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宇都宮焼売

宇都宮で飲みました。

レッツ宇都宮

 3月の中頃に諸事情で宇都宮にいた僕は、ホテルから宇都宮駅を目指していた。夜19時過ぎ。「せっかく宇都宮で一泊なんだから餃子とビールで優勝じゃい」なんて意気込んで、肌寒い夜を長袖シャツ一枚で歩いていた。寒すぎ。いくら関東とは言えシャツ一枚は無理だった。すれ違う人コート羽織ってるもん。こっち見んな。大丈夫です。もちろん寒いです。

 日曜の夜、人出は予想よりも少なめである。このくらいならどこの居酒屋でもすんなり入れるだろう。1人だし。早く熱い餃子を冷たいビールで流し込みたい。下調べはしていないが、ここは『餃子の街』宇都宮。必ず駅前に餃子店があるはず。無いはずが無い。角を曲がると駅舎が見えた。駅から伸びる車道を挟んで、駅前らしく、辺りにはチェーンの居酒屋や薬局、金券ショップなんかが立ち並んでいる。餃子店も何軒か。あ、あそこの看板にいる「餃子の健太」ってキャラクター、もしかしてSZBHの「がっかり観光死にるるぶ」で言われてた「スタシナ健太」じゃない?だとしたら良い物見たな。ラッキーだぜ。

宇都宮駅前

 さてどこに入ろうかと眺めると、通行人の列とは違う列が歩道にできている事に気付く。これは、もしかして。一番近い行列に近づく。先頭が餃子店に続いているのが見えた。すぐ近くの別の餃子店を見るが、やっぱり入口から列が伸びている。もしかして並んでんの?餃子に?日曜の夜よ?少し待てば入店できそうだし、黙って並んでいれば良いだけの話だが、カップルやグループだらけの行列に、ひとり薄着で震えながら並ぶ鈍感かつ豪快さは持ち合わせていない。足早に他の店、すぐ入れる店を探す。餃子餃子餃子。しかし無い。駅前の餃子店はどこも行列ができていた。ダメだこりゃ。駅前は諦めて違うエリアを探してみよう。

オリオン通り

 調べてみると、どうやら宇都宮というのは飲み屋街が駅から少し離れているらしい。「宇都宮駅」と「東部宇都宮駅」の中間辺りが栄えているとの事。よしそこだ。駅からバスに乗り込んで5分程。居酒屋やお洒落なバーなんかが立ち並ぶ通りに着いた。少しぶらついてみる。日曜夜の、うっすら閑散としている雰囲気を味わいつつ、「餃子」の2文字を探した。

 ある。餃子の文字。休んでいる店もあるが、その短い区画だけで4軒の餃子店が営業中だった。しかしどの店にも行列ができている。歩く人もまばらなこの通りに、そこだけ人が集まっている。もう無理、寒い。諦めて居酒屋行こう。メニューにあんだろ餃子。きっと美味いよ。それもまた「宇都宮の餃子」だし。

出世街道

 実はアタリを付けていた居酒屋があったので、そこに入った。U字のカウンターの一席に腰を下ろし、冷えた体に冷えたビールを流し込む。寒い。明日は平日だが店内はそれなりに賑わっていた。カウンター席5.6人、テーブル席4組くらい。U字の向いには常連客がポツポツ座って酒を飲んでいる。有名店だからか出張族のようなスーツ姿のグループもいる。大きめのテレビの音が鳴り響いていたが、壁にスピーカーはあるのにテレビが無い。音だけ流すタイプの居酒屋?そんな店ある?キョロキョロ見ると、スピーカーとは逆の天井付近にテレビが設置されていた。いやフェイントかい。テレビの隣にスピーカーを置いてくれ。

音がする方を見ても壁という罠

 メニューを眺める。刺し盛や枝豆といった定番に紛れ込んだ「餃子」の文字を発見。これじゃこれじゃ。やっとありつける。早速頼もうと思ったがちょっと待て。その下に「焼売」があるじゃないか。大好物だ。見たら食わずにはいられない。焼売下さい。

うめ~

 宇都宮で焼売を食べた。「いや餃子を食えよ」って話だが、ぶっちゃけ行列を見続けてるうち、なんだか餃子への情熱は薄まっていたのである。そこに大好物の「焼売」の2文字が飛び込んできちゃったモンだから「餃子」の2文字が押し出されてしまった。あんだけ探したのにね。まぁいつか食べられる日がくるだろう。今はまず焼売を食べたいしさ。そういえば、この店が紹介されていた記事に「マグロ刺し」が美味しいなんて書いてあったな。注文しよう。

過去イチに冷えたマグロ

 キンキンに冷えたマグロが来た。厚切りで美味しい。酒が進む。「ダーウィンが来た」を見ながらジョッキを傾けているうちにゾロゾロと客が入ってくる。流石有名店。日曜夜でも人気だ。最後にレモンサワーを一杯飲み干して店を出た。良い店だったな。ハムカツも好みの薄切りタイプで美味しかったし。写真撮り忘れたけど。ただジョッキが空いた瞬間に「お飲み物は?」って聞いてくるのやめて欲しかったな。圧がさ、凄いからさ。こっちも厨房から飛んでくる店員さんの鋭い目つきを意識して飲んじゃってたから。でも良い店だった。また来ます。餃子食べに来ます。

サン・ロイヤル宇都宮

 ホテルに戻った。歯ブラシを動かしながら部屋の窓を開ける。2階の部屋なのでシティビューとはいかなかったが、駅方面にマンションの航空障害灯が点滅しているのが見えた。地元じゃ全く見ない光景が面白い。眺めるうちにふと足元に違和感を感じる。窓の下、なんか濡れてるぞ。雨が入ったのかと思ったが、その日は朝から晴れていたし、じゃあ天井から?なんて見上げてもその気配はない。指で濡れた部分を拭い、匂いを嗅いでみても無臭。ティッシュを押し当てて色が付くか試してみた。無色だ。は?なにこれ。えっ。この濡れ何。雨?水?えっ。これ何?触って大丈夫なヤツだった?大丈夫?コレ。

 見なかった事にしてそのまま寝た。その後も、今に至るまで特に体に異常は無いから、まぁ大した物じゃなかったんだろう。だとしてもアレは何だったんだ。今も気になる。


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