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【ショートショート】4.大柄の男

翌日の朝、セシーリアはいつもの様に
外から差し込む日差しを顔に浴び、目が覚めた。
食堂へ向かうとクラウスとホーガンが帰る支度をして、
マグヌスが見送ろうとしていた。

セシーリア「おはよう」
クラウス「おはようじゃないだろ?今起きたのかよ」
セシーリア「だっていつもこの時間に起きてるんだから普通でしょ」
クラウス「それがお前の言う普通なのか」
クラウスはクスッとセシーリアを見て笑った。

ホーガン「マグヌス、セシーリア、昨夜言った怪しい船の事が気がかりだから、
家に戻らずこのまま船を出して探って見る事にする。」
マグヌス「そうか。海に慣れてるお前たちとはいえ、十分に気を付けるんだ。」
ホーガン「分かってるよ。マグヌスも何かあった時は町を頼む。」
マグヌス「ああ。」
セシーリア「クラウスも気を付けてね。」
クラウス「柄にもないこと言うなよ。心配しなくても、
俺がいれば海もお前も安心だろ?」
セシーリアはクラウスの言う「安心」の言葉を受けてホッとした。
ホーガン「じゃあな、二人共。」
セシーリア「気を付けて。」
クラウスとホーガンは山を降りて行った。

しばらくの間が過ぎた時、強い風が音を立てて吹き始めると
誰かが外を走っている足音が聞こえてきた。
その音はどんどん山の家に近づいてくる。
足音が止むとセシーリアの家の扉を強く叩く音がした。

ドンドンドン!

扉を叩く大きな音でセシーリアとマグヌスは一斉に扉の方を向いた。
マグヌスが扉を開けると、武装した大柄の男が立っていた。

マグヌス「コンラード!」

コンラードはマグヌスの弟で町に一人でひっそりと住んでいた。

マグヌス「どうしたんだ?」
コンラード「マグヌス、大変だ…まっ、町が…」

コンラードの顔は真っ青になっていた。


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