見出し画像

「がん相談支援センター」に相談しましたー中編(ふりかえり卵巣がん日記 #13)

支援センターのCさんとの面談内容、うまくまとめられずに長ぁ〜くなってしまいました。というか振り返ってみて、Cさんの言葉がどれもその後の患者生活でためになったな、と改めて思って。あまり削らずに書きたくなりました。相変わらずくどくど書いてますけど、よかったらお付き合いください。

まずは今、これが不安なんですけど...

ソーシャルワーカーのCさんとは病院の受付あたりで待ち合わせ。すぐにお互いが分かり、Cさんは面談室のような個室に招き入れてくれました。

Cさんは最初に「こちらに連絡するのも勇気がいったでしょう、それでも来て下さってよかったです」と言葉をかけてくれる。なんという安心感。
まずは、今いちばん気になっている「手術中に検査して、取るものが決まるのが怖いんです...」から話をスタート。私の現状を話します。

私の問いかけに対してCさんは
「手術中にいろいろ決まるの、不安ですよね。最大どこまでを取って、最小でどこまで取るかをよく先生に聞くといいと思います。手術を無計画に進めるのではなく、おおよその治療計画は立てているはずなので」と。
さらに「先生には『怖いから』という自分の気持ちを伝えて大丈夫なんですよ。ただ、その気持ちを伝えにくいとか、聞くとかえって怖い、など人によってそれぞれ違うのでね...うずらさんの場合はどうですか?」

と、ここでCさんはさっそく、本題とも言える「コミュニケーションできてますか?」方面にハンドルを切ってくれてるわけなんですが、私はここでもテンパっていたのか、コミュニケーション云々ではなく、目下の不安要素である「リンパ節を取るのも怖いんです」と「がんじゃないほうの卵巣を残すか取るかも迷っていて...」と、一方的に疑問をぶつけてしまいました。

も〜...こういうとこですよね。ちゃんと質問に返す形で話をしない私...一事が万事、という感じです。こんな調子でどんどん質問してしまいましたが、Cさんはひとつひとつ、丁寧に答えてくれてました。その内容はこんな感じ。

◇術中検査が怖い ⇨ どこまで取るかをよく聞いておく。治療計画は立てた上で手術はするので、今わかる範囲を聞いておく。そして「怖い」という気持ちも伝えて大丈夫。

◇リンパを取るのが怖い ⇨ リンパ浮腫になった場合でも、処置の仕方はいろいろあるし、この病院にはリンパ浮腫の専門外来もあるので、そこで対応もできる。(「リンパ浮腫を理解するために」という小冊子もくれる)

◇卵巣を取るか否かを迷ってる ⇨ 主治医の先生からの情報以外に、看護師による看護相談で情報をもらうこともできる。これもヒントになるかも。(看護相談の予約をとってくれる)

Cさんからのアドバイスを聞いたこの時点で、もう、だいぶ気持ちがすっきりしていました。でもね、「看護相談」というシステムは知らなかったけど、それ以外に答えてくれていることはだいたい、なんとなくだけど自分でも把握してることなんですよね。

自分の不安を人(信頼できると感じる人)に話し、受け止めてもらって、何らかの答えを返してもらう、そのプロセスだけで、ほぼ問題は解決してるんじゃないか、と感じています。
そして、これも全てのことに当てはまるんだろうけど「よく知れば怖くなくなる」のも鉄則なんだと思います。「どこまで取るかをよく聞く」こともそうだし、リンパ浮腫の冊子をもらって読んでみることもそう。

「全体が見渡せない」「コミュニケーションの取り方が分からない」というモヤモヤの上に、さらに「分からないこと」や「考えなきゃいけないこと」が乗っかってる、この時の状態。まずは、乗っかってる目先の要素をひとつひとつ取り出して、「こういう状況」と確認して整理すること、それだけでかなり安心するんですね。それを自分1人でやるよりは、人と共有して認めてもらったほうが、より確実に感じて安心感も増す、ってことなんだろうな。

コミュニケーションが苦手なんです

「卵巣を取るか否か」の話でCさんは「もう少し、主治医の先生によく聞いた方がいいかも。聞く時には、今のうずらさんのように聞きたいことをメモしておいてそれを見ながらでもいいし、疑問点を箇条書きにして、先生に渡してもいいんです。メモ書きの状態でもいいし、人によってはワードなどで打ったものを渡す人もいるようです。そうすると先生も全体を見渡して話やすい、ってこともあります。」

と、ドクターに質問するときの具体的な方法を教えてくれます。再び話題がコミュニケーションに戻ってきて、ここでやっと私は

「今まで大きい病気をしたこともないし、手術も初めてで、先生とのコミュニケーションが難しくて...」と切り出せました。
「『こんなこと聞いていいんだろうか』『こんなこと聞いたらどう思われるだろうか』というのをすごく気にしてしまうんです。『術中検査って、本当に大丈夫なの?短い時間の間の検査で間違いとか無いの?』って思ってるんですけど、うーん...こんなこと聞けないですよね...」

この「ほんとに大丈夫なんですか?」というのは私の心の叫びなんですが(笑)これを聞いてCさんは「なるほど、そうだったんですね。」と納得して、
「その言葉を、そのまま伝えても間違いじゃないんですよ。でも『こんな言い方していいのかな』と思うのであれば『いろいろ見てて、すごく心配になった』と、心配な気持ちを伝えるといいかな、と思います。先生に疑問点を聞くと、非難するようになってしまうのが気になりますよね。『私が心配になったのは、この資料を見て...短い時間にこれだけ決めるって先生方も大変だろうし、早めに決めるリスクもあるのかな?と思って。私自身、イメージがわかなくて、このへんのプロセスって、どうやってやるのか教えてほしい』って言ってみるとか。『教えてください』という視点で言ってみるといいかもしれません。」

なるほどー!言い方ひとつで全然違う。そう言えばいいのか。会話の工夫、普段からできてないよね、私...。

続けてCさんは「あとね、『いい患者』である必要は無いです

!!そうなんですね!!

