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主治医が替わるとき、どうする?ー中編(ふりかえり卵巣がん日記 #89)

主治医のA先生が病院を移ることになりました。大学病院なら、まま起こり得るであろうこの事態に遭遇したら...はて、どうしたものか。主治医についていく形で転院するか、それとも主治医がかわることを受け入れる?

新しいドクターも、いい先生かも

もっとも、この時点ではこの「主治医異動モンダイ」に対して私は「好きな選択肢を選ぶ」というよりも「暗黙のルールに従うべき」と思っていました。「こうするのが一般的、ふつう」という定型があり、その通りにするモンなんだろうと。それが知りたくてネットに寄せられた相談や意見などをいろいろ見たんですね。

その結果「病院はかえずに、新しい主治医と仲良くしましょう」という考え方がスタンダードっぽい雰囲気だなぁ、と感じました。「気持ちを切り替え、新しいドクターと信頼関係を結んでいきましょう」と、まぁ...そのほうが穏健な成り行きって感じはします。カルテも全て持って行けるわけじゃないみたいだし(それが今後ネックになることがあるの?は分らないけど)

で、だんだん私も「転院せず、このままでいいか」という気持ちに傾いていきました。「そうだよね、新しいドクターも良いドクターかもしれないし。『これから手術』ってタイミングだったらともかく...経過観察だけなら、まぁいいか」と。そんなわけで、不安は不安でしたが、とりあえずこのままで様子を見ることにしました。

そしてやってきた5月の診察日、はじめてのT先生の診察です。
果たしてT先生の印象はというと、普通...いや、かなりイマイチ。「マイナスの思い込みを持たないように、フラットな気持ちで!」と自分に言い聞かせながら臨んだ初対面でしたが「T先生、あなたちょっとザツですね」という印象を抱いてしまいました。ザツ、っていうのは先生の口調や雰囲気...いや、重箱の隅をつつくようにアラ探しするつもりなんてないんですが...でもねぇ、最初なんだから「これから私が担当します、よろしく」くらいのことは言って欲しかったなぁ...

それでも、ま、A先生に対しても最初は「冷たい感じの先生だな」とあまり良い印象を持ってなかったわけだし。「T先生とも気長に関係を作っていければ」と、この時は思っていました。

「先生、内診で何が分かるんですか?」

それから2ヶ月が経ち、7月の診察。この時は内診があったのですが、この内診が問題、ザツでした。つまりほんの一瞬で終わっちゃった。いや、一瞬っていうのはオーバーじゃないですよ、「先生、エコーの画像、1秒でも見ました?」っていう感じ。それで「はい、大丈夫です」と言われても...A先生はいろんな角度から診るように、エコーにはある程度の時間をかけてたんだけどな。というか、A先生が担当になる前の総合病院のB先生も、他のドクターもそうだったんだけど...

気がかりだったので、エコー後の対面診察の時に「先生、内診で何が分かるんですか?」と質問しました。(そういえばこれ、謎でした。だって、もう卵巣は無いのに、何を見てるんだろう?)

先生の答えを要約すると「がんが転移するとしても、いきなり別の場所に飛ぶことはあまりなくて、最初はやはり近く(エコーで見れる範囲、卵巣があったあたりってことですよね)に異常が出ることが多い、それをエコーで見つけるのです」とのこと。

え?じゃあ、エコーの診察ってめちゃくちゃ大事じゃないですか。それが一瞬ってどうなの?
...と思いましたが、まさかT先生に面と向かってそんな事が言えるわけもなく「では次回もよろしくお願いします」のような挨拶をして病室を出ました。

T先生の言葉にモヤモヤすると同時に、手術後にお見舞いに来てくれた元ドクターの友人の一言、「よくがんを見つけてもらえたね、けっこう見落としちゃうこともあるから」も思い出していました。
診察2回目にして「T先生、大丈夫?」の不信感が「これはちょっと致命的かな」と感じるまでに。「やっぱりA先生に戻ろうかな、転院しようかな」と思いかえしました。

転院のルールって?

転院しようかな、と積極的に思った別の理由として、このころA先生が都内の別の病院で週に1回だけ診察をしてることがわかったから、というのもあります。ネットで調べると、ドクターの勤務先が今は全部出てきちゃう...すごいですよね。

それを知った時は(「T先生とガンバロウ」と思いつつも転院の選択肢やA先生のことは頭にあり、ちょこちょこ調べてたんですよね...ってストーカー的ですが)「えーっ?都内にも来ることがあるなら、A先生、最初から教えてくれればいいのに!」と思いましたが、どうなんでしょうね。美容師が美容院をかわるときに顧客をごっそり引っ張っていけないように、ドクターもあまり自分の患者を連れてっちゃいけないとか?いや、知りませんが...

で、「T先生はイマイチだし、A先生が近くで診察してることも分ったし、よし、これはもう転院だ!」とスパッと行動できればいいんですが、それがすぐできないのが私です。
「転院のルールって?やっぱダメだったりして?」と毎度のことながらオドオド、モヤモヤモードに突入しました。

ここで思い出したのがCOMLという機関の電話相談です。以前「まとめメモ」にも書いたのですが(治療や生活のことを相談できる窓口)、ラジオでこちらを知り「何かの時には、相談しよう」と思っていたのでした。(つづく)



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