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やはり人間は愚か。人外軍を結成します。【ユニコーンオーバーロード】

「まさか信じてもらえるとはな…
この借りはいつか返してやるぜ」

 「病気の妹を助けるために仕方なく盗賊稼業をしていたんだ……見逃してくれ……」と言われたので見逃してやったらこのザマです。はぁ~~~~やっぱ人間ってクソだわ。かくなる上は人外軍(有翼人・獣人・エルフ)を結成し、悪しき皇帝の支配を打ち砕きます。

 そんなわけで「人外のみで全ユニットを構成する」を目標に『ユニコーンオーバーロード』をプレイしています。現在はLV.10~15程度。一刻でも早く人外を加えたいので、LV差が結構きついものの、大陸南方にあるエルフとダークエルフの国エルヘイムを攻略中です。

 いずれ辿り着くであろう大陸北部のバストリアスは獣人の国なのだそう。いやあ非常に楽しみですね。「寒冷地帯」と「獣人」という組み合わせから真っ先に連想にできるシチュエーションはひとつ。猛吹雪をしのぐために洞窟で寝泊まりする幼女と獣人。幼女が「えへへっ。やっぱり狼さんは毛皮でぽかぽかだねっ」なんて無邪気なことを言いながら獣人に抱きつく。すると普段は強面な獣人がたじたじになっちゃって。「ふん……勝手なやつだ。好きにしろ」なんて吐き捨てながらも、すやすやと寝息を立てる幼女を見て破顔する。その不器用な優しさに悶えたいですね。

好き好き大好き~

 性癖の話はさておき。つい先日『十三機兵防衛圏』で無事に脳を焼かれまして。こんな力作を生み出せるアトラス×ヴァニラウェアの最強タッグから新作が発売されたとなれば、買わざるを得ませんでした。

 「懐かしくも新しい」「正気を疑うほどの凄まじい物量」という点では『十三機兵防衛権』と共通項があると言えるでしょうか。ストーリーは「祖国を追われた王子が大陸各地の国家を渡り歩き、反乱軍を作り上げていく」という王道展開。世界観や設定は「エルフは魔術や弓術が得意で、人間では踏み入ることができない"迷いの森"でひっそりと暮らしている」といったこれまたクラシックなものが満載(でありながらキャラデザは現代的でとても良い)。「重装歩兵は物理に強いが魔法に弱い」「飛行系は回避率が高いが弓矢で即死する」といった戦闘システムは『ファイアーエムブレム』を彷彿とさせる。

 しかし当然ながら単なる焼き直しではなく。「ちょっと待って。まだ序盤も序盤だよね? なのにこんな加速度的に物量増えていくのやばすぎないか……?」と。すでに両手両足で数えきれないほどのキャラクターが登場しているのですが、恐ろしいのはキャラクター一人ひとりに対して、戦闘中における行動を条件分岐(if文)でこと細かに設定できる点

マジでコーディングみたいな作業なんだよな

 たとえばこれはダークエルフのロザリンデさんの行動。「HPが常に100%になるよう自分を回復しつつ」「自バフ効果がある攻撃を加えながら」「味方が攻撃をする時はバフを付与し」「味方が著しいダメージを受けた場合は回復を施し」「強力なフィニッシュブローを放つ」という動きを設定しています。全キャラで同じように複雑な設定が可能です。「飛行系の敵がいる時は必中攻撃を行なう」「HPが50%以下の敵に対して撃破ボーナスがある攻撃を行なう」とか。

 「ちゃんと狙った通りの動きになるか(バグがないか)」「ユニット内でシナジーが生まれているか」など、さながら動作検証や効率的なコーディングのようなカスタマイズを行なっていると、あっという間に時間が溶ける。装備品も付け替えられる。親密度が上がると見(ら)れる会話イベントがある、しかも主人公とだけじゃなくて複数のキャラクターで発生する。サブクエも大量にある。復興要素もある。雇えるモブ兵は名前も見た目も成長タイプもカスタマイズできる……などなど挙げればキリがない。こだわり抜こうと思えばどこまでもこだわれるし、面倒臭くなってきたら見切りをつけて「次はどこを攻略すっかな~」と自由に進軍先を決めることができる。

