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限界オタクによる杜野凛世「G.R.A.D.」〜「Landing Point」振り返り【シャニマス】
「助詞のように、街あかり」が発表された。
私は凛世のことしか考えられなくなった。
拳を、強く、握り締めた。
どうも灰猫です。ついにこの日が来てしまった。正気を保っていられそうにありません。シャニマス好きの同志達には「しばらく音信不通になります」と連絡しました。凛世の話を振られたら衝動的に暴れてしまうので……
なぜそんなモンスターになっちまったのか。その説明をする前に、今の凛世の状況を理解する必要がある。少し長くなるぞ(約6,00文字)
ということで、「助詞のように、街あかり」に向けて最近の杜野凛世を振り返ってみます。せっかく年末だしね。G.R.A.D.以降の凛世コミュでは何が描かれてきたのか。そのコミュ群を読んだ凛世のオタクはいかにして狂ってきたのか——本記事を通して、その一端をお伝えすることができれば幸いです。
(※以下、「G.R.A.D.」「われにかへれ」「ロー・ポジション」「階段式純情昇降機」「Landing Point」および凛世関連コミュのネタバレを含みます。ご注意ください)
杜野凛世——恋心と、すれ違いの少女
落ち着いた佇まいの大和撫子。常に礼儀正しく、一歩引いて相手を立てる性格。少女漫画好きという意外な趣味を持つ。高校1年生。
(シャニマス公式プロフィールより)
杜野凛世。16歳。彼女はプロデューサーに恋心を抱いています。しかし、プロデューサーはその本音に決して気づかない。二人は「アイドルとプロデューサー」という関係性の中で、心を通わて舞台をこなしながらも、根本的な部分ではすれ違いを繰り返してきました。
たとえば「凛世花伝」。「なにとなく 君に待たるる ここちして 出でし花野の 夕月夜かな」という短歌が登場します。プロデューサーはこの短歌を、月の優美さを称える歌として解釈しました。一方で、凛世は「君」とは思い人のことであり、相聞(恋愛)の歌としても解釈できる、と語りました。
恋歌として読む者、読まない者。まさに二人のすれ違いが現れている場面です。ふふっ……ちょっぴり切ないけど、凛世の健気な乙女心がとてもいじらしいわね…………………………
バァン!!!!!!!!
……失礼しました。じれったくてつい台パンを。
2020年「G.R.A.D.」「われにかへれ」——強い感情の発露と、その先にある成長
凛世はすれ違いを続けながらも、常に礼儀正しく、プロデューサーに付き従っていました。しかし、そんな彼女の心境・行動に劇的な変化が訪れます——それが「G.R.A.D.」「われにかへれ」です。
プロデューサーの前では、情熱に満ちたダンスをこなすことができる。しかし、プロデューサーがいない時の、アイドルとしてのダンスは「心を動かされない」「AIちゃん」と揶揄される。
アイドルだからプロデューサーの隣にいられる。しかし、アイドルとしての自分では「(思い)人の心は動かせない」。凛世はそのジレンマで苦しむことになります。
あの礼儀正しかった凛世が、ずっとずっとプロデューサーの隣にいたいと思っていた凛世が。思いの強さゆえに、逆にプロデューサーを遠ざけてしまう……これこそが、彼女の心境・行動の変化でした。
泣かないで……😭
……もうね。読むのが本当にしんどかった。どん底に突き落とされた気分でした。未だに読み返すと胸が苦しくなります。これは比喩ではありません。マジで肉体に直接影響が出ます。身体をウネウネさせながら読み返しています。
「G.R.A.D.」から間もなく実装された「われにかへれ」でも、プロデューサーを遠ざけてしまう場面があります。凛世学会では「21世紀の岩戸隠れ」「ひきこも凛世」と称されている場面です。
ツーショット写真を撮るのもダメ、プロデューサーにお土産を買うのもダメ——何もかもままならない。そうなった彼女は、戸を閉めて部屋に引き籠もってしまいました。そう、明確にプロデューサーを拒絶したのです。
初期の凛世であれば「プロデューサーさまが、そうおっしゃるであれば……」と納得したことでしょう。しかし、プロデューサーへの思いは、日を重ねるごとに強くなり、感情を抑えることができない領域にまで達したのです。
冒頭で引用した通り、凛世は「落ち着いた佇まいの大和撫子」です。そんな彼女が、今までにないほど感情を強く表に出す。その行為がどれほどの思いから生じたものであるか、強く実感することができます。
ああ、そうか……杜野凛世、
この子にはこんなにもたくさんの秘めたる激情があるんだ……
それを鮮烈な心理描写で思い知らされるのが「G.R.A.D.」「われにかへれ」です。……すみません、ちょっと涙拭きますね。
……カチャッ(再び眼鏡をかける音)
思いを伝えられない、ままならないとのたうつ——しかし、凛世はそこに踏み留まりませんでした。強い感情の発露こそが、凛世が成長するきっかけに、そして二人の関係が変化するきっかけになったのです。
凛世は欲しがることを、求めることを——
プロデューサーは終始頭を悩ませていましたが、これを機に、凛世のことをより深く理解しようと努めます。
