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杜野凛世は何を学び、何を感じるのか——「牛的情感盛り、一丁」感想【シャニマス】

 この世界に新たな四字熟語が誕生した。

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【牛・丼・凛・世】

 おしとやかな「凛世」と、脂の多い「牛丼」が、温かな風景の中で調和する。転じて「対極的な二つの既知の存在が調和し、革新的な未知の概念が生まれる」という意味である。意表をつく可愛さだぁ……

 そんなわけで、牛丼凛世こと、杜野凛世sSSR「牛的情感盛り、一丁」の感想を書き連ねます。凛世が牛丼を食べるというイラストにまず驚きましたが、カード名にも衝撃を受けました。何だよ牛的情感盛りって。いきなり長くなるけど、ちょっと語らせてください。

カード名

 文字の並びが美しいんですよ。
 たとえば今年5月にフェスイベントで配布された「階段式純情昇降機」、これは「階段式」「昇降機」という無機的なイメージの単語を、「純情」という乙女チックな単語で繋ぐことで、本来は無彩色である景色がキラキラとした光で彩られる様を想像させてくれる、奥行きのある表現に仕上がっています。
 「牛的情感盛り」もこれに近い。ガツガツと食べるイメージがある牛丼に、「情感」というしっとりした単語を盛り込むことで、お腹いっぱいになるように心が満たされる感覚を打ち出す。一見すると相入れない雰囲気の単語が見事に調和してます。

 「凛世夕町物語」のように雅(みやび)一点突破型のカード名はもちろん素敵ですが、「階段式純情昇降機」「牛的情感盛り」のように、雅から程遠いはずの言葉を転化するという様式もある。文学的修辞を多彩に駆使し、カード名に多様性を生み出す妙技は、素晴らしいの一言です……100点!!

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ちゃんと牛丼を用意してガシャに臨むオタクの鑑。

 ……ふぅ。いやあ、イラストと、カード名と、牛丼だけでもうお腹いっぱいだわ。まだコミュすら読んでないのに。

 しかし、肝心のコミュのやはり素晴らしい内容でした。なぜ私は杜野凛世という少女に惹かれるのか、その理由を再認識できました

(※以下、凛世関連コミュと放クライベントコミュのネタバレを含みます。ご注意ください)


①「学習」いたしませう

 本コミュでは「杜野凛世という少女は、どんな経緯で新しい物事に出会い、学びを得るのか。その節々で彼女は何を思っているのか」が丁寧に描かれています。
 ……もうねえ、これが本当に良い!! いくつもの未知の物事に出会い、健気に努力する姿。ああ、これが私が凛世に惹かれる理由なんだなあ……と、心がじんわりと温まりました。

コミュ名

 今回はコミュ名がとてもわかりやすい。凛世が①学習→②実践→③意味(理解)という道筋を辿っていることがすぐにわかります。
 凛世はどんな経緯で学びを得るのか? まずは①から見ていきましょう。

学習1

 牛丼屋と「メガ牛エモ盛り」の存在が気になった凛世。放クラは樹里を教師役として牛丼屋へ赴き、食券の買い方などの作法を学習する。

じゅりんぜ

う゛っ゛!゛!゛(唐突なじゅりんぜ供給による身体的負荷)

 その帰り道、「これならば次はひとりで参れましょう」と凛世。本当はひとりで行きたいのか? という樹里の冗談に対し、

学習3

 こう返答する。
 自分ひとりでは知り得なかった。放クラがいたからこそ、新しいものを知ることができた——これはメガ牛エモ盛に限った話ではありません。

をとめ大学

 サポートコミュでは、凛世が放クラとの付き合いを通して、新たな知識を身に付ける様子がよく描かれます。「ふれんど日和」では犬と触れ合い、「凛世夕町物語」では100均ショップを訪れ、「をとめ大学」では『反則』の意味を学びました。

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 こちらはホーム画面の台詞。凛世は知識の吸収に貪欲で、自己研鑽を怠りません。
 しかし、それは彼女が生真面目な性格だからという理由だけでそうなっているのではない。みんなと過ごす時間が楽しいから、新しい世界と出会うことが純粋に楽しいから。「学習いたしませう」では、そんな感受性の豊かさを感じることができます。


