて物資を運んできた。
「あれ?トノサマは?」
カナンの顔が曇る。「それが…」

大量の物資を運ぶためには、トノサマの力が必要。
カナンと共に準備をして、いざ出発というタイミングでトノサマの様子が一変。
話す言葉が支離滅裂となり、遂には勝手にシャットダウンしてしまった。

どうやっても動かない様子で、仕方なく雨風をしのぐ大きな頬かぶりを被せ、カナンだけ駆けつけたのだった。

ダイヤのバイクもエラー表示が出て全く動かない。
異変の力によって、街の機械が使い物にならない状況にまで追いやられてしまった。

暗い表情で肩を落とすカナン。
「でも今は立ち止まってる場合じゃない。どうせ私が治すんだから」
そう言って笑顔を作って見せた。
もうひとりの彼女を含めても、カナンのこんな表情は見たことがない。

リコの研究所にも何人か避難していた。
窓際でずっと「音」を聞き続けるマリ。

しかし無理がたたってその場にうずくまってしまう。
心配して声をかけるリコ。

「伝承の通りなのに…もっとはっきりとしたことがわかっていれば…」

ワーシマー島にも闇が迫る。
「お父様…私は役目を果たせないかもしれません…」

トチマン旅館にも近所の住民が避難していた。
不安そうな表情の人々を元気づけようと、チカが声をかけて回る。

「いつかまた、お外で遊べるようになる?」
どこかで見たようなぬいぐるみを抱いた少女が、ハナマルの裾を引いて尋ねた。
「もちろん。みんなで楽しく暮らせるようになるずら」
少女を元気づようとするハナマル。

「それに、この街にはみんなを笑顔にできるスターがいるんだよ」

しかし、ハナマルも心配そうな表情を浮かべた。
「ヨハネちゃん…」


行政局の情報管理室では、街中の監視カメラでヨハネの姿を追っていた。
「長官!ヨハネさんを見つけました!」

コハクが声を上げたその時、部屋に衝撃が。
電源がストップし、緊急事態のアラームが鳴る。
行政局の一部も損壊を受け、闇が憑依した動物が侵入してくる恐れがある。

フロアに避難している住民を上階へ避難させるよう指示するコハク。
ルビィも誘導を手伝うために駆け出した。

しかし、その場に立ち尽くすダイヤ。
パワードスーツも、バイクも使えず、何の手立てを打つこともできない。
頬を涙が伝う。

「私には…もう何も…」
「しっかりしてください長官!」

失意の表情を浮かべるダイヤの肩を掴む。

「ダイヤ!あなたはこの街の執務長官でしょう?」

コハクの強い言葉に我を取り戻したダイヤ。
「失礼しました。らしくありませんでしたわ」


ヨハネとライラプスは海辺に佇んでいた。
「この街には何もない…そう思ってた。でも、全部あったんだね」

杖に刻まれたエンブレムをなぞると、静かに光りだした。
「みんな…」
杖に向かって語りかけると、メンバー全員に伝わった。

エンブレムが刻まれたメンバーには、ヨハネの声が聞こえる。

「私、歌いたいって気持ちに嘘をついてた。私が歌わなきゃって、そう思わなきゃダメなんだと思ってた。
でも違った。ちゃんと思い出した。この街が、みんなが、ライラプスが思い出させてくれた」

ヨハネの声に導かれるように、メンバーたちが走る。

「私の歌で、みんなを、この街を守りたい!
 みんな、もう一度だけ、私に力を貸してほしい」


「ヨハネちゃん!」
8人がヨハネの目の前に集まった。

「もちろんだよ」
「いつだって力になる」
「力仕事だったら、任せてよ」
「一人じゃないって教えてくれたのは、ヨハネちゃんなんだからね」
「ヌマヅに響かせましょう」
「この街のみんなの音を!」
「ヨハネの魔法は絶対みんなに届くよ」
「だって私たちは、友達なんだから!」

「みんな…ありがとう…」


ライラプスが頷く。
ヌマヅの人々を守るために、ヨハネが歌い出す…。

ラララ ラララ 心に咲いた…

杖を掲げると、その光がヌマヅを覆う木の中心、核のような場所へ届く。
ヨハネが歌い出すと、メンバーも呼応する。

ヨハネが放った光は街を覆う闇の上空に巨大なステージが現れ、9人を誘った。
ステージにはメンバーカラーの光の柱が次々に現れ、そこに白を基調とした色鮮やかな衣装に身を包んだ9人が立つ。

