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PSM vs 京都サンガFC

亀岡に誉れあるスタジアムが完成した。その名もサンガスタジアム by Kyoceraだ。幼いころから西京極を聖地(高校サッカーの決勝などもやるので)と思っていた京都人にとっては遷都してしまった気分だが、残念ながら試合動画を見て、亀岡に無事遷都できてよかったと感じた。(横大路にできるできない、なんて話も結局流れたし・・・)キャパもちょうどJリーグの試合でミニマム占有率が50%超を見込めるので程よい満員感、そして吹田スタジアムに倣って素晴らしい臨場感を得られそうだ。スタジアムの良さについては実際に現場へ行った人にお任せする。3バックを敷いてくるであろう開幕戦の大分を考えると、個々の能力に違いはあれど同じフォーメーションのサンガは優れたPSMの相手だったのではなかろうか。PSMのスタメンは以下の通り

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セレッソは昨年をベースにキム・ジンヒョン⇒アン・ジュンス、水沼⇒坂元と入った以外は変更なし。アン・ジュンスは鹿児島時代にもGKからのビルドアップに取り組んでいた、とのコメントからも足元に不安はなさそうであり、坂元はロティーナが欲しがったドリブルのできるレフティRMF。ロティーナセレッソ今季も継続して「適切な距離感」、「立ち位置を取ってボールを保持」、「ビルドアップしながら相手を崩し」、「深みと幅を取って」「試合をコントロール」する。守備では「適切な距離感」、「早い帰陣」、「大外を経由させて中を絶対に空けない」という方針

【保持 / 前半】~(左)森脇への誘惑 / (右)坂元の逆足~
①ビルドアップにおいて、1トップに対しては2CBで数的優位を作れるのでボランチはサリーダをあまり実践せずに済んだ。その代わりにボランチへチャレンジできるOMFが2枚いるのが3-4-2-1の特徴。そこで、松田、丸橋の両SBが幅を取って開くことでOMFを外へ誘い出し、坂元、清武の両SHはボランチへマークが行けないように内側のポジションを取る。その空いたスペースで藤田やデサバトが受けることでビルドアップによる前進を図っていた

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②センターゾーンでの攻防において、左サイドで再現性のあった攻撃は、清武が右CB(森脇)を誘い出し、そのスペースに走りこんだメンデスや奥埜がCB(J・バイス)を誘い出す方法。パッと思い起こされるのは大阪ダービーの3得点はすべてこの形で取っていた。今回も5分、7分、9分と立て続けにトライしており、中で高さのある選手を外へおびき寄せ、深さを取って押し上げて中に厚みを増すための手段である。最後のセンタリングではどれだけ中に枚数をかけられるかが昨季途中までの課題だったが、昨季以上に松田が前に出られるようになっており、センタリング時点で中には残っているFW、SH、松田と枚数をかけて勝負することができていた。左サイドからの攻撃において逆サイドで合わせる人数を増やせば必然的にチャンスは増えるので、今季の松田のゴールに期待したい(得点イメージは昨季アウェイの浦和戦)。ただ、コンセプトは「味方の中を厚く、相手の中は薄く」なので、清武に森脇が食いつかなければ、丸橋がオーバーラップして左足で魅せてくれる。相手を押し込むこの慣れ親しんだ選択肢も当然のように活用されていた

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右サイドで再現性のあった攻撃は、坂元が受けて逆足で中へ侵入or縦へ突破するor松田を縦に走らせる、という方法。こちらはまず開始4分、中へカットインした坂元からのクロスを清武がヘディングする、というチャンスを最初に作っていた。その布石もあったのか、セレッソは坂元のクロスから12分に先制する。インタビューでも語っていた通り「左利きの右サイドから巻いたクロスは当たっても当たらなくてもゴールに入る」ので、守備陣からしても厄介な攻撃だっただろう。この時のポイントは坂元の技術だけでなく、松田が内側を追い越す(インナーラップ)ことでレフティ坂元の左側を空けてあげつつ、藤田は松田の穴を埋めることでカウンター対策も施していた点だと見ている。松田のオーバーラップは丸橋と同様なので割愛。水沼の穴に坂元がしっかりとハマった印象を持った人は多かっただろう