②「実践」いたしませう

ちこう-ごういつ【知行合一】
知識と行為は一体であるということ。本当の知は実践を伴わなければならないということ。
引用元:知行合一 - goo辞書

 しかし、ただ教わっただけでは「学び」にはなりません。人は教わったことを自分なりに「実践」することで、初めて身体で覚えることができるもの。

実践

秋なので「杜野凛世の印象派」の衣装。プロデューサーから「かつぷめん」を学習したことを思い出すなあ。

 お腹ぺこぺこ凛世(かわいい)は牛丼屋へ。ひとりで牛丼屋に入る、という選択肢は、かつての凛世にはなかったことでしょう。

実践2

※凛世が牛丼屋に入ってからの台詞、オート設定にして目を閉じて聞いてみてください。凛世の実在性が凄まじいです。凛世が牛丼を口の中にかき込む、凛世が上品にお茶をすする、凛世が着信に気づいてスマホ手に取る——あらゆる仕草が映像として再生されて「凛世だ! 凛世が牛丼屋に"いる"!」ってなりました。演技、環境音、演出、どれも素晴らしくてただただ感動した……

 もぐもぐ凛世(かわいい)。ひとりでいるのに、夏葉、果穂、樹里、俺の同級生の顔が思い浮かんだり、牛丼屋のマナーに戸惑ったり。
 放クラを通じて学んだことを、ひとりで能動的に「実践」する。私生活に変化が訪れ、新たな価値観に出会う。そして、ひとりでいるからこそ、放クラの絆を改めて実感できる。そんな様子が窺えます。

 「おしとやかな子が牛丼を食べる」というお話だけで、こんな情緒溢れる雰囲気を作れる演出・構成力、どうなってんだよマジで……

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 ところで、「実践」で思い出すのはLanding Point編。自分とは異なる魅力で異彩を放ったモデル、独特な感性を持つ舞踏家の先生。この二人との出会いがきっかけで、凛世は必死にダンスレッスンに打ち込み、自分の殻を破ろうとしました。凛世は新たな価値観と出会い、不安や戸惑いを覚えながらも「実践」することで、今までの自分には無かったものを身につけようと努力したのです。

 ああ、これだな……この健気な姿、小柄な少女が思い人のために必死に背伸びする姿、未知の物事に自らの可能性を投企する姿。それこそが、私が凛世に惹かれる理由なんだな——そんなことを思いました。


③「意味(理解)」にいたしませう

牧歌的1

牛では想像しづらいから、代わりに「牛」丼を思い浮かべる。シティガールって感じでいいですね。

 「牧歌的」の意味や風景がよくわからなかったので、みんなで牛丼を食べたときの風景だと解釈する。この解釈は原義とは異なっていますが——

牧歌的2

 と、凛世。難しい言葉の意味を、自分の体験や記憶と重ね、「意味」を理解しようとする。この発言で思い出すのは「ふららここのうた」です。

ふらここのうた

 凛世は「うらごい」という古語に、強い思い入れを抱いていました。
 和歌や古語に込められた情景や感情を、自分の体験や記憶を元に解釈し、落とし込む。そうした経験を日頃からしているからこそ、あの発言がスッと出たのでしょう。

 学習、実践、意味(理解)——教育や心理学にはあまり詳しくありませんが、確かに人はこうした段階を経て学びを得るものです。私も本コミュを読み(学習)、本記事で感想を言語化することで(実践)、意味を深く理解できたように思います。
 そうした過程を丁寧に描くことで、杜野凛世という少女が何を学ぶのか、どう学ぶのか、学んだことでどんな影響を受けるのか、何を思って日々を過ごしているのかを映し出す。それによって凛世の感性や私生活を知ることができる、大変良いコミュでした。

 牛丼、そして凛世。よく知っているはずの二つの存在が一つに溶け合うことで、新たな景色と知見が生まれる。「牧歌的」という言葉が、牛丼を食べる風景に様変わりするように。まさに【牛・丼・凛・世】でした。

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「many screens」での一幕。果穂が直面した悩みや問題をなあなあにせず、きちんと立ち止まって考えて、学ぶ。「これが放クラか……」と感服しました。

