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vs湘南ベルマーレ

【試合前のつぶやき〜松田がいないセレッソで次なる大黒柱は誰が担う?】

前節は「終わり悪ければ全て悪し」で敗れたセレッソ。しかし守備再構築の取り組みを中心に「立ち返るべき原点に回帰しよう」という意識が強く感じられた一戦だった。
さて、そんな今週頭には衝撃的な「松田陸、負傷」のリリースが発表された。ロティーナサッカーにおいて最重要人物だった松田の負傷はチームの勢いに逆風であることは間違いない。CBが持って相手を引きつけ、それを掻い潜るボールの行き先は松田なので、ここが不在になるとスムーズにボールが運べなくなる可能性は高い。
そこで片山が右に入ってポジションを高く取り、左サイドはここ最近片山にポジションを譲っていた丸橋が入りビルドアップを試みるはず。これまでの役割を左右逆にすることで新しいセレッソが見れるかもしれない。不安と期待が織り混ざった一戦だが、スタメンは以下の通り。
セレッソは松田→片山、片山→丸橋、瀬古→木本、柿谷→奥埜の4枚を変更し、ベンチには久しぶりに豊川が入った。

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【セレッソ(攻撃)〜常にA/Bの選択を迫る】

前半の5分くらいまでは行ったり来たりで落ち着かない展開が続いたが、徐々にボールを握り始めたセレッソ。右サイドは松田から片山に変わったことでRSBが中央や低めの位置ではなく、大外&高い位置を取るシーンが多くなり、ここがビルドアップの出口になる。

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13分には小寺ANが坂元or奥埜に「片山が大外で受けたタイミングで走り出そう」と伝えていた通り、片山は攻撃のスイッチを入れる役割を担っている。その時の走り込むポイントはSBの背後、もしくはDF-ボランチ間の2経路。

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序盤にはメンデスが背後を取るシーンや奥埜、坂元が間で受けるシーンがあったが、金子の1ボランチで構える湘南は背後から清武が中央に寄ってきている上、前には奥埜や坂元が入ってくることでマークを掴みにくくなっていた。
そしてセレッソとしては今節の勝利が至上命題。なのでビルドアップの時点において、相手の2トップに対して3枚で数的優位を作って容易に運ぶ(=前の枚数が減る)のではなく、ボランチはプレスに来るFWの斜め後ろや中間に位置することを徹底していた。

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この方策は取られた時に数的同数というリスクを抱えるが、攻撃面では両SBを押し上げて相手のWBを釣り出す(=走り込むスペースの創出)というリターンがある。さらに清武がやや下がることでCBを引っ張り出すので、マークが付いて行けば湘南の最終ラインが揃わない。逆に最終ラインを揃えることを優先すれば、キラーパスを繰り出せる清武が前を向ける。
ただ数的同数の状況でプレスをかけてこないと、お互いに膠着してしまう。そのため、手詰まりになった時は状況を打破するようにSBやボランチが落ちて3CB化して湘南を引き出そうと試みていた。

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そしてCBからの展開ができない時はボールをジンヒョンへ。展開が詰まった時(含むゴールキック)の最終兵器はお馴染みのジンヒョンがボランチ脇や背後に潜る清武を狙う形。ピン留めと狙い所を作らせるための配置は以下の通り。

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ここまで配置させれば準備完了。あとは藤田がジンヒョンに貰いに下がるとトリガーが引かれ、金子は藤田に食いついてしまう。そこに清武が下りれば、ジンヒョンからのパスが通される。今節はこの形からもゴール前に迫っていた。

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この配置が完了し、藤田がトリガーを引いても金子が出てこない場合や岡本が付いて来る可能性もあった。その時は最終的に逃げ道も準備されていたのだろう。セレッソは保持すると常に湘南にA/Bで苦渋の選択を迫り、湘南が常に後手を踏むように仕向けていた。

【湘南〜対角線でひっくり返す/素早く戻る5バックと縦に急がないセレッソの相性は…】

前半の5分くらいまでは行ったり来たりで落ち着かない展開が続いたが、セレッソが徐々にボールを握り始める。その流れが湘南側に傾き始めたのは対角線のロングボールが通り始めた20分頃から。ロングキックは精度が要求されるため相手ボールになってしまうリスクもあるが、逆に通れば相手を一気に敵陣へと押し込める。セレッソの守備陣形は4-4のブロックを形成して片側に圧縮するので、出し手もある程度余裕を持てるので、鋭いピンポイントボールでなくとも比較的通しやすかったのだろう。

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実際にセレッソは開幕戦の大分戦でも左WBで大外に孤立した香川に対角線のボールをガンガン放り込まれて、とても苦しめられた記憶がある。