「いい患者であろうとすると、優等生みたいな感じで、あまり質問もしちゃいけないんじゃないか、いろいろ聞かないほうがいいかな...ってなってしまうから。でも、大事な体のことですから、聞きたいことは聞いていただいて。それに、聞かないと先生方も『あ、もう全部わかってるんだな』って思ってしまうかもしれない。
分からないものは分からない、聞きたいことは聞きたい、心配なことは心配で決められない、と伝えていただく。勇気のいることだと思うんですが、伝えていただいた方が、治療はうまく進むはずです

この「いい患者である必要は無い」が、私には衝撃でした。Cさんへの質問を事前にメモしたノートには、まさに「いい患者になりたい。そのためには?」と書いていたんですから。もっとも、この時に私が考えた「いい患者」というのは「ちゃんとコミュニケーションが取れて、納得して治療を進められるようになる」っていう意味だったけど、それでも「いい患者」って人から見た自分ですよね。ここですでに主体的じゃない、っていうか。

「自分主体で発信してOK!」を端的に現したこの言葉に、目からウロコがポロポロ落ちました。

そしてもうひとつ「そのほうが治療はうまく進む」という言葉にもインパクトがありました。この言葉からは「患者も治療に参加している」という感じをすごく受けます。それまでも本やネットで「チーム医療」という言葉を見かけ、患者もその中の一員、という概念があると知りましたが、それを実感しました。

再び、コミュニケーションの話題に戻ります。

Cさんは「大きい病気も入院も初めてとおっっしゃってたので、例えば『入院も手術も初めてなので、先生、失礼があったらごめんなさい。でも自分の体のことだから、分からないことは聞いていいですか?』って、はじめに言っちゃうのもいいかもしれないです。」

「あと、ポーカーフェイスで対応するよりも、例えば頭が真っ白になっちゃった時は『頭真っ白になっちゃいました。聞きたいことがいっぱいあったんだけど、いま何を聞いたらいいか分からなくなってしまって。1回考える時間をもらえますか?』とか」

などなど、「こんな風に話をしたら?」と具体的な話し方を教えてくれます。こういう話し方なら、なんだかできそうな気がしてきます。

「先生方は患者が病気のことを受け止めるペースを確認しながら情報を伝えていくはずなので『ここまでは理解できてるよ』とか『ここまではわかったけど、ここはわからない』を伝えると、先生も言葉や伝え方を工夫してくれたりするので。」

ひたすらうなずく私。
フランクに話をしていいし、不安なことは不安って率直に伝えて良い。そうなのか...当たり前みたいだけど、患者初心者の私は、どれくらい会話のハンドルを切ってもいいのか?も分からなかったのです。あぁ、今日Cさんに会えて本当に良かった。

そして今度はCさんからの質問が。「あとね、うずらさん。お仕事の時、上司と話すときってどうですか?どんなふうに話すかしら?」


「そうですね...あまり必要以外のことは話さないです。それに私は、何事にも『自分が我慢して済むなら我慢しよう』って思います。」

Cさん
「そうだったんですね...そうするとコミュニケーションがストップしてしまう場合もありますよね。では、会社以外の方とのコミュニケーションも、そのような感じですよね。」


「そうなんです、だから今回ハードルが高いというか。今まではそれで済んできたんですけど、今回、ちょっと大変な病気かも、ってなって改めてそこに直面して『難しいな、どうしたらいんだろう』となって」

Cさん、鋭い。問題の本質はここでしたよね。コミュニケーションができてないこと。改めてここを指摘してくれたCさん、すごいです。

「そうだったんですね...」とCさんは頷きつつも「でもね、うずらさん、今日はちゃんと、たくさんお話されてますよ〜。電話で話した時の印象から想像していたよりずっと溌剌とされている。」と笑って言ってくれました。
わースミマセン、「あ、この人には話しやすい」と思えると、安心してバンバン話せるんですけど...

Cさんは「先生とのコミュニケーションも、思考タイプというか、頭で考えて『これを聞こう』と準備して話す方、そうじゃなくて感情面から話す方、いろいろですけれど、自分のやりやすいほうでね、大丈夫ですから。」とコミュニケーション問題を締めくくります。

問題の本質も分かったし、具体的なアドバイスもたくさん。Cさんありがとう!感謝、感謝です。
(とは言っても、この「コミュニケーション問題」は一朝一夕にクリアはできず。そりゃ50才過ぎまでやってこなかったこと、急にばっちりできるワケないですもんね。この後も試行錯誤は続き、今もまだまだ修行中。)

あれ、長々と書いたのに、最後までたどり着けませんでした。もうちょっとで面談は終わりなんですけどね。この続きはまた次回に。(つづく)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?