先ほどコミュを読み返してみましたが、シナリオの完成度と、声優(丸岡和佳奈)さんの演技さんがやはり素晴らしい。心が震えました。思わず——
思わず天(井)を仰ぎました。
……あっ、この天井灯、まん丸で、まるで満月みたいだなあ。これが「なにとなく 君に待たるる ここちして 出でし花野の 夕月夜かな」か。ははっ、涙でかすんで朧月だよ……
2021年「ロー・ポジション」「階段式純情昇降機」——アイドルじゃない、凛世さん
「G.R.A.D.」「われにかへれ」を経て登場したのが「ロー・ポジション」。本コミュでは二人の新たな関係性・可能性が描かれました。
お互いに知らぬ顔を知った二人は、True Endで「アイドルじゃない凛世さん」と「プロデューサーさまではないプロデューサーさま」として接します。「G.R.A.D.」「われにかへれ」で描かれた「アイドルとプロデューサー」という関係にある障壁・不文律を乗り越えて、等身大の存在として向き合ったのです。
詳しい解説はこちらの記事で。当時ハマっていたエロティシズム論を展開しつつ、元ネタやカメラ演出の意図を細かく考察・解説しています。
このコミュはねえ……ご褒美でした。救済でした。福音でした。私はもう「G.R.A.D.」「われにかへれ」が苦しゅうて、苦しゅうて。あまりに切なくて。その先にあったものが「ロー・ポジション」だったんです。二人の関係に新たな希望を見せてくれた。救われる思いがしました。ありがとうシャニマス。ありがとう高山P。
二人の関係性もそうですが、凛世自身の成長ぶりもひしひしと実感できるコミュです。「G.R.A.D.」で「初めて……こんなに欲しいものが……あったのだと……」と自分の気持ちに気づいたからこそ、「ロー・ポジション」での凛世は、欲して、求めて、その末にプロデューサーの隣に並び立ちました。そんな彼女の健気な姿に胸を打たれました。
もりちゃんやばいわー!(断末魔)
続いて、フェスイベントで配布された「階段式純情昇降機」。イベント配布なのでおまけのようなもの——なんですが、「G.R.A.D.」「われにかへれ」「ロー・ポジション」の後日譚であるように感じられます。
まずイラストの構図が衝撃。珍しくアオリ構図なんですよね。一歩先の距離。身長155cmの小柄な凛世が、こちらを見下ろしている。その姿がなんと凛々しく、大きく見えることか。「ロー・ポジション」でプロデューサーの隣に並んだ彼女は、プロデューサーの想像を超えて、強く、たくましく成長し、やがて追い越してゆく。そんなことを思わせてくれます。
詳しい解説(?)はこちらの記事で。甘ロ凛世、ゴスロ凛世に狂わされたオタクをご笑覧ください。
肝心のコミュでは、アイドルとしての「オン」の時間と、アイドルじゃない「オフ」の時間が描かれています。これも「ロー・ポジション」の「アイドルじゃない凛世さん」を彷彿とさせます。ああ、「ロー・ポジション」で描かれたあの関係・成長は続いてるんだなあ……!! と、嬉しくなっちゃいました。
あ、そういえば——
「アイドルじゃない、凛世さん」は
シャニマス流行語大賞2021・ユニット部門を受賞したぜ!
みんな投票ありがとな👍
「Landing Point」——新たなアイドルとしての覚醒
続いて「Landing Point」。実は「W.I.N.G.」「G.R.A.D.」「Landing Point」三者に共通する描写があります。それは「凛世はダンスを要領よくこなしているが、パッションや表現欲が見えてこない」と指摘される、という描写。同時にその解決も描かれます。
「W.I.N.G.」では、信じられないほど民度が良いファン達に支えられたことで、プロデューサーだけではなく、ファンの期待にも応えたいと思えるようになりました。
「G.R.A.D.」では、欲しがること、求めること、わがままになることを覚えました。
そして「Lading Point」。「G.R.A.D.」を経て、凛世のダンスにはパッションがこもったはず。それでも型にはまったものだと評されます。なぜか。それは凛世の過去が関係していました。
そもそも、なぜ凛世にはダンスの素養があったのか。それは家柄が舞踊に通じていたからでした。しかし、「舞踊は自分を目立たせるものではない」「頭からつま先まで、全てをコントロールしなければならない」と教え込まれていました。その教えが染み付いた結果、凛世はダンスを型にはめることに固執するようになっていたのです。
ぐぬぬ……シャニマスめ……
幼少期のエピソードをぶっ込んで来るとは……
オタクの殺し方を心得てやがる……
凛世の幼少期のエピソードはsSSR「夜明けの晩に」でも披露されましたが、「Landing Point」でさらに掘り下げられました。これはもう心穏やかではいられません。ああんもう、ちっちゃい頃の凛世ほんとかわいい……凛世の成長を子どもの頃から見守る親族になりてえよ……
幼少期の体験が、現在の凛世にいかに影響を与えているのか——ツユモシラズさんが綿密な考察記事を書いてくださっています。ぜひ読んでみてね。
話を戻しまして——
