見出し画像

自然の恩恵に感謝

 しあわせ野菜畑がある掛川市北部の土はとっても粘土質で、作物を作るのは大変です。土は固くて重く、ニンジンや大根などは掘り上げにくいし、ジャガイモは形が無骨です。雨が降ると靴に土がついて取れません。しかし、粘土質であるため栄養分の吸着力が高く、できた野菜は味に深みがあり、野菜本来のおいしさがします。
 
 掛川の土地は第三紀層と言われる、とっても古い年代に形成された地層が隆起してできています。古い方から倉真層群、西郷層群、掛川層群と呼ばれる地層に別れ、倉真層群は地球に隕石が衝突して恐竜が絶滅し頃の地層、西郷層群は日本列島がユーラシア大陸から離れたころに海底に蓄積された地層、いちばん上の掛川層群でも人類の祖先が誕生したころの地層なのだそうです。

 現在、新しく2haの農場を造成しています。機械を使って掘り出したときには塊となっている岩盤が、空気に触れると数日間でボロボロになります。そんなふうにして出来上がった農地の上に立って、「この土は太古の古代生物が住んでいた深い深い海底で堆積されて、それから、長い長い眠りに入って、1000万年以上の時を経て太陽と空気に触れているのかなぁ」と思うと畏敬の念を感じます。
 この場所に、これから堆肥と肥料を入れて耕して、種をまいて、水をかけて、来年の今頃はいろいろな野菜が育っていることになります。
 「野菜を育てる」という言い方をしますが、長い地球の歴史の中で積み重ねられた自然の恩恵を分けていただいているだけです。謙虚に感謝の気持ちを持って野菜つくりをしたいと思います。


 
 


【記事の出典元について】

しあわせ野菜畑の代表の大角は、静岡県高等学校の農業教員でしたが、47歳の時に退職し2008年に農業を始めました。 教員生活は大変楽しく充実していましたが、農業経営者として自分自身が農業の可能性に賭けてみようと考えました。
起業して7年目の2014年4月から1年間、地元の静岡新聞に農業経営者の声「こだま」を毎月2回書かせていただく機会がありました。
「こだま」は農業者が交代で書くことになっており2015年3月で終了しましたが、その後、毎月1回農業欄のコラムとして「野菜が好きになる話」を書かせていただくこととなり、現在も続いています。
野菜宅配セットをお送りしているお客様にお届けしているニュースレター「しあわせ野菜新聞」、それからNoteの文章は、静岡新聞の農業欄「野菜が好きになる話」が元原稿になっています。

今回の記事は2014年に書いた「こだま」の原稿です。
当時とは、現状が変わっている部分も多いのですが、自分自身の原点としてそのまま記載しました。

今後、第2版として、「その後」の文章や写真を加えたりしたいと思いますが、まずは「農業で起業したころの想い」としてお読みください。

「自然の恩恵に感謝」
第1版 2024年8月23日発信
 
(出典元)静岡新聞2014年10月第1日曜日、農業欄「こだま」より

#しあわせ野菜畑
#


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?