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2月3日 節分

2月3日は鬼がやってくると聞いた。
空が薄暗くなり始めた頃、道路沿いの歩道を歩いていると、鬼を見つけた。両手で幼稚園帰りの子どもと手を繋いで、笑い合って帰っていた。鬼はおそらくその子たちのお母さんだ。青鬼のお面を、顔の上につけて、鬼の概念を覆すほどの幸せそのもののオーラを纏い、笑いながら横断歩道を渡っていた。青鬼のお面は、その子どもたちが幼稚園で作ったものだろう。鬼の髪の毛は、茶色の毛糸でできていて、焼きそばみたいだった。

誰しもが鬼になれる。そして、鬼も笑い合えるこの世界。大豆を投げつけて、退治すべきは鬼では無いのかもしれない。では、誰に大豆を投げればいいのか。

指定時間を5分過ぎてから到着してくる、宅急便のおじさんか。いや、違う。宅急便おじさんも頑張っているから、ちょっと遅れて来たくらいで怒るほうが鬼である。

では、成績評価がテスト100%の授業で、難しい試験を課して容赦なく単位を落とさせるあの大学の教授か。いや、違う。心を鬼にして勉強しない自分が悪いのだ。

よって、この世界に鬼など存在しないことが証明された。大豆は誰かに投げつけるようなことはせず、豆腐にするなり、納豆にするなり、きな粉にするなりして、美味しく頂こう。2月3日はみんなが大豆の素晴らしさに気づくべき日だ。

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