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【保持 / 後半】~(左)より内側前方に位置する柿谷 / (右)斜めに入れる松田
後半は清武に替えて柿谷を投入したセレッソ。これによって右サイドの大枠が少し変わる。まず左サイドの柿谷の役割について触れる。個々の能力はどちらも高いが、柿谷は清武よりも前の位置でFWと絡もうとしていた。そのため、坂元が時間をかけて相手を剥がす手段に加えて中の3枚のコンビネーションがより活性化されるため、松田から早めにFWにくさびを入れるプレーが増えた。これは昨季最終戦の大分戦でも散見されたパターンだが、中に絶対的な高さがあるわけではないセレッソにとって、内側で細かいコンビネーションを使って相手を掻い潜ることは、得点力向上のために必要である。この意図した形で2点目、3点目を取れたことはシーズン開幕に向けて大きな収穫だった

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【非保持】(左)ポジションを守ってコンパクトに / (右)奥埜、坂元、松田のタフな走力で前に出て奪いに行く選択肢が追加
セレッソの左サイド(メンデス、清武、柿谷)と右サイド(奥埜、坂元)は個々の能力に違いがある。まず左サイドのメンデス、清武(柿谷)はカバーシャドー(後ろの選手へのコースを消しながらアプローチ)に長けている。一方、若さ溢れる坂元を筆頭に右サイドは守備で前への推進力が発揮できる。そのため左サイドは後ろへのコースを切ることで昨年同様に侵入を減速させていた。(実際に李忠成が貰おうとして動いても悉くパスコースが消されていた印象を受けた)

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この時の相手の取り得る手段は大きく分けるとSHとSBのアプローチを掻い潜ってそのまま前進する、もしくは、中央が閉ざされているので後ろのDFを経由して逆サイドへ展開するかの2つ絞られる。ただ自陣ということもあり、原則としてこの位置で相手を剥がすプレーは少ない。そのため逆サイドへ後ろのDF経由で展開させた時、セレッソの右サイドは前で捕獲するスイッチを入れていた。奥埜、坂元、松田で前からハメ切って奪えば、その高い位置からショートカウンターが可能になるからだ。特に取ってそのままシュートを撃てるレフティRMFは効果抜群だろう(その究極系がリヴァプールのサラー、マンCのマフレズやベルナルド・シウバ)

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キャンプでは負け続けていたようで心配していたが、最後のPSMでは良い試合を見れて一安心した。ただ、どれだけコントロールをして意図するプレーを続けても負けることはある。当然、結果に期待をしつつも、サポーターとして大事なのはセレッソを後ろから応援することだろう。それは現地での声でも、グッズなどを買うことでも、SNSで色々(※きちんとしたこと限定)発信することでも、友達や恋人をスタジアムに連れてくることでも何でも良い。老若男女が楽しめるというのがJリーグやセレッソの魅力だ。初めての人も数回の人も毎試合会場にいる人もみんなファミリーだ。では、最後に自分の肝に銘じるためにも、ロティーナが契約を更新してくれた時のコメントを残しておく。

◆ロティーナ監督コメント
「我々がこの大阪の街や人々に受け入れられて、快適に働けていることに対して、まず最初に出てくるのは感謝の気持ちです。偉大なファミリーであるセレッソ大阪を構成する経営陣、クラブスタッフ、そして我々の素晴らしいサポーターと「仕事への愛、クラブへの忠誠、大いなる献身」といった同じ価値観を共有できることに感謝しています。1つ1つのトレーニング、1試合1試合で前向きなメッセージを表現した選手に感謝しています。いかなる時も諦めない、素晴らしい姿勢・忠義を持ってプロサッカー選手人生を過ごす、ということが伝わるものでした。我々の望みは、監督、指導者として成長し続けることです。この仕事に終わりはありません。常に、常に向上できるし、しなければなりません。最大限の努力をしてくれた選手たちのおかげで、良いシーズンになったと思います。その姿勢を見て、来季のパフォーマンスをより改善できると感じたことは、我々がクラブと契約を更新する際の一つの理由になりました。この選手たちの指揮を続けられること、そしてセレッソ大阪に引き続き所属できることは光栄なことです。この1年間表現し続けてくれたサポーターの愛情をまた感じられることも名誉なことです。その愛情が更新を決意したもう一つの理由です

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