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後期企画合評会レポート

文責:深川文
6月15日(土)に対面とオンラインを併用で、文芸誌『いつもあなたのそばに文学を』後期企画の合評会を行いました。

文芸誌『いつもあなたのそばに文学を』について

文学に対する「すき」の形を,いろんな形で表現することを目指した文芸誌。
前期(7月~2月)後期(3月~4月)でテーマを設定し、作品を募集する。
小説、詩、短歌、俳句、文学研究、その他の5つの部門で構成する。
2024年8月5日刊行予定

後期企画内容

後期全体テーマ:つながる―好きをシェアする―
<作品テーマ>
・小説:①みんなで考えた設定を元に小説を書きます。(2名以上の参加で実施)
②自分の好きな作品に登場する場所を舞台に小説を書いてください。
・詩:著作権の切れている作家さんの小説,短歌・俳句をモチーフに,詩を書いてください。
・短歌:自分の推しにまつわる短歌を書いてください。
・俳句: 自分の好きな作品に登場する風景で一句を詠んでください。
・文学研究:自分の好きな作品を読んだ感想や聖地巡礼記を書いてください。
・その他: テーマ設定に関係なく,自分で自由に書いた文学作品をぜひ送ってください!

参加者の皆さんについて

今回は自己紹介の代わりに、自分の好きな文学作品の一文とその理由を書いてもらいました✨
📖深川文(司会進行)
小説①・②部門、短歌部門、俳句部門に参加。
好きな一文:「君よ、春が来るのだ。冬の後には春が来るのだ。君の上にも確かに、正しく、力強く、永久の春がほほえめよかし……僕はただそう心から祈る。
好きな一文を選んだ理由:何度読んでも心を励まされる一文。大学受験の際も、この一文を思いだして、「あと少し頑張ろう」と思った。この一文を目にする度に、目の前に春の気配があるような気持ちになり、自然と体が温かくなる。

📖岬
短歌部門に参加。
好きな一文:「なんでもは知らないわよ。知ってることだけ。」
好きな一文を選んだ理由:羽川翼が「なんでも知っている」物知りであることを示すと同時に、彼女さえも知らないことがこの世に存在することを示しているから。

📖無題
短歌部門、小説②部門に参加。
好きな一文:「どうせ俺はつまんないよ!一人でさみしく年とって死にますよ!それでいいんだろ」
「俺がずっと一緒にいるよ」
「え?」
「つづき。『俺がずっと一緒にいるよ』。ほら、ちゃっちゃと書け」
「ああ、うん」
好きな一文を選んだ理由:全然一行じゃなくて申し訳ないのですがこのシーンが本当に大好きなので選ばせて頂きました。このシーンは三浦しをんの短編集「きみはポラリス」の中にある「永遠に完成しない二通の手紙」というお話の中に出てくるシーンです。 互いに小学生からの幼なじみである岡田勘太郎と寺島良介。ある日寺島が合コンで出会った女性にラブレターを書くため岡田に助けを求めるのですが、なかなか上手くいかず恋人が出来ないことを寺島は岡田に愚痴ります。岡田は昔から寺島に恋心を抱いており、寺島の愚痴を聞いて自分が恋愛対象にも入っていなさそうな所をもどかしく、悔しく思ったのか、つい「俺がずっと一緒にいるよ」という本音がこぼれてしまいます。そのあとラブレターの一節であるかのように誤魔化したところが岡田のいじらしさ、長年思いを隠し通してきたからこそ溢れてしまった言葉に胸を打たれました。

📖金川めい
小説①部門、短歌部門に参加。
好きな一文:「信じられているから走るのだ。」
好きな一文を選んだ理由:「信じられているから走るのだ。」という言葉の重さを感じたからです。 最初は、前から心に残っていた、メロスとセリヌンティウスが互いに殴り合い許し合って抱擁する場面から一文を…と思いましたが、作品を読み返すうちに、この言葉が私の心から離れなくなりました。 「(私は彼に)信じられている」と言うことができるほどの、メロスとセリヌンティウスの信頼関係に憧れます。 そして、このようなことを言ったり思ったりすることの少ない私は、少し残念な人なのかもしれません…。他人からかけられた信頼や期待をも「本当にそう思ってるのかな」と思い、「私は信頼されている」と自覚するのも遅い私にとって、この一文は深く刺さりました。

参加レポート

1.アイスブレイク(推し語り)

本日のゲストのパモとハチワレ
満喫中です🎵


 今回のアイスブレイクでは、企画のうちのひとつに『推し短歌』を入れていたことから、自分の推しに関する簡単なプレゼンテーションと、それに対する質疑応答を行いました。
 プレゼンテーション時に、生き生きと自分の推しを語る発表者さんと、その表情につられて自然と楽しそうな表情を見せるようになってくる聞き手さんが印象的でした。推しに対する質疑応答の際も、推しているポイントの深掘りや推しの登場する作品の中で特におすすめのものは何か、もし推しと直接会ってお話しできるなら……などなど! プレゼンテーションで語られた推しの魅力が多角的に掘り下げられていく点を面白く感じました。
 また、発表者さんの熱く語った推しについてを踏まえた上で、発表者さんが今後好きになりそうな作品の紹介も行われていました!

2.合評会
アイスブレイクを通して、自分の推しについて思う存分共有し合えたところで、合評会の開始!
はじめに執筆された方に作品の制作秘話をお聞きした後、作品を読んだ感想を熱く語り合います🔥短い期間の中での執筆にはなりましたが、どの作品も素敵なものばかりで、みなさん、作品に対する感動を思う存分語っておりました✨特に推し短歌では、どのようなシチュエーションや推しのどのような部分が詠まれた歌であるのかの解釈が多様で、盛り上がりました!
 作品を読んでの思いを丁寧に執筆者さんに伝える参加者さんと、参加者さんから聞くことのできる感想の豊富さに嬉しそうな執筆者さんの姿が印象的でした。本当に2時間があっという間でした!

作品を印刷したものと作品に対するコメントシート
熱いコメントがびっしりと書き込まれています!

参加者の皆さんの感想

🌸岬様:みんなの作品を読んでその感想を共有できてよかった。新しい推しの予感に出会ったりインスピレーションも受けることができた。

🌸金川めい様:推し短歌も小説も、「私が伝えたいことを相手に分かるように表現できているのか」と不安に思っていましたが、合評会を通して、私の表現・言葉選びに込めた想いをみんなが読み取ってくれていたことを知り、ありがたいなと思うと共に、私の表現の仕方も間違ってはいなかったんだなと安心しました。 それぞれの推しの話で盛り上がることができたのもすごく楽しかったですし、自分以外のひとの推しについてを伺うことが出来たのでさらなる創作意欲が湧いてきました。 とても充実した会だったと感じています。

参加者の皆さん!
合評会にご参加いただき、本当にありがとうございました✨
皆さんと作品の感想を共有したり、好きな作品を伝え合ったりすることの出来る、とても楽しい時間となりました。ありがとうございました。
参加者の皆さんには、7月14日以降に、完成した文芸誌を贈与させていただく予定です!
なお、参加者以外の方も文芸誌を購入できるように、現在、BOOTHを整備しているところです!近々告知を出していきますので、よろしくお願いいたします✨


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