しかし出し手にはFWがアプローチに行くこともあれば、受け手が余裕のある位置にいるとは限らず、出し手も必ず蹴れるわけではない。なので対角線がダメなら、グランパスと同様にSB-ボランチ-CBの中間に構えるFW(主に石原)がボールを引き出していた。ここで受けると中央のFWの枚数は減るが、サイドから深さを取って攻めたい湘南としてもクロスが上がるまでに中に入ればよいので、その構造は問題ないということなのだろう。前半は何度か左右両方からこの形でSBの背後を突き、うまく合えばピンチを迎えそうなセンタリングが上がっていた。

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しかしサイドから攻撃しても、中の枚数は一時的に減った上、背丈でセレッソに劣る。なので湘南の攻撃とセレッソの守備の相性を見ると、守備側のセレッソに軍配が上がりやすい構図だった。
一方、湘南には湘南スタイルという言葉が示す通り確固たる走力に強みがある。湘南の魅力と言えば、「走力をフルに使うことでフィールド上の11人が12人、13人に増えること」そして「夏になるとキレイな水着の女性がビーチに集うこと」だろう。セレッソは「カウンターで前に送ったボールは同じスピードで帰ってくる」という定説が示す通り、不安定な状況に陥ることを好んでいない。チームのコンセプトはセットした相手でも躱して潜り抜け、試合をコントロールしながらゴールを決めて勝ちたいと考えている。そのため攻撃スピードは必然的にスローになってしまうので、素早い守備陣の形成ができる湘南の守備に軍配が上がりやすい構図だった。

【セレッソ(守備)〜いつもより前から前から】

湘南は今季の得点数が15とリーグ最少であり、セレッソとしては押し込まれて失点するリスクはJ1のライバルチームの中で最も低いと言える。そして繰り返しになるが、セレッソとしては今節の勝利が至上命題。なので守備も前からハメ込むようにベクトルが向いていた。噛み合わせも中央のCBにメンデスがチェックすると、その次のルートは横に構えるCBかボランチ。なのでここに横に出れば清武、坂元がチェックし、ボランチに出れば奥埜で捕まえて常に数的同数で対応できていた。

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そして湘南が対角線に蹴って来ても基本的にはボールが山なりなので寄せる時間は十分にある。持たれても、寄せて縦を切れば湘南は後ろに下げてやり直さざるを得ない。

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もちろん突破されるシーンは何度かあったが、大外からクロスを上げられても中に飛んでくるまで時間がかかるし、セレッソの選手の方が背は高い。さらにこれまでの積み重ねで配置もしっかりと取られている。一見するとシュートを打たれてピンチに見えるが、枠に飛んだシュートは打たせていなかった。(以下、ジンヒョンの試合後コメント)

そこまで仕事をする場面はなかったので、気持ち良かったというか、失点ゼロで抑えて、勝ち切れて良かったなと思います」

【後半〜3速vs4速は常に数的不利。でも、最後は質的優位で解決する】

立ち上がりにいきなり湘南がビッグチャンスを迎える。ファールすれすれの激しいチャージで丸橋から奪ったボールを繋ぎ、インナーラップでハーフスペースを突いたCBの岡本がゴールのニアをぶち抜くシュートを放つ。これをジンヒョンがセーブして事なきを得た。
とは言え両チームの戦い方は前半と同じ形。なのでお互いにやりたいことをやりながら、守備に軍配が上がる構図を覆せず、手詰まりを起こして中盤を行ったり来たりの展開が続く。
セレッソが試合の進め方を変えたのは豊川&西川投入後くらいから。これまでは2CBでビルドアップをしようとしていたシーンが多かったが、ここから藤田が積極的にCBの間に降りて試合をコントロールしようとする。それまでにも何度かロストが続いていたこと、湘南が前に3枚もフレッシュな選手を投入してきたことが理由だろう。逆に彼らが食いついてきたら後ろは空くので背後を突くことができる、はずだった。

セレッソの攻撃スピードが徐々に上がったものの、それでもまだ2速が3速になるくらい。逆に湘南は徹底して4速以上のギアで自陣に戻るので、セレッソが攻撃権を持っていても中央は湘南の枚数の方が多かった。なのでアタッキングサードに侵入してからペナルティエリアに入るパスは悉く弾き返され、ドリブルは数的優位を作られて守られた。湘南は確かに順位を見れば最下位だが、失点数はリーグの真ん中。個で殴り続けられるのには耐え切れるだけの耐久力はまだ兼ね備えていないが、それでも直近の川崎や鹿島にたった1失点であることからも堅牢さは改めて実感できた。思い出したくもない試合だが、セレッソは川崎に3失点、鹿島に2失点。挑む状況が違ったとは言えど、このことからもわかる通り、湘南は守備のあとひと踏ん張り/得点が取れれば劇的に順位が改善するポテンシャルを秘めたチームだろう。

