麺・イン・ブラック
完結編。
さあ出掛けよう
今年もやりました。焼きそばをたらふく食べる旅in青森市。1年ぶり3回目でございます。お待たせしましたね。行ってましたよ今年も。今年は1店舗増やして4店行きました。去年の3店ですらきつかったのに。なんで増やしたんですかね。たぶんアホなんでしょうね。
自家製孔明
わざわざ有給を取って青森市に来ている。金曜日。焼きそばの為に。3年目の今回は行ったことがないお店を狙って回るつもりだったが、「ここは絶対再訪しよう」と前から決めていた1軒目にまず向かった。
1軒目。焼きそば麺広。今回で来るのは3回目である。初回・2回目と自家製麺が売り切れた後に訪れたので、製麺所(おそらく原田製麺)の麺を使用した煮干し醤油焼きそばしか食べたことが無かった。三度目の正直。三顧の礼。今回こそは自家製麺で食べたい。このお店は店内飲食を平日に限定しているので、僕はわざわざ金曜に有給を取っている。そう、「焼きそばの為に有給を取った」というより、「自家製麺を食べたいから有給を取った」のだ。到着したのは12時半。入店すると先客が1人。煮干しの焼きそばを食べている。うまそ~。漂う良い匂いに腹が騒ぎ出す。焼きそばのメニューはソースか煮干し醤油かの2つ。麺の量は大中小特大から選ぶことができる(煮干しは大と中)。朝から何も食べていないんだ。大いっちまうか。いや、2年前にそれをやって地獄を見ている。それにそろそろ量も食えない年頃。僕は大人になった。目先の事で判断せず大局を見れる。まだこの後があるんだ。店員さんに中サイズの煮干し醤油焼きそばをお願いした。
運ばれてきた。今までに言われてきた「自家製麺売り切れちゃったんですけど~」が今年は無い。ということは自家製麺?孔明出てきた?玄徳が箸で麺を手繰る。ぱっと見は製麺所と変わらないような気が。啜る。美味しい~。やっぱり美味しい。初手からグッと香る煮干しの風味が素晴らしい。そして麺は前回より気持ちふわっとしている気がする。以前、自家製麺について尋ねたら「ちょっと太めでモチモチした感じ」との事だったので、やっぱりこれが自家製麺なんだろう。卓上には味変用にマヨネーズやらなんやらあったが、目もくれず一心不乱に啜る。うんめっ。今これを書いている僕の腹が鳴った。また食いてぇ~。
焼きそば麺広
https://tabelog.com/aomori/A0201/A020101/2011462/
EatWell. LiveWell.
完食して次のお店へ。今回の事を伝えた友達から「焼きそば焼翁」というお店を教えて貰っていた。合浦公園の近くらしい。幹線道路沿いにお店があったが、暖簾が出ていない。休みか?よーく見ると店内がガランとしている。いやガランとしてるっていうか、中に何もなくない?テーブルとかなくない?えっ、閉店?Googleじゃ営業中になってるぞ。
閉店していた。恐らくは最近閉まったんだろうか。おいおい。オムそば食べたかったのに。Twitterで閉店していた事を呟くと友達から返信が付いた。どうやら小指でケジメをつけてくれるらしい。物騒。
とりあえず次のお店に向かう。次は前から行ってみたかった通称「東の横綱」。2年前に行こうとしていたが、定休日で行けず終いだった。今回はちゃんと営業している。離れた所に車を停めて歩く。住宅街のど真ん中だ。
2軒目。後藤食堂。流石人気店だ。カウンターとテーブル席がほぼ埋まっている。明るい店主のオバちゃんに促されて一番奥のテーブル席へ。どうやら1人で切り盛りしているんだろう。忙しそうなオバちゃんのタイミングを見計らって「卵焼きそば」の並を頼む。まだ2軒分の余白を腹に残さないとな。店内を見渡す。壁に張り紙。「麺の量が並でも2玉なので残さないように頼んで下さい」。やっべ。
オバちゃんに呼ばれ、カウンターに載せられたお皿を取りに行く。こんもり。麺の量も結構あるが、キャベツも多めだ。セルフの紅生姜を添えていただく。今まで食べた青森の焼きそばの中では油が少ない気がする。良い意味でボソボソ感があるというか。それにソースも甘さよりスパイシーさが前に来ているような。美味しい。実はテレビで作り方を見たことがあるが、良いか悪いか、オバちゃんは味の素を大量投入していたな。でもそんなに舌がビリつかない。卵と一緒に食べると柔和な味わい。美味しい~。
後藤食堂
https://tabelog.com/aomori/A0201/A020101/2002468/
ちょっと休憩
小サイズにすればよかった。腹ごなしにどこか歩こうと、携帯でスポットを探す。合浦公園の少し奥に「堤川緑地公園」なる場所を見つけた。
天気は良くなかったが、風も無く、穏やかな海面を見ながら休んだ。コンビニで買った黒烏龍茶を飲んでふと駐車場を見る。本人は死角だと思い込んでいるんだろうか。おっちゃんが植込みに尿で水やりをしていた。うわ!令和の世に立ちションだ!しかも中々な勢い!お若い!