そこでパフォーマンスするのは、爽やかなメロディの王道ポップス「La la 勇気のうた」。

3人ずつに分かれたフォーメーションもAqoursらしいパフォーマンス。
響き渡る渾身の歌声に、遂に闇が晴れて青空が広がった!
カラフルな音符が飛び交い、虹が交差する。
眩いばかりの光溢れるステージ。

しかし、ヌマヅを覆う大きな闇の木がその輝きに拒否反応を示したのか、再び雷が落ち、闇に包まれてしまった。
メンバーも地上に落とされてしまう。

しかし、ヨハネの姿がない。
ヨハネだけ闇に飲み込まれ、幽閉されて浮かんでいる。


足元に水面が広がる、暗い空間の中。
みんなを探すヨハネだったが、足を取られて倒れ込んでしまった。
「やっぱり…私には…」

「ヨハネ…」
ライラプスの声がする。

気がつくと、あの切り株のステージ。
そして、ヨハネの目の前に白い羽が再び舞い降りた。

遠くから仲間の声が聞こえる。
皆、ヨハネの名前を叫んでいる。

ライラプスが切り株のステージに上がり、雄叫びを上げる。
すると、ヨハネの目の前にライラプスの姿が現れた。

「いつまで経っても心配性なんだから」
「誰のせいだと思ってるの?」

お互い微笑みを交わすと、ヨハネが再び歌い出す。
地上のメンバーたちの足元に魔法陣が広がり、風が吹いた。
そして、ヨハネの歌声が聞こえる。

ヨハネが仲間たちの元に戻ってきた。
9人が声を合わせて再び歌い出す…。

すると、街中が光に包まれた。
その光を見つめる街の人々の耳にも、彼女たちの歌声が響く。

子供達を中心に、街中の人々がそのメロディを口ずさむ。
ヨハネが白い羽を掲げると、闇の中心へ舞い上がった。

羽が強い光を放つと、ヌマヅを覆っていた大きな木が消えていった。
ヌマヅに、青空が戻った。



街は異変の影響を大きく受け、後片付けが必要だが、人々が協力して復興に励む。
街の人々にも、ヌマヅを救ったメンバーたちにも、日常が戻ってきた。

マリが子供達にヌマヅの伝承について語り聞かせる。
今まで本の上でしか知り得なかったことに加えて、実際に自分たちが経験したことも踏まえて。

「みんなの心の音が街を包んで、街には平和が戻りました」
「心の音って?」

マリに問いかけると、そのタイミングでルビィが声をかけた。
お昼のカツサンドの準備ができたのだ。
「シャイニー!」

一方、ヨハネはいつも通り切り株のステージで歌を歌っていた。
ライラプスがその姿を見守る。

「私、決めたの。ここで、このヌマヅで頑張ってみようかなって」
オーディションに誘われて、再びトカイへの挑戦に心が揺れたが、それはトカイで成功できなかった悔しさと、ビッグになってみんなの期待に応えなければ、という焦りもあった。

でも、今はそれもどうでもよくなった。
好きな場所で、大切な人たちと一緒に、好きなことをしたい。

お母さんからの宿題はまだ考え中。
自分にしかできない、楽しくてたまらないことが、他にも見つかるかもしれない。
結局、明日なんてまだ誰もわからない。

「なんてね。帰ろうか?ライラプス」
いつも通り声をかけると、ワン!と返すライラプス。

お互い笑顔で帰路につく。
ヨハネたちにはどんな未来が待ち受けているのだろう?
トカイでは、見覚えがある姉妹の姿。
ヨハネの次のステージは、トカイなのか、ヌマヅなのか。

