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限度額適用の入院費は?(ふりかえり卵巣がん日記 #38)

13泊14日の入院生活を終えて無事、退院です。


看護師さんたちに見送られ、入院病棟からいつもの外来フロアに降り、入院会計窓口で精算しました。

私の入院は5月28日から6月10日まで。月をまたいでいるので、5月と6月それぞれの月、2ヶ月分の請求がありました。この時初めて高額医療費の「限度額適用」を受けました。

いくら支払ったかと言うと

限度額適用制度とは「医療費(保険適用内の治療)が高額になった時は、ある一定の金額以上は払わなくていいよ」というもの。これはすべての公的健康保険にある制度です。私はフリーランスなので国民健康保険加入者、なのでここからするお金の話は私の場合、国保の場合のお話です。

支払う「一定の金額」は所得(その年に申告した所得)によって決まります。この時の私は、安いほうから2番目、自己負担が月額57,600円の枠になりました。
いくら高額になっても、治療費はひと月57,600円でOK...って「これは助かる!」のですが、そう、私の場合は2ヶ月分の【57,600円X2=115,200円】が請求されます。これに自己負担の食事代、【1食460円X食事回数】がプラスされた金額が総費用、合計129,460円でした。(大部屋なのでベッド代は0円)

そうか!と、ここで明細を見て初めて気づきました。仮に数日ずれて6月入院だったら、請求されるのはひと月分、57,600円で済んだわけですね。そうか、あちゃー...。

でも...これは仕方ないですね。入院前にこれに気付いたとしても、前倒しにしてもらえるならともかく、診療費節約のために入院日を後ろにずらして6月にしてもらう(ことができたとしても)、そうはしなかっただろうな、と思いました。


手術が2、3ヶ月先でも最終的な着地点は変わらない、とドクターから言われていたし、数日手術が遅くなったことで何か致命的に悪くなることも無かろう...とは思います。でも、自分からたとえ数日でも、あえて手術を遅らせることをお願いする気持ちにはなれなかっただろうな。「あの時、少しでも早ければ...」ってことになったりしたら...なんて考えちゃうと恐い。そもそも100人単位で手術待ちの患者さんが居る状況で、やっと決まったスケジュールを動かしてもらう、って現実的じゃない気がします。


それよりも「ふつうに3割負担なら45万円近い金額がこれで済むとはありがたい、最先端の標準治療といたれりつくせりの入院生活が13万円足らずで受けられるなんてすごい!」と、それが実感でした。

ようやく「自分ごと」に

さて、お金の話となるとどうもしょんぼり、細々と暮らしているフリーランスの独り言になっちゃって恐縮ですが、もうちょっと続けます。

一言でフリーランスと言ってもピンキリで残念ながら私は「キリ」、安定してしっかり稼げるフリーランスじゃないので、年収は年によって結構違います。
なので、たまたま比較的いっぱい稼げた年の翌年に保険料の請求がドーンと来たりする...で、これを支払わなきゃいけない年は、収入が少なかったりして。そんな時は、通帳から毎月削られる金額を見てガックリすることもしばしば。あぁ、国民健康保険料、高すぎないか?



でも、入院精算時には「公の健康保険制度ってものがあって本当によかった...」と拝むような気持ちでした。民間の医療保険にも入ってなかったから、なおさらです。セーフティーネットへの意識ゼロ、備え無しだった私を救ってくれた「限度額適用制度」に感謝。

高い保険料でも、これからもちゃんと払おう、私を救ってもらった恩返しだわ、と殊勝にも思ったりして。

なんて言いつつ、保険制度全般をきちんと理解してないよね、私...で、ちょうど先日、確定申告を済ませてきたタイミングも相まって(お金のことを考える頭になっています)改めて日本の保険制度の情報をネットで見てみました。
国民健康保険が高いとよく聞くけどそれはどういうこと?医療費ってどんな割合でどこが負担してる?などを探ってみると...フリーランスってやはり社会的に弱い立場だなぁ...と不満に思うこともいろいろ。しかし日本の皆保険制度そのものは素晴らしいと思います。これを誰もが平等に恩恵を受けられるようにどんどん改良していってほしい!

...と、私がこんなふうに社会制度などを「自分ごと」に思えるようになったのは、がんになってからです。それ以前は自分と社会の接点をあまり感じることなく過ごしてきました。いいトシなのにね...そうやって来ちゃった、ダメな人です。でも病気と向き合ってみると、その向こうにはいろんな「社会」が見えてくる。「自分ごと」となってやっと、お金や社会の仕組みのあれこれについて「え、ちょっと待って、それってどういうこと?」と意識するようになりました。これまでは真剣にとらえる機会が無かったっていうか、すべて他人事としてスルーしてきたというか...。

「がん」のおかげで、ようやく自分と社会、世界のつながりを感じられるようになるなんて。(はー...書いてて恥ずかしいですね、今ごろこんなこと言ってて)でも、意外なオマケがついてきたみたいな、新鮮な思いです。自分が生きているこの世界は、どうやって成り立ってるのか?が少しずつ見えてくるのは面白い。こんなふうに、遅ればせながらちょこっと意識が変わってきたのも「病気の恩恵、がんのおかげ」のひとつと思っています。

今回はお金の話、私の独り言になっちゃいました。来週からは退院生活スタートです。 (つづく)

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