 ついでに、「意味にいたしませう」を読んで思ったのは、凛世だけではなく、そもそも放クラが「学び」の集団であるということ。「五色 爆発!合宿 クライマックス!」でのカレー作り、「ミッション・コンプリート!」での想定外の事態を協力して乗り越える姿。彼女たちの今後の成長に期待が高まりました。


「牧歌的」→「牛的」の解釈

 ここからは余談です。

 さすがに深読みしすぎかもしれませんが、「牧歌的」から「攵」と「歌」が取れて「"牛的"情感盛り」になっているのは暗喩的に感じられます。

牧歌的

 「攵」は軽く打つ・叩くという意味。牛を飼育する管理者=プロデューサーだとすれば、「歌」はアイドルと解釈できます。この二つが抜けて「牛的」になるのは、プロデューサーがいない、アイドルとしてステージに立っていない、プライベートな状態を意味していると考えられます。

 プライベートでみんなと牛丼屋に行った思い出。あるいは、ひとりで牛丼屋に行き、新たな価値観に触れたり、みんなの顔を思い浮かべたりする。その温かな風景で生じる情緒。それが「牛的情感」の意味……?


次のpSSR、バレンタイン凛世じゃね?

久々に読み返したら、自分でも恥ずかしなるくらい変なテンションの文章になってました。ま、まあ、それぐらい推しの可愛さにやられてたってことで……

 前々回の凛世記事では「次のpSSSR実装は秋!! 『杜野凛世の印象派』のオマージュ!!」と予想しました。実際に来たのはsSSR、コミュでは「杜野凛世の印象派」の衣装を着ていました。当たらずとも遠からず、か……?

 また、当該記事では「まさか『ロー・ポジション』の後に冬のコミュはないやろ〜!」的なことを書きましたが、冬にはバレンタインがあるという事実をすっかり忘れていました。

 バレンタイン凛世。可能性としてはあると思うんですよね。その根拠は三つ。

根拠①:
次のpSSR実装は2月から。sSSR実装の翌月にpSSRを実装するのは間が短すぎ。12月は「十二月短篇」、1月は「祝唄-hogiuta-」で、同じ季節コミュがすでに描かれている。
根拠②:
「バレンタイン」を描くなら今が絶好の機会。「ロー・ポジション」では"アイドルじゃない凛世さん"と"プロデューサーさまではないプロデューサーさま"の関係が描かれた。「階段式純情昇降機」では"オン"と"オフ"が描かれた。「自分の気持ちを伝える」というバレンタインのテーマを描くにはぴったりな時期。
根拠③:
最近の凛世はグルメが題材になりがち。「ロー・ポジション」では味噌汁とクレープ、「階段式純情昇降機」ではパンケーキ、「牛的情感盛り、一丁」では牛丼。この流れでバレンタインのチョコが来る。
これはさすがにこじつけ。

 私の予想は2月に「バレンタイン凛世」、もしくは4月に「ロー・ポジション」の続きとしての「桜凛世」です!!

 バレンタインでチョコを渡す凛世か、満開の桜に囲まれる凛世か。もちろんどちらも楽しみですが、バレンタイン凛世の実装は想像しただけで恐ろくなりました。私は正気を保てるだろうか……


わぁ! 牛丼!(絶望)

 この写真は、

撮り方

 こんな感じで、椅子に座りながら膝を立て、その間にスマホを挟んで撮影しました。ここからさらに前のめりになって、手を合わせる🙏必要があるのでまあ安定しない。何度も膝からスマホが滑り落ちて「あ゛あ゛あ゛あ゛も゛う゛!゛!゛!゛!゛」ってなってました。そして写真の良い構図を探り続けた結果、撮影に30分ほどかかることに。なーにやってんだこいつ……

をとめ条約

 ところで、グレフェスコインショップに最近追加された「をとめ条約」では、夜更かしが原因でおでこが肌荒れしてしまったわるわる凛世(かわいい)が描かれました。
 写真の通り、私も夜更かしして牛丼を食べました。「牛的情感盛り」のコミュ内で放クラが牛丼を食べると同時に、手を合わせて。結果、胃へのダメージと睡眠不足が原因で、肌荒れどころか半日ほど体調を崩してしまいました。そんな。おかしい。シャニPより若いのに。

凛世や、今のうちにたんと食べて、JKライフを満喫するんだよ…… #シャニマスたんとお食べ部


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