とは言え、最後は押し込み続けて獲得したCKからヨニッチが決めて土壇場で勝ち越し。仙台戦に続き、苦しい展開でゴールを奪ってくれるこのイケメンの髭を煎じてマテ茶として売り出したら、買う人は殺到するに違いない。前節は引き分けに持ち込めた試合を落としたが、今節は引き分けも致し方ない試合をモノにすることができた。

【試合後の感想(&ちょっとした自己紹介)~終わり良ければ総て良し?ここからの3連戦は今年何度目かの天王山】

苦しい展開だったが、最後は力で捻じ伏せた。仙台戦に続き、下位チーム相手になんとか勝点3を取れるのは素晴らしい。だが、下位チーム相手に苦しい展開であることも事実。大黒柱・松田のケガがあったことはネガティブだが、逆にチームが成長する機会が増えたと思いたい。

さて、ここからまたもや強敵との3連戦を控える。確かにマリノスとの相性は格別に良いし、埼スタで負けた試合は2017年のアウェイ浦和戦まで遡るし、ロティーナ就任後はガンバ大阪に勝ち越している。だが何度も繰り返す通り、過去の結果は未来を占わない。2位FC東京~8位柏レイソルくらいまではまだまだ天皇杯の挑戦権獲得の可能性が十分にある。どこが取っても全く驚かないのがJリーグの面白いところ。「毎年優勝争い」を目標に掲げて実際にできるのは川崎と鹿島くらいだろう。この3連戦はセレッソが再び上に向かうかズルズル落ちるかを決める重要な試金石になる。

ところで湘南戦は個人的に大事な一戦だった。実はこれを細々と始めたのが2019年のA・マリノス戦(第23節)だったので、今節で丸々1年。書いてない試合もあれば、ACLの都合で前倒しされた神戸戦もあったが、とりあえず1年間続けてみれば、誤字脱字は減ったし、多少は読みやすい構成に変わったし、書く内容の構築もしやすくなったなぁと感じた。何よりテレワークのおかげで通勤時間が減って、サッカーを見る時間も増えた。でもこのブログは個人的な趣味レベルだし、無理しないことが趣味継続の秘訣だと思っているので、これからも気が向いたら書くようにしていきたい。

そしてなぜこのブログを始めたかと言うと、信じていた尹さんとのあっけない別れに失望していた矢先、セレッソはロティーナサッカーにトライすることになった。そこでAkiさんをはじめとする様々な方のサッカーに関するブログ(https://analyzingcerezo.blogspot.com/)、Footballista(https://www.footballista.jp/)のようなマニアックな記事を読むことで、「サッカーってこんなに奥深いのか!」という気持ちと同時に「こんな風に体系立ててサッカーを教わりたかった…」という悔しい気持ちが湧いてきた。

高校時代にはA級ライセンスを持つ指導者に教わっていたが、攻撃では「頭使って考えて攻めよう!サイドから攻めよう!」だったし、守備は「走る!走り切る!集中!気持ち!目の前の相手に負けない!サイドに追いやる!」だったから、足が遅くてフィジカルで劣る僕は何もできなかった。(ただ学校の先生としてはこの上なく尊敬している1人です)

そして人は一度でも「自分をダメなヤツだ」と決めつけてしまったら、そこからなかなか脱することができない。自分の弱さ、実力のせいでチーム内の序列が低かったことは百も承知だが、それでももっと体系立ててサッカーを学ぶ機会が提供されていれば見える世界が変わったかもしれない、といつも高校時代を思い返すと後悔が来る。小学校の時から「頭を使って!」とコーチに指導されながら、「頭を使うってどう使うのかわからんなぁ」と思っていたら僕の青春時代のサッカーはピークを迎えることなく終わってしまった。

なのでいつか子供ができたり、何かのキッカケで近所のサッカーチームのコーチをやってみたいと思った時、(土日にコーチをしたらセレッソは観れないし、睡眠時間も削られるし、そんな時が来るかわからないけど…)自分のための教科書作りをしてみよう、その題材を大好きなセレッソにしよう、と思ったのがキッカケです。

なので僕の書いているものはどこかで拾った知識に試合を観た感想を掛け合わせている素人のメモ書きの類ですし、書いていることがどれもこれも正しいとは限りません。ありがたいことに閲覧してくださる方や楽しみにしていると言って下さる方が増えたので、1年経ったことを機に軽い自己紹介をしてみました。

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