 まだ序盤も序盤ですが、本作がファンタジーSRPGにおける分水嶺のひとつになるのではないかと思えるほどには、グラフィックもシステムも尋常ではない作り込み具合。しばらくは休日にどっぷり浸かることになりそうです。

 ――と、そんなこんなで、現在は悪しき帝国の魔の手が伸びるエルフの森に行軍中です。するとエルフの集落が盗賊に襲われていました。何でもエルフは高値で人身売買されているのだそう。やはり人間は愚か。私が滅ぼさなきゃ…………ん?

お、お前ぇ❗❗❗❗
あの時見逃した盗賊❗❓❗❓

 ……えっマジで? てっきり敵キャラになって襲いかかって来るもんだと思ってたら、改心して味方になって助けに来てくれたわ……しかも――

俺もな、あのアレインの旦那に
やり直す機会を与えてもらったんだ
だからあんたも
今回は見逃してやる
生きてさえいりゃ
命の使い道は自分で決められる

 という発言の後、撃退した盗賊団の長を見逃す。受けた恩を、そして自分の命が今なお続いている理由を、他者へ敷衍していく。たとえ手を血で汚そうとも、魂まで悪魔に売ったわけではない。「俺は人間だ」と声高に叫ぶような。知恵と勇気が滲み出ている行動だ。めちゃくちゃかっけぇじゃんか……

「処刑する」

(やっべどうしよ……あの後、同じように妹を言い訳にする奴が出てきたから「はぁ~~~やっぱ人間って嘘つきで浅ましくて愚かだわ❗ さっさと処刑だ処刑❗💢」って迷いなく剣を振り下ろしたなんて口が裂けても言えねえよ。ギャメルは改心したのに私は悪堕ちしてた。逆だったかもしれねェ……)

 で、話は少し変わりますが。本作をプレイしていたら現代ファンタジー作品の源流を摂取したくなりまして。トールキンの『指輪物語』を読んでいます。序盤でこんな場面があります。主人公フロド・バギンズは悪人に憤り、「あいつはオーク同様の悪いやつです。敵の一人です。死んだっていいやつです」と言ってのける。まさに私と同じ心境ですね。しかし、彼を教え導く魔法使い"灰色のガンダルフ"がこう諭す――

「死んだっていいとな! たぶんそうかもしれぬ。生きている者の多数は、死んだっていいやつじゃ。そして死ぬる者の中には生きていてほしい者がおる。あんたは死者に命を与えられるか? もしできないのなら、そうせっかちに死の判定を下すものではない。すぐれた賢者ですら、末の末までは見通せぬものじゃからなあ。ゴクリが死ぬまでに悪から癒される望みが大いにあるとは、わしも考えおらん。しかしその可能性はあろう。それにかれは指輪の運命にしかと結びつけられておる。わしの心の奥底で声がするのじゃ。善にしろ悪にしろ、かれには死ぬまでにまだ果たすべき役割があると。そしてその時が至れば、ビルボの情は多くの者の運命を決することになるかもしれぬと――。少なからず、あんたの運命もな。ともかくわしらはかれを殺さなかった。かれはひどく年老いて、惨めじゃった。森のエルフたちはかれを牢に閉じ込めているが、かれらはその賢明な心にある限りの親切をもってかれに接しておる。」

『新版 指輪物語1 旅の仲間 上』J.R.R.トールキン
瀬田貞二・田中明子訳(太字引用者)

 耳が痛すぎる。で、でもさあ……善意のつもりで甘ったれた行動したら、最悪の結果を招いたって経験を洋RPGで何度もしてるからさ……

 愚かなのは私の方だった。深く反省します。人間の命も平等に。生徒には無限の可能性を。とはいえ人外が好きなことに変わりはないので、「人外のみで全ユニットを構成する」を引き続き目標にしながらプレイしていきます。まだ会ってないけどダイナさんに乙女の指輪を渡すと思います。姉御肌な狼獣人は「しゅきぃ……」になる予感しかしない。それではまたどこかで。