作中でも発言があった通り、型を身につけることは大事です。しかし、それだけでは辿り着けない領域がある。「完璧なダンスパフォーマンスだけが私達のアイデンティティか?」「歌とダンスを徹底的に磨きあげても、ファンはそんなもの求めていないかもしれない」そうした問いかけは、他のユニット・アイドルにもありました。凛世もその問題に直面することになったのです。
幼少期から染み付いた習慣や考え方は、そう簡単に変えられるものではありません。しかし、凛世は果敢に挑戦しました。
↑こういう感じのことが起きまして……
厳しいダンスレッスンを経た彼女は、「アイドルとして、ステージ上でプロデューサーを魅了してみせる」と宣言する。
「G.R.A.D.」で覚えた、欲しがること、わがままになること。「階段式純情昇降機」で感じさてくれた、プロデューサーの想像を超えて強くたくましく成長する姿——そうした彼女の成長ぶりを感じさせてくれる台詞です。
限界なんて本当はそこにない
覆せ、塗り替えて
顕在せよ 過去を超えてく光
この空を染めるほど強く
誰よりも、何よりも
昨日の私を打ち破って
「Dye the sky.」作詞:烏屋茶房 作曲:ヒゲドライバー
「G.R.A.D.」で得たものを胸に、過去すらも乗り越える。まさしく、凛世は昨日までの自分を打ち破り、新たなアイドルとして覚醒したのです。
なんか凛世の「Landing Point」って、激熱展開よくばりセットみたいなお話なんですよね。回想、ライバルの登場、師匠との出会い、修行パート、自分の弱点を克服し、最後には覚醒する。熱い……熱すぎるぜ……!!
なんか逆に体温下がってるわ……
幽霊の仕業か?
プロデューサーとの関係はもちろんですが、凛世は新たなアイドルとして今後どのように活躍するのか。期待が高まるばかりです。
そしてやって来る「助詞のように、街あかり」
以上、G.R.A.D.〜Landing Pointコミュ振り返りでした。省いた部分も多々あるので、気になった方はぜひコミュを読んでみてね。で、冒頭に戻りますが——
「助詞のように、街あかり」が発表されました。
私は凛世のことしか考えられなくなりました。
だって当然じゃないですか。「アイドルとプロデューサー」という関係にある障壁と不文律を見せつけられたかと思ったら、それを乗り越えて並び立つ二人の関係が生まれ、凛世が新たなアイドルとして覚醒した——そんな劇的かつ漸進的な変化の末にやって来るのが、今回のpSSRなんです。
↑過去記事でこんなことを書いていました。案の定、今の私は正気を失いかけています。「そろそろ凛世pSSRが来てもおかしくないだろ〜」とは思っていましたが、いざ発表されると、G.R.A.D.以降の様々な凛世コミュが脳裏でフラッシュバックし、脳内CPU使用率の大半がそれで埋まりました。
暗い夜道を繋ぐように灯る街あかりを「助詞のようだ」と思ったこと生まれてから一度もない 人生5回やっても多分出ない
— 溟 (@MaY_Gypsophila) December 28, 2021
「助詞のように、街あかり」ってタイトルがあまりにも素敵……
しかも、「始まり」にふさわしい新年一発目のガシャです。凛世は新たなアイドルとして何をスタートさせるのか。コミュではいったい何が描かれるのか。私はもう恐ろしくてたまりません。考えただけで胸が詰まります。えっちょっと待って10時間後にはもう実装されてんのかよやべえってマジで……
最後に——好きになった、ではなく、好きになっていく
長文になってしまいましたが最後に。最初期のコミュ【283プロのヒナ】では、「筑波嶺の みねより落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる」という短歌が登場します。これは、恋心を川の流れが大きくなっていく様子に見立てた歌です。
この短歌を詠んだ後、凛世は「恋心とは……抑えきれずに大きくなるもの……」「凛世の気持ちも……いつか……もっと、深く……なっていくのでしょうか……」と語っています。
まさに、彼女が語った通りになりました。pSSR「凛世花伝」では、本来は感情を抑えて演技するべき場面で、プロデューサーと過ごした日々を思い出して微笑んでしまう。思い人と過ごす時間に比例して、彼女の恋心もまた強くなっていたのです。
ふとしたことがきっかけで誰かのことを好きになり、その思いは歳月を経るごとに強くなっていく。胸に秘めた感情は次第に抑えられなくなり、理性を蝕(むしば)んでゆく——そうした「時間」「過程」を感じられることも、凛世コミュの魅力のひとつです。「好きになった」という定常状態ではなく、「好きになっていく」という運動を繰り返す状態。未知の体験に歓喜し、驚愕し、慟哭する。それが杜野凛世という少女の物語なのです。
2022年1月1日、彼女の「時間」は再び動き始めます。だからこそ、今までの流れを振り返らなければならないと思った。この物語の意義をしかと受け止めたいと思った。恋愛とは、あるいは現実とはままならないもの。その過酷で重すぎる運命を、こんなにも小柄な少女が背負っている。そんな彼女の健気な姿に涙を誘われずにいられません。だからこそ——
私の視界は、涙で滲んでゆくのです。
<今までの凛世コミュ感想記事>