見出し画像

主治医が替わるとき、どうする?ー後編(ふりかえり卵巣がん日記 #90)

主治医のA先生の病院異動にくっついていく形で、私も転院するか否か?をしばらく迷った結果「やっぱ転院するか...」と気持ちが傾いてきたところまで、前回お話しました。

専門家に相談したい

でも、転院ってわりと大きな決断です。勇気がいりました。誰か(専門的な人)に諸々の事情をふまえてもらった上で「それで大丈夫です!」と背中を押してほしい...と思いました。
で、これまでも、各場面で専門家の皆さんにお悩み解決の大きな力になってもらったことを思い出しつつ、「やはりここは公的機関に!」と、今回はCOML(認定NPO法人 ささえあい医療人権センター COML)の電話相談を利用することにしました。

こちらに相談した内容は以前、ざっくりとこちらに書きましたが、補足も加えつつ、改めてお話しすると...

「女性の大事な体なんですから」

電話に出てくれたのは落ち着いた声の女性でした。40〜50代くらいの方かな?
その方(お名前は聞かなかったが仮にWさん)に、これまでの経緯を伝えました。Wさんはとてもじっくりと丁寧に話を聞いてくれ、おかげでリラックスして安心して会話を進められました。

その中で、まず最初にほっとしたというか、嬉しかったのが「先生が異動すると聞いてとにかくショックで...」と伝えたときに、Wさんがすごく共感してくれたことです。これまで、病気をカミングアウトしてる数少ない友人たちに「主治医の先生が異動しちゃうんだよね...」と、それで不安になってることを相談するでもなく話したこともありましたが、たいてい「ふーん」くらいの反応で、ちょっと寂しかったんですよね。「病気の辛さ以外のことは、あまり伝わらないものなのかな…」と。主治医がかわるくらいフツーのこと、それでオロオロする私のほうがおかしいのかな?とも思ったり。

でも、Wさんは「それはショックですよ...だって、長いことその先生に診てもらって、手術もしてもらったんですよね」と、私の不安や動揺を「そりゃ、うずらさんのように思って当然ですよ」という感じに受け止めてくれた...これは涙出そうなくらい嬉しかったです。そしてWさんは「それは、もう、転院していいと思いますよ」とキッパリ言ってくれました。

そして「内診が一瞬っていうのも、気になりますね」と、そこにも触れてくれたので、「そうなんです、それも心配で」と返すと
「女性の大事な体なんですから。どうぞ、お気持ちのままに(決めるのがいちばん良いです)」と。

「お気持ちのままに」。この一言にハッとさせられました。そうか、この「主治医異動モンダイ」も、治療中に何回も繰り返してきたパターンだったか!「どうすべき」じゃなく「私がしたいようにする」…これ、大きな宿題でした。ついつい世間一般でヨシとされているような「べき」に従ってしまいがちでしたね、私。その結果、自分の気持ちは後回し...それがいろんなギクシャクを生み出してる、だから「それはもう止め止め!」って気をつけてるつもりだったのに。今回も根っこは同じ問題だってことに、ここまで全然気づきませんでした。いやー「べき」思考グセは、根深いですね...

それからWさんは「大学病院の先生は、どうしても異動がありますから。またA先生は異動になるかもしれませんが、その時はその時ですよ」とも。そうそう、ここもひっかかるポイントでした。「どうせまた異動になるんだから」と考えたら、転院がおっくうに、虚しく感じてしまいそう。
でも、そうですよね、「その時はその時」。その時はまた考えればいい、「まずは現状を良くすること、今が大事」と心から納得しました。

H先生に会えなくなるのは寂しいけど

Wさんと話をしながら、転院することへの迷いもほぼ消えてしまったので、事務的な手順も教えてもらいました。
こういうのはネットとかで調べればすぐわかることなんだろうけど、Wさんもサクサクと教えてくれました。ありがたいです。で、まずは...

1 移りたい病院に、A先生の患者として受け入れてくれるかどうかを確認する。OKなら、転院に必要な書類や手順なども聞く。
2 通院中の病院に転院したい旨をつた伝え、必要書類を揃えてもらう。
3 転院先の病院に再び連絡、事情を伝え、予約を取る。

以上。シンプルですね。
転院の時期についても質問しました。次は2ヶ月後、9月の診察予定だから…転院先の初診も9月になるように動けばいいんでしょうか?
「うずらさんの気持ち次第ですけど、もう、さっさと動いちゃえば?」(とは言ってないが、そういう内容)ってお返事でした。ほー、べつに2ヶ月待たなくていいのか...そうですよね、そうと決めたら、居場所は早く確保しちゃったほうが安心ですもんね。すぐに動くことにしました。

で、この電話から数日のうちに、通院中の病院から必要書類(「紹介状」ってやつですね)を送ってもらうところまで、何の問題もなくスムーズに進みました。そして、転院先の病院の予約もすんなりできました。やってみたら何も難しいことはない、病院側も「単なる事務処理」って感じでした。

もっとも「事務処理」と言っても、ここでちょっと印象に残ったことが。通院していた病院に電話して「転院したいので」と伝えると、婦人科受付のスタッフさんは「え!?そうですか、転院ご希望なんですね?」と少々びっくりした様子。「へー、ウチから出ていく患者さんがいるなんて!」と思っているような…そうですよね、実績ある病院ですもんね、まぁ、そう思うだろうな。

これまで書いてきたように、こちらの病院は諸々、すみずみまで行き届いていて万事安心して進められたし、ドクターのみならず看護師さん、スタッフも素晴らしい方が多かった。もうH先生やG先生、あの看護師さんたちにも会えないのか…と思うと、寂しかったです。仕方ないことですけど。
ヘンな例えかもしれませんが...私は学校(全般)が好きじゃなかったので「卒業=寂しい、涙」って感覚を味わったことがないんですよね。「卒業の寂しさってこんな感じなのかしら?」と、転院で非常に遅まきながら、その疑似体験ができたような気がしてます。(つづく)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?