おっちゃんの立ちションを見た後、刑務所に向かった。別に出所を迎えに行くとかではない。塀の中に知人はいない、はず。もしかして誰か入ってる?入ってたら出所の日時教えてくれ。オーシャンズ11のブラピの真似するから。ムショ前でチップス食って胸やけするから。
以前何かで知った、受刑者が刑務作業で作成した品がお目当て。ここには展示場が併設されているのである。確か青森市の刑務所では木工品と縫製品が製作されていて、意外に家具や服の質が高いし安価で販売されている、みたいな話を聞いた事があった。ちょっと気になる。車を停めるが、建物に明かりはついていない。あれ?やったか僕。
やってなかった。またやったわ、僕。焼きそば食いに行こう。
かなェ門で飲ろうぜ
3軒目。お好み屋かなェ門。あえて焼きそば屋ではなく、お好み焼き屋で焼きそばを食べるという通な感じ。鉄板からそのまま食べさせてくれたりするんだろうか、なんて期待して入った僕にお店のオバちゃんが、「ごめんなさいね、今は持ち帰りだけやってるの」と。あらら。仕方ないね。ご時世だし。しかし店内の雰囲気はどストライクだ。褪せた赤のテーブルが良い。ここで瓶ビールとお好み焼きなんて最高だろうよ。気になる「ハムマヨ玉」をつついてさぁ。ビアタンに注いだ麒麟をクっと飲み干してさぁ。カーッ。悔やまれるぜ~。憎いぜ~ウイルスが。
焼きそばの並をお願いして、すぐ近くのコンビニ駐車場で食べる。黒烏龍茶は2本目。青海苔でなく刻み海苔というのは初めてなビジュアル。車内にソースの良い匂いが充満する。いただきます。結構甘めなソース。そしてキャベツが甘いぞ。美味しい。刻み海苔というのもまた青海苔と違った香ばしさがある。そしてパックが良いね。縁日の焼きそばを思い出す。500円で具はキャベツだけだったわアレ。嘘みたいな量の青海苔かけられてね。歯が真緑になったりなんかして。来年こそは復活期待してます、神明宮。
お好み屋かなェ門
https://tabelog.com/aomori/A0201/A020101/2002719/
ギブ
流石に満腹である。しかし去年の自分を超えたいという思いが何故か強くある。1軒多く回る事がどうして自分を超えることになるのか。良く分からない自説に動かされて4軒目。もう割と食べたくなくなっている。
4軒目。やきそば しおや。8月の暑い夏の日でも容赦なく熱いほうじ茶を出してくれる、それがしおや。半端な時間に行ったため、店内は僕一人。テレビを見ていたおじちゃんが僕に気付いて厨房に立つ。メニューを見ると焼きそばにいくつか種類があるようだ。「焼きそば」の他に「オム焼きそば」や「あんかけ焼きそば」が並んでいる。「赤焼きそば」「黒焼きそば」なんてのもある。しかしノーマルな焼きそば1択。味変なんて弱虫の行いだ。嘘です。
焼きそば並。美味しい。キャベツがシャキシャキ。割とオイリーでソースも濃い。満腹感に追い打ちをかける。そして熱いほうじ茶がこれまたツラい。いくら猛暑とは言え、人間熱いお茶を飲むと「食事の終わり」を感じてしまって箸が進まない。俺は何をやっているんだ。わざわざ滅多に取れない有給を使って。焼きそば4皿食ったって何にもならないぞ。せいぜい話のタネにして好奇の目を向けられるだけなのに。なんとか気合で完食し、コンビニで3本目の黒烏龍茶を買った。
焼きそば しおやhttps://tabelog.com/aomori/A0201/A020101/2004913/
反省しています
やってやった。1日に焼きそば屋を4軒ハシゴしてやった。パンパンに膨れた腹をさすりながら、銭湯に向かう。お決まりの焼きそば後の風呂。風呂→水風呂→休憩の交互浴を3セット決め、帰路につく。たぶん体には良くない。途中、八甲田山雪中行軍遭難資料館に寄ってみた。資料館はもう閉まっていたが、建物裏手の芝生に犠牲になった軍人達の白い墓石が左右対称に並んでいる。荘厳で無機質な美しさ。そういえば僕はこれから八甲田山を越えて帰るんだよな。つまり事件現場を通るんだよな。しまった。もう日暮れじゃないか。もしかしたらご丁寧に彼らが案内してくれるかもしれない。ありがた迷惑だ。丁重にお断りしたい。
満腹感によるものとは言い切れない、もしかすれば別のものによるかも知れない眠気と戦いながら山を越え、何とかアパートに帰った。お疲れ、僕。しばらく焼きそばから距離を置きたい。今日で少なくとも6.5玉は食べてるからもう充分だ。汁がある麺を食べたい。出汁が効いたうどんとか食べたい。部屋着に着替えて冷蔵庫に向かう。ビールが飲みたい。キンキンに冷えたビールで、食道にこびり付いたソースを洗い流したい。鼻腔に居座る香辛料の匂いを追い出したい。しばらくは、少なくとも1ヶ月先までは焼きそばを食べなくても良いだろう。嫌いになるわ、焼きそば。今はちょっと、大丈夫だわ。
ガパッと扉を開ける。あ、マルちゃんの焼きそば買ってたんだった。
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