ヨハネの元に、メンバーが集まった。
またみんなで歌いたい、とヨハネに声をかけにきたのだ。
街の人々を再び元気付けるために。

それにはヨハネがいないと始まらない。
仲間たちの声に惹かれて、ヨハネが駆け出す。

その姿を、ライラプスは穏やかな表情で見つめるのだった。

全13話総括

ようやく全話振り返ることができました。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

さて、ここからは全話観た感想を語っていきたいと思います。
この作品を観て感じたこと、私なりの解釈から、世間一般の意見についてもお話ししたいと思います。

私がこの作品を観て感じたのは…

ラブライブ!らしいファンタジーだった
「in the mirror」の表現が素晴らしかった
ファンのため、何より沼津の皆さんへの感謝の気持ちが込められていた作品だった

この3点です。
では、詳しくお話ししていきましょう。

ラブライブ!らしいファンタジー

元々、ラブライブ!の情報誌である「Lovelive Days」の企画だったこの作品。

見開き1ページのグラビア記事でしたが、それを見ながらどんな物語になるのか色々想像していました。

私が想像したのは、魔法使いのヨハネが9人の仲間と共に冒険し、悪を倒す、といったベタなものでした。
異世界モノをあまり観ないので仕方がないのですが…。

しかしアニメ化してみると、冒険の旅にも出なければ、悪者キャラも出てきませんでした。
その代わり、ヨハネが8人の仲間と出会い、成長しながらヌマヅを救う、というお話。

そして、ヨハネにはいつも「歌」がありました。
9人の仲間が出会い、親睦を深めて仲良くなって、「歌」でヌマヅを包み込み、危機を救う。
それは、スクールアイドルとしてのパフォーマンスを通して成長し、遂には全国の頂点に立つラブライブ!のお話と通じるものがありました。

ラブライブ!サンシャイン!!も、千歌ちゃんを中心に冒険するわけでもなく、SaintSnowと骨肉の争いを繰り広げるわけでもありません。
Aqoursの名の元に9人が集まり、活動を通じて親睦を深めてゆく。
千歌ちゃんの家で合宿したり、東京の大会に出るためにみんなで泊まったりもしました。

最初のチャレンジは残念な結果に終わりましたが、浦の星の廃校が決まり、「ラブライブ!の歴史に名を残す」という絶対的な目標のもと、最後には見事全国制覇を成し遂げたのでした。

ヨハネのお話も同じ。
ヌマヅに帰ってきたヨハネに、ハナマルが仲介役となって仲間との出会いの場を設けます。

時に異変の危機を協力して乗り越えたり、時に女子会をしたり。
仲間と親睦を深める中で様々な経験を通じ、ヨハネの心境にも変化が訪れ、少しずつ成長する姿が描かれました。

そして、9人の歌声がヌマヅの人々の心を動かし、歌声によって最大の危機を乗り越えたのでした。
正に、「ヌマヅ(沼津)の中心には、Aqoursがいる」という演出。

「歌」がキーワードになるファンタジーだなんて、本当に珍しい。
しかし、歌を通して友情と成長を描くラブライブ!らしいファンタジーだったと思います。

「in the mirror」の表現。

沼津とどこかよく似ている、ヌマヅのお話。
もうひとつの世界のお話は、現実世界との「鏡」のようなものだと思っていました。

キャラクターも沼津の彼女たちと良く似た容姿や性格。
まるで鏡のような異世界で彼女たちは暮らしています。

しかし、「鏡」の表現はこれだけではなかった。
ヨハネとライラプスの関係が、自分を映す「鏡」のような存在だったとは…。

このお話の重要なファクターは「心の声」。
誰しもが心の声を持っていて、それが世界に様々な影響を及ぼす。

ヨハネにとっての心の声は、ライラプスが発する言葉でもありました。
トカイへ行って冒険したい、という気持ちと、それに対する不安な気持ち。
出会ったばかりでまだ仲間が信じられない気持ちと、「いい人たちなんだから信用してみようよ」という気持ち。
出会いの場所でこれからの気持ちを確かめ合うシーンもありました。

元々ヨハネは周りの子達とうまくコミュニケーションが取れませんでした。
そんな中いつも一緒だったのがライラプス。
そんなライラプスを通して、常に自分の中で対話を繰り返していたのだと思います。

しかし、それだけでは限界があった。
トカイへ行ってスターになる挑戦をしますが、志半ばでヌマヅへ帰ることに。
そこから新たな仲間との出会いを通して、どんどん成長を遂げるヨハネ。

