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桜で心を揺さぶられて

うすい桃色の花びらが、身を寄せ合って一心不乱に咲き誇っている様子は、古くから人々を魅了する。それは不自然…道の両側に一年で10日ほど咲くのを、人々が楽しむために植えている。実に人の心を揺さぶり、狂気…いや、高揚をもたらす風景であろうか。

人間の形もしている私は、その例にもれず桜に魅せられたようである。女は海。桜の周りで宴会をしないでくださいという呼びかけは、まるで校長先生の長い話のようである。久しぶりに会う気が狂った、そして気の合う友人とそれを我慢することはできなかった。

花見を計画した当初は、ベロンベロンになる予定だった。それが最高に気持ちいいと思っていたからだ。しかしながら、そうはならなかった。友人は狂っていたが、私の刃がなまっていたからである。狂ったように感傷に浸ることはできなかった。

桜からヒントを得た。友人からもヒントを得た。不自然なまでに美しく作品を作らなければならない。自然なように狂気をはらませなければならない。やはり、旧友と選んだのは間違いなかった。

米津玄師の『感電』はまさにそんなエロさを含んでいる。川端康成の『雪国』はそんな煌めきをもっている。いま以上に言葉の翼を広げ、ただただ琴線に触れ続けるような作品を書き続けなければならない。というか、それを書き続けられたら・・・

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