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【ショートショート】3.謎の船

セシーリアとクラウスが山にある、セシーリアの家に帰ると、
クラウスの父であるヴァイキングのホーガンがセシーリアの父、
マグヌスと酒を酌み交わしていた。

マグヌス「おおっ、セシーリア、帰って来たか。」
セシーリア「ただいま。明日のご飯が捕れたよ。」
マグヌス「そうか、ご苦労だったな。」
ホーガン「セシーリアは偉いな。それに引き換えうちの愚息は…
今日も港へ行っただけか?」
クラウス「親父、そんな簡単に敵に出会っていたら、
港にも町にも居られないよ!」
ホーガン「俺が若い時はこ〜んなにも海に出て、敵と戦ったもんだ…。」
クラウス「親父、飲み過ぎだよ!」
荒々しい声で昔の自慢話をして
酔ったホーガンを介抱するクラウスを見たセシーリア。
セシーリア「もう、ホーガンさん、うちに来るといつもこうだね。」
マグヌス「クラウス、あいつ、今夜は家へ帰るには無理そうだから、
お前も一緒に泊まっていけ。」
クラウスはマグヌスに一礼をし、ホーガンを奥の寝室へ運んでいった。

マグヌス「セシーリア、今日も町へ行ったのか?」
セシーリア「ううん。今日は狩りだけ。
それよりも、ホーガンさんが来たって事は港で何かあったの?」
マグヌス「いや、まだ確認だけらしいが、
沖合いで怪しい船を見たという一報があったらしい。」
セシーリア「私達はどうするの?ホーガンさん達と港へ行く?」
マグヌス「そう簡単に港へ行く事はできない。お前も分かっているだろう?」
セシーリア「でも、敵だとしたら、加勢に出ないと…。」
マグヌス「セシーリア、我々は掟を忘れてはならない。
それを守り、民を守る事で世界の均衡が保たれているんだ。」

セシーリアは子供の頃から聞かされ続けてきた事でもあったが、
漠然とした守りに縛られてるだけの気持ちになっていた。

セシーリア「それは…私達がベルセルクだから?」
マグヌス「そうだ。だが、いつかこの力を使う時が来たら、
命をかけて守らないといけない。」
セシーリア「分かった。その時が来たら、私も町と民を守るわ!」
クラウス「いやあ、親父のヤツ、すっかりベッドに倒れ込んで寝てしまったよ。」

寝室から戻ってきたクラウスは2人の深刻そうな顔を見て不思議がっていた。

クラウス「どうしたの2人共、深刻な顔して。」
マグヌス「明日の朝、ホーガンと沖に出る話は知っているな?」
クラウス「ああ。怪しい船を沖で見かけたって話で、
俺と親父で船を出して見に行く事になったよ。」
マグヌス「くれぐれも気を付けるんだ。海には魔物が現れる可能性もある。」
クラウス「大丈夫だよマグヌスさん。俺も親父も海の事はよく知ってるから…。」
マグヌス「クラウス、何事にも慎重にだ。
お前達の事は十分信じているが、万が一も考えて心配している。」
クラウス「ありがとう、マグヌスさん。」
セシーリア「何事も無ければいいね。」
そして夜が更けていった。


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