ヨハネの母との「ヨハネが一人前になるまで、一緒に居てあげてね」という約束。
ヨハネが一人前になったら、離れることになってしまう。
そのことに対して恐れがあったライラプスですが、ヨハネはライラプスに対して「もう大丈夫」と伝え、それがライラプスの背中を推したのでした。

「Forever U&I」を歌い、二つの心が一つになったことで、ライラプスの声が聞こえなくなった。
でも、ヨハネに悲しみや寂しさはひとつもありませんでした。

お話が進むにつれ、ヨハネの幼少期の描写や、ライラプスが口にする「ヨハネの魔法」という言葉に翻弄され、ヨハネはライラプスに魔法をかけ、自分とだけお喋りができるようにした、と思い込んでいましたが、実際は違いました。
ヨハネにとって身近な存在であるライラプスが、自信を映す「鏡」の存在だったとは。

「in the mirror」の表現がとても秀逸で素晴らしかったと思います。

ファンのため、沼津の皆さんのため

数年前にアニメシリーズ、劇場版が終了し、Blu-rayBOXまで発売されたラブライブ!サンシャイン!!。
しかし、ここへきてスピンオフという形で新作アニメが制作されるとは思っても見ませんでした。

我々ファンにとっては待望の新作。
シングルが発売する度に制作されたアニメMVももちろん素晴らしいのですが、やはり物語に沿ってメンバーたちが躍動する姿が見たかった!

これは、ずっとAqoursを応援し続けてきたファンへの感謝の気持ちの表れだと思うのです。

それ以上に、ラブライブ!サンシャインという作品を受け入れてくれて、共に盛り上がってくれた沼津の皆さんへの感謝でもあると思います。

スピンオフになっても、有名な沼津を連想させるような景色は変わりません。
狩野川にかかる橋だったり、港の展望水門びゅうおだったり。
ヌマヅ駅前のモニュメントもそのままでしたし、「ヨハネ行ってらっしゃいパーティ」が開かれた会場は、ダイヤさんの発案でフリーマーケットに参加したあの公園だったり…。

特に、ツキが営む「ツキ寫眞館」。
ミキが可愛がっていたミニブタのサクラは、店のモデルとなったつじ写真館さんで実際に飼っていたブタちゃんだったそうです。

残念ながら亡くなってしまったと聞きましたが、幻日のヨハネを見る度にサクラの姿を目にすることができるのですから、こんなに素敵なことはありません。

※つじ写真館さまのHPより。

ラブライブ!サンシャイン!!はスクールアイドル活動を追う青春群像劇だったので、あまり沼津の人々との交流は描かれませんでした。
しかし幻日のヨハネでは、キャラクターたちがご近所さんをはじめとするヌマヅの人々と交流する姿がたくさん描かれました。

ヨハネの「なんでも屋」に次々と声がかかったり、カナンが街の人々に頼りにされていたり、メッセンジャーとして街の人々と交流しながら手紙を配達するヨウの姿だったり。
広場ではハナマルのパン屋さんに行列ができていました。

特に印象的だったのは、子供たちの姿。
ヨハネにべったりな3人組も、時にヨハネを助けたり、トカイに行くと決まった時には涙を浮かべていました。
そして「La la 勇気のうた」を最初に口ずさんだのはナミとミキでした。

ヨハネやメンバーたち、そしてライラプスを慕って無邪気に寄ってくる子供たちの姿を描くことで、メンバーたちが街に溶け込み、頼りにされている存在であることを印象付けていると思います。

さらに、最初にヌマヅの異変の影響を受けていたのは、子供たちと動物たち。
身近な目線で危機が始まっていることをうまく表現できていたと思います。

見慣れたロケーションで、キャラクターたちが街の人たちとの交流する姿を描く。
これこそ、沼津が街ぐるみで作品を盛り上げてくれたことへの感謝の気持ちだと思うのです。

「虚無アニメ」とは…?

ここからは、幻日のヨハネに関するネット上での評判についてのお話。

この作品の一般的な評価としては、炎上こそしなかったものの、あまり好意的に受け入れられていないように思います。
「つまらない」とか、「虚無アニメ」なんて言われ方をしているのを目にしました。

この作品が好きな人にとってはちょっと残念な評価ですが、本音を言ってしまえばこんな感じでしょうかね?

