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「生きているだけでいい」を論理的に説明してみる ①「無」の前提【哲学】(ⅰ) B

漫画や、小説、アニメを見ているとたまに「生きているだけでいい」という言説に出会う。それは得てして、普遍的な背景の中から言及され、このような言葉が出てくるシーンはかなり高い確率で人々の感動を伴うような描写となっていることが多い。

そういったシーンに論理性が伴っていることは少ない、それは人間の生物的な欲求なのか、それとも社会的に醸成される生に対する肯定的な感情なのか。はたまた死に対する恐怖からくるものなのか。

なぜ人間から「生きているだけでいい」という言説が生まれるのだろうか?そもそも本当に「生きているだけでいい」のだろうか?哲学的な内容にはなるのだが少し考えて整理してみたい。

ということで今日は、「生きているだけでいい」という言説が生まれる論理過程を様々な視点から追ってみたいと思う。

① 「無」を前提に置く視点

よく私が前提として置くことが多いものであるが「無」を前提に置いて考えてみる。お前何を言ってるんだというツッコミが入りそうではあるが、まずは順を追って説明しよう。

世の中の論理と呼ばれるものは、かなりの確率で前提が置かれている(少なくとも私はそういうものだと認識している)。

例えば、数式。2+3=5という数式が置かれていたとするのであれば、そこには様々な前提が置かれている。

まず、論理過程を左から右にみるとすれば、2+3ならば5という論理が成立しており、2+3は前提とみなすことができる。そしてその逆も然りで右から左に論理過程を見てみれば、5が前提となる。

次に一つ俯瞰的な前提を見てみよう。「+」という記号についてだ。「+」という記号は、「前後にあるものを足し合わせる」という前提の元に成立している。「+」という記号が「前後にあるものをかけあわせる」という前提の元に働いていたら2+3=6となる。同様に「=」という記号や「2」や「3」といった数字(の記号)も様々な前提(定義)の元、成立している。

さらにもう一つ俯瞰的な視点を見てみよう。この2+3=5という数式は実はn進数(n≧6)という前提の元に成立している。たいていの人々(そしてそれは恐らく私も含めて)は10進数という前提を置いているはずだ。しかしながら、2+3=5はn進数(n≧6)の下成立するので、こういう前提があるとしておこう。

数式一つとってみてもかなりの前提が置かれている。同じように言葉についても見てみよう。

「私は酒を飲んでいる。」という文章について考えてみたい。

まずは、さっきの数式の左、右と同じような視点。「私は酒を飲んでいる。」という文章なので、「は」という言葉の前後は等式とみなすことができる。ここでの等式のような関係とは、「私」という存在が「酒を飲んでいる」という状態と等価であり、一方で「酒を飲んでいる」状態は「私」という存在と等価であることを示している。(一歩話を広げれば、私という存在のあり方は様々で、酒を飲んでいてもいいし、寝ていてもいい。また酒を飲んでいるという状態は、どの存在に対して言及されていてもよくて、それは「私」であってもいいし、「広瀬すず」であってもいい、「芦田愛菜」であってもいい(法律的には現時点でアウトだけど))

次に一つ俯瞰的な視点。私とか、酒とかの前提(定義)だ。私という言葉は、普通に考えれば、「今文章を書いている人」だ。これが前提に置かれている。酒も同様で、「アルコールを含んでいる人の飲む飲み物」という前提が置かれている。(これら前提は実は、そうでなくてもよくて、私が実は小説内からの引用で別の人物を示していてもいいし、酒が人以外が飲むアルコールが入った飲み物でもいい)そして、飲んでいるという言葉も同様で「人が液体を口に含んでいる」という状態を前提としている。

さらにもう一つ俯瞰的な視点。日本語が読めるという読者を前提としてこの言葉は紡がれている。英語なら「I’m drinking」と表現するだろうし、「私は酒を飲んでいる。」という文章はフランス語やドイツ語、中国語を前提として書かれていない。

おわりに 「無」を前提として考えてみる

導入の話だけで軽く2000字いきそうなので今日はこのくらいにしてみるのだが、ここから先の思考様式として「無」を前提として、考えてみたい。

「無」を前提としてとするというのは、前提として何も置かないということだ。

そして先にネタバレするとそこから論理的に導かれる結論は、「生きているだけでいい」し、「生きているだけではよくない」という相反する二つの結論だ。

何を言っているのか分からないと思うが、これはすごく実感を伴っている。(個人的に)

そして、なにも前提としておいてないと言っているが、実は前提として置いているものがこの論理過程にも一つだけある。それは「ならば」という前提を置くという前提だ。

次回はこのおわりにの部分を話していきたいと思う。

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