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再び「がん相談支援センター」に相談しましたー前編(ふりかえり卵巣がん日記 #52)

前回は「動揺ど真ん中」の思い出し実況中継(?)でした。
いやー、この「抗がん剤治療を選択する」までが、私の治療生活中のいちばんの大波で...ゆえに、ついつい話が長くなるのですが、もうちょっとで夜明けです。今回は、その夜明けを呼んでくれたCさんとの対話記録です。

「うずらさん、苦しそうですね...」

さて、自分ではどうしようもできない混乱の中で思い出したのが「がん相談支援センター」のCさん。治療がスタートしてすぐに、いろいろと相談にのってもらいました。(その時のことは「ふりかえり日記」#12 #13 #14 に。がん相談支援センターについては「まとめノート」のこちらにも書きました)眠れない夜、Cさんのお顔を思い出して暗闇の中に一縷の光が...「そうだ、Cさんに話を聞いてもらおう」と夜が明けるのを待ち、朝9時の受付開始と同時にセンターに電話をしました。

電話に出てくれたのはCさん(よかった、お休みとかじゃなくて)。以前相談にのっていただいたうずらです...と、3ヶ月前のその時から今に至るまでのことをザッと話しました。

「それで...とても不安になってしまって」と伝えると、変らぬ穏やかな声で受け止めてくれるCさん。「抗がん剤治療を決めたけど、それでよかったのかどうかも分らなくなってしまいました」と、正直な気持ちをと伝えると

「うずらさん、苦しそうですね...今日これからお会いしましょうか?」と。
なんとありがたい(涙)。1時間後の面会を約束して、すぐに支度して病院に向いました。

で、結果を先に言うと、Cさんに話を聞いてもらったことで、面会スタートから30分後には晴れ晴れと「このまま抗がん剤治療を進めていい、大丈夫!」という気持ちに戻れました。(Cさんすごい!)加えて副作用への対処方などの具体的なアドバイスも、そして今回も「ハッ、そうか!」と気づかされる的確なコメントもしてもらいました。順番にお話しすると...

「大きな変化を2つ感じました」

前回Cさんに会った時は、まだ「がん」と確定していない時でした。なので「手術も無事に済んでステージ1Cの診断となりました」と、これまでの経過をまずは話しました。
Cさんは「そうでしたか...ここまでたくさん、大変な思いもされてきたことでしょう」と。「あぁCさん、本当に優しい...ありがとう」とウルウル(気持ちの上で)です。

それから本題に入って、標準治療(抗がん剤)か臨床試験エントリーか、どちらかを選択することになった経緯と、標準治療に決めるまでの私の気持ちや考え方などを改めてこまごまと話しました。

そして昨日、A先生に決定を伝えた後、副作用が現実のものに思えてとても怖くなったこと、加えて自分の選択にも迷いがでてしまったこと、「本当はやらなくてもよかったんじゃないか」と思い始めてしまったことなど...今抱えているモヤモヤや不安をすべて伝えました。

相槌をはさみつつ、じっくり聞いてくれたCさんは
「流れを説明してくださって、ありがとうございました。私、聞きながら『かっこいい』と思いました」と。
...えっ?耳を疑いました。昨日から今まで、私の中では自分へのダメ出し大会だったのに...か、かっこいい?

Cさんは続けて「お話を伺って、私、前回との大きな違いを2つ感じました」と、私の変化を二つに分けて話してくれました。

ひとつは「先生に聞きたいことをちゃんと聞けてるのが、かっこいいなと思ったんです。以前にお会いした時のうずらさんは『こういうこと聞いていいのかな?』と思ってしまうと。今回はそれとまるで違って、それぞれのメリットとデメリット、(情報が)信用できるかできないかを...そこまで聞けるってすごいと思います。」と。

続けて「『(治療法は)どっちを選ぶのもアリ』っていう先生の声を聞いた上で、副作用の生活への影響もちゃんと情報収集して、思考レベルではきちっと「それで、ゆえに/治療する」っていうところまで整理できたのだと思います。」
...と、情報収集できたことをほめてくれました。

もうひとつは「自分が絶対守りたいもののところまでたどり着けてるのがすごいです」と。「前回は全部の情報が一並びになって『どうやって優先順位を立てたらいいのかわからない』という状況だったと思うんです。それが今回は『再発を阻止する』のがナンバーワンだと、そこまで整理できた上で決められてるってのいうのが大きな違いですね」と。

そ、そ、そうでしょうか......
「もう、昨日からずっと『ほんと、私ってダメだ...』と激しく落ち込んでたんです。」と、ほめてもらってなんだか申し訳ないような気持ちになりつつ伝えると
「いや、本当に。よくここまで情報集めたな、って。たくましいし、かっこいいです。」と私の目を見て言い切ってくれるCさん。

Cさんは「私自身も「(うずらさんの場合は)しない後悔より、した後悔のほうがいいんじゃないか」って、さっきお電話いただいた時に思ってました。それを電話ですぐに伝えるか、お会いしてお話ししようか迷ったんですけど」と。
そして結論のように〈そこまで情報収集して整理して、チャレンジを決めたことはOKです。うずらさんの決断は大丈夫ですよ〉の主旨をやわらかい表現で伝えてくれました。(いろんな人、いろんな考え方、どれもOKだけど、うずらさんはそれで大丈夫ですよ、のような感じでした。)

表現はやわらかくても、ここまでの長いやりとりの随所でCさんは「うずらさん、それで大丈夫!OK !」を出してくれてたので、この時点で私はすっかり「この選択でよかったんだ」の気持ちになっていました。

続けて、Cさんは
「この臨床試験の情報(抗がん剤やらなくても大丈夫な可能性あり)の良さとしては、チャレンジして、辛くてどうにもならなかった時に『ギブアップしてもいいのかもしれない』って...これがあったら思えるかもしれませんね」と。

なるほど!

「ちょっとラフににね。気軽に考えたとして...やらなくてもいいっていう選択もあるんだったら、チャレンジしたけど合わなかったら『ま、いっか』って思えるかもな、って(ニッコリ)。」

たしかにそうですね、逆の発想。うーん、なるほどです。(そしてこのCさんのコメントは、後々、効いてくることになるのでした)

この後は私が「怖い怖い」とビクビクしていた副作用への接しかたのひとつとして「他の人はどう対処しているか、その情報を知るといいのでは?」と、患者会や情報発信団体について教えてくれました。これについてはまた次回に。 (つづく)



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