波風立てれば炎上するし、穏やかに作れば虚無と言われる。
じゃあどんな作品を作ればいいのか?

ただ、この「どんな作品を作ればいいのか?」というところが非常に難しい。
何故なら、恐らく100人いれば、100通りの答えが出てきてしまうからです。

雑誌のグラビア記事や予告編アニメを観た私のイメージは前述の通り。
ベタですが、ヨハネを中心とした冒険活劇が描かれるものと思っていました。

他にも、メンバー同士の対決が見たい人もいるでしょうし、他の地域から攻めてくる敵に相対する姿が見たい人もいるでしょう。
もっと密な友情だったり、裏切りや大どんでん返しがあったり、百合だったり…。

ひとつひとつの意見を聞き、それを全部お話に盛り込むのは無理な話ですが、多くの人が持つイメージに近いものを表現した作品が、ヒット作として君臨するのだと思います。
もしくは、いい意味でイメージを裏切られる作品もヒットしやすい。
シナリオやストーリー以外でも、テーマソングがヒットした相乗効果でアニメもヒットする、と言った流れもあると思います。

そういった高い評価を得る作品が、いわゆる、「覇権アニメ」として君臨するのでしょう。
ラブライブ!も覇権を獲った時期がありますよね。

ただ、年間数十本もアニメが放映される中で、覇権を獲る作品は指折り数える程度。
それ以外の作品は、あまり話題にも上がらずに忘れ去られてしまう。

残念ながら、幻日のヨハネもそのひとつになってしまった、と認めざるを得ません。

でも、この作品が好きになり、高く評価する人もたくさんいるはずです。

刺さる部分は人それぞれ。
この作品が自身の心に刺さったのなら、その気持ちを信じていいのです。

私はラブライブ!シリーズが大好きでこの作品を見始めましたが、ラブライブ!らしい素晴らしい作品を見せてもらったと思っています。
詳細な感想は前述の通りですが、悪い印象は全くありません。


エンタメコンテンツは、今や完全に「飽和状態」になっています。
需要の何百倍もの供給がある。
それをすべて享受し、楽しむのは、人間のキャパでは100%不可能です。

そんな現代にあって、少しでも多くのコンテンツに触れたい、楽しみたいと思うのは当然なこと。
そんな中で「タイパ」という言葉も出てきているのだと思います。

限られた時間でできるだけ多くのコンテンツに触れる。
そんな状況では、かなりのインパクトを残す作品ではないと、多くの人の印象には残りません。

幻日のヨハネはそういった大胆なインパクトを与えるような作品ではなかったと思います。
でも、インパクトを残して多くの人の琴線に触れる作品、と言うよりは、今まで応援してくれたファンのために、ラブライブ!らしい新たな作品を届けてくれた、と私は思うのです。

「虚無アニメ」と言われてがっかりしてしまったファンも少なからずいると思います。
でも気持ちを落とす必要はありません。
我々ファンの心にしっかり残る作品を届けてくれましたし、「好き」な気持ちはずっと持ち続けてほしいと思います。

そして、「幻日のヨハネ」でAqoursの物語を知った方にも、ラブライブ!サンシャイン!!のこと、そして舞台となった沼津のことにも注目してほしいし、もっと楽しんでほしいと思います。

ライブイベント「幻日のヨハネ The Story of The Sound of Heart」

最後に少しだけ。
アニメの世界観を表現してくれたライブ「幻日のヨハネ The Story of The Sound of Heart」についてお話させてください。

12/15~17の3日間で開催されたライブ。
私は、2日目に現地参加してきました。

ライブはアニメの内容に沿って、各シーンを彩った曲をキャストがパフォーマンスする、という内容。

ストーリーテラーは、なんと島本須美さん。
風の谷のナウシカや、めぞん一刻の音無響子さんで有名な島本さんが、この作品にずっと関わってくれました。
「幻日のヨハネ 光景記」のナレーションでそのお声を聴いた時には本当に驚きましたね。

