ウォーキング風呂グ VOL.2 その2 シェラトン舞湯

【シェラトン・グランデ・トーキョーベイ 舞湯 到着】

距離を数百メートルかせぐためにマラソンロードを遠回りし表玄関まで回り込んで到着した。これできっかり7.0キロのウォーキングとなった。まあまあがんばった。

ベルボーイが宿泊客の荷物を降ろしている中央玄関から入る。ディズニーリゾートのホテルなのでラフな格好の客も多くTシャツに短パンでもそこまで浮いたりしない。
あまり表立って宣伝してはいないが、シェラトンにはオアシスと呼ばれるフィットネス専用の別館が併設されている。宿泊客のみならず、13歳以上ならば税込2700円で室内プールとフィットネス、舞湯(大浴場)とキッズランドの利用が可能なのだ。スポーツクラブに通うほど運動しないやる気のない私みたいなタイプの人間には大変オトクなシステムだ。

私はここで舞湯(まいゆ)という大浴場のみをビジターとして利用させてもらっている。中央ロビーから地下へと下がったところにある受付に舞湯のみのビジター利用を伝えると、なんとなくお呼びでない顔つきをされるが気にしてはいけない。舞湯の利用は大人1,100円。午後3時から夜中12時まで営業。ロッカーの鍵をもらって中に入る。

湯船はお湯と水の2つ、そしてサウナ。これだけ聞くと1,100円はけっして得に思えないと思う。でもね、入ってみれば、スペックだけではわからない価値があることがわかるはず!結構いろいろ健康ランドを巡っている方だと思うが、入るたびにここが一番いいお風呂だと確信する。デザイン、水温管理、アメニティ、サウナの温度、タオルの品質すべて100点満点なのだ。

とりあえず入るとそこはローマ帝国か?というような豪奢で気品ある作り。10帖ほどの八角形の踊り場に数本の大理石の柱がそびえる様は入る者の心に私というビーナスの誕生を待っていたかのように錯覚させる。LUXのCMなのかな?という勘違いでもいい。とにかくバスタオル一枚をはらり翻して私は女優よと言いたい気分にさせる作りをしているのである。でも彫刻とかは置いてないし金ピカってわけでもないから大阪のスパワールドみたいに下品じゃないよ。

そしてシャワーヘッドは口径6.5cmのマグナムサイズ。水穴がたくさんある銀ピカなヘッドは水のあたりも柔らかく、さすが一流ホテルのシャワーだなと感じさせてくれる。シャンプー・リンス・ボディーソープもよくある馬油とかのじゃなくて、ケースも透明なおしゃれ仕様な上、中身も透明・白のナチュラル系でかすかにミントの香りがする使用感のよいテクスチャー。

お風呂は水深65cm、温度は40.2度。軟水。おしり着地で座ると下唇ぐらいまでお湯が来るぐらいにたぷたぷに溢れているのだがここのように首まで贅沢につかれるお風呂はなかなかない。そして特筆すべきはこの温度。誰が一体この温度を発明したの?と褒めちぎりたいぐらいに絶妙な気持ちよさ。お湯も何か特別な処理がなされているのではないかというぐらいに肌当たりが柔らかくなめらか、吹出口からはかけ流し温泉のように絶え間なくこんこんと泉がお湯がわいては水面に美しい流曲線の波を送り続けている。

ここの水風呂もまた、ほかの温泉銭湯施設にはあまりない特性を持っている。水温が29.8度。めまいを起こすほどに冷たい銭湯の水風呂より10度以上高い水温設定にしており、これがまた味わったことのない絶妙な気持ちよさをキープしている。本気のサウナ好きからすればこの温度設定の生ぬるさはきっと受け入れられないクラスなのかもしれないがここは夢の国。赤ちゃんや低学年の子供連れも多いホテルの風呂なのだ。このぐらいにヤワな大衆向けに振ってきたところは英断だと思う。
温水風呂と水風呂は仕切り一つで行き来できるので人魚のように足を滑らせてボシャンと入るのもとても楽しい。入ったときは冷たいと感じるものの、腹に力を入れて首まで浸かるともうずっとここに浸かっていればいいのでは?と思えてくる。吹出口からは常に水とお湯が同時に噴出されスプラッシュされつづけている。水面を滑りつつ消えていく水の玉のアニメーションを見ていると脳がだんだん無の境地に近づいてくる。
水風呂で冷んやりしたあとはサウナ。ここのサウナがまたなぜかわからないが気持ちがよい。3畳ほどの狭い空間なのだが、室内の飴色に焼けた木材の材質がちょうどいいのかどうなのかわからないが特別なものに感じられる。サウナ内にはテレビもない、砂時計がひとつあるというところがまたストイックでしびれるポイントだ。

この風呂は出てからもまたさらに驚きがある。
なんと、タオルが使いたい放題なのだ。更衣室にはハンドタオルとバスタオルがどどどーんと数千枚は平積みされている様は一流ホテルの鷹揚さが感じられ心に平安をもたらす。
ドライヤーも心なしかちょっといいやつを使っているようで髪の乾きもよい。鏡を見ていると髪のツヤもいつもより明らかに良いのがわかってくる。軟水が髪によいのだと実感する。
クレンジング・洗顔フォーム・化粧水・乳液も備え付けてあるのもホテルならではだ。
そしてまた、これが私の心をかなり揺さぶったのだが、更衣室中程のリラクゼーションスペースにはそこそこ最新式のマッサージチェアが二台置いてありどこを探してもお金をチャリンするところがない。そう、無料で使い放題だったのだ!この大盤振る舞い演出には流石に私もぶったまげた。マッサージチェアでブルブル体を揺らしながら笑点の歌丸師匠さよならスペシャルを大画面テレビで鑑賞しつつ、さすがはホテルの後ろ盾よ…とおおいに唸った日曜日だった。

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