島本さんのナレーションに沿って、次々に曲が披露されていきます。

印象に残ったのは、何と言っても主人公であるヨハネの曲。
画面の中のヨハネそのままの衣装を纏った、ヨハネ役の小林愛香さんが躍動します。

元々実力が高いあいきゃん(小林さん)。
その歌唱力とダンスをいかんなく発揮し、素晴らしいステージを見せてくれました。

特に印象に残ったのは「Forever U&I」。
バックに映るヨハネの姿そのままに、息を吞むパフォーマンス。
ステージを大きく使う表現や、その伸びやかな歌声に完全に魅了されてしまいました。


ライブは全曲新曲。
これから発売するBru-rayの特典曲も初披露されました。

特にクライマックスを飾った「BLOOM OF COLORS」は素晴らしかったですね。
最終日には、ライラプス役の日笠陽子さんも一緒にパフォーマンス。
特別なステージになりました。

物語の世界観を十二分に表現した、素晴らしいライブだったと思います。

ただ、今までのAqoursのライブとは違った演出だったので、多少の戸惑いもありました。

未発表の曲をライブでパフォーマンスするのはかなりの特別感があるのですが、できれば事前に視聴動画をアップしてもらえるとより楽しめたかなぁと思いました。
新鮮な気持ちで曲を楽しむことができたのですが、4曲はちょっと多いかな、と思います。
それなら、1コーラスだけでも視聴動画を出してくれれば、実際にライブで見た時の印象も変わりますし、フルコーラスが聴ける特別感も感じられます。

センターステージの演出もとてもよかったのですが、できればヨハネの曲だったり、「La la 勇気のうた」あたりはセンターステージで演ってほしかった。
ステージとセンターステージを結ぶ花道がなかったので、頻繁に行き来できなかった事もあると思います。敢えてそうしたのだと思うのですが、できればもっとセンターステージのパフォーマンスが見たかった。

ライブの開始から最後までMCが無かったことも新たなトライでしたが、ライブ中1~2回はMCが欲しかったですね。
特に「Girls」終わりでMCがあった方がより盛り上がったと思います。
せっかくみんながわちゃわちゃ楽しそうにしているのですから、そのテンションで楽しくお話してくれれば、見る側ももっと楽しめたはずです。

ちょっと気になる点もありましたが、それでもライブは素晴らしかった。

私事ですが、当日の席がアリーナの広い通路のすぐ隣。
目の前をトロッコが次々と通るスゴい席でした!
トロッコを使う頻度も多くて、間近で見るメンバーに見とれてしまったのは言うまでもありません。

最も多く目の前に来てくれたのは、カナン役の諏訪ななかさん。
通るたびにドキドキしてしまいました。

最後の「キミノタメボクノタメ」では全員が目の前を次々と通り過ぎる!
3本のブレードでは追いつかず、半ばパニック状態!
ああいうときにはどうすればいいのか…本当に悩みますよね。
嬉しい悩みではありますが。

キッチンカーも来場。
ヨハネパンも早々に売り切れたのだとか。
会場の武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ。
季節外れの暖かい陽気の中、会場の外でも大賑わいでした。

さいごに

最後なのですべて詰め込みました。
毎回長くなってしまいましたが、全13話、お付き合い頂きありがとうございました。

総括でも触れましたが、本作は一般的にあまり注目を集めた作品ではなかったように思います。
記事のインプレッションを見ても、ラブライブ!の他の記事よりも伸び悩む感じでした。

ただ、書き残すことでアーカイブとして残り、後から記事にたどり着いてくれる人もいるのではないか、と思って書き続けました。

また、ラブライブ!サンシャイン!!が放映されていた頃にnoteを書いていなかったので、心の支えとなってくれたAqoursの物語をあまり言葉にできなかったのが心残りでした。

どういう形になっても、公式スピンオフである本作について言葉にしておきたかった。
本当は1話1話もっと丁寧に書きたかったのですが、限られた時間で精一杯書きました。
結局ライブにも間に合いませんでしたけど、かなりのボリュームで書けたのではないかと思います。

幻日のヨハネについては今後も何かしら展開があればいいのですが、それでもAqoursの活動はまだまだ続くと思うので、これからも折を見て言葉にしていきたいと思います。

※記事内の画像及びタイトル画像は、アニメ「幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-」より使用させて頂きました。

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