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考古学はいつだって最古で最新だ 湊川フィッシャー遺跡

先日、沖縄へ行った際に、港川フィッシャー遺跡をみた。
約22,000前の旧石器時代の人類の全身骨が見つかった遺跡だ。

湊川フィッシャー遺跡
石灰砂岩でできているため、太古の骨も溶けず残りやすい
フィッシャーと呼ばれる岩の割れ目
動植物の化石と共に、旧石器時代の人類の全身骨が発見される


フィッシャーとは崖の割れ目のこと。ここの土地は、サンゴなどが形成した石灰岩の地層がある。土地の隆起等によって地面がわれたところに、アルカリ性地質が溶けて流れ込んだ。そのため、この溝に落ちた人の骨は溶けずに残ったのだ。
この港川人を最初に発掘したのは、アマチュア考古学者の大山盛保。仕事の傍ら自らスコップを手に持ち、世紀の大発見となった。

粟石。有孔虫の殻、石灰岩・貝殻などの欠片が固まってできた石灰砂岩
色や形が、あわおこしに似ているのでそう呼ばれ石材として使われる
アマチュア考古学者の大山盛保
仕事の傍ら自らスコップを手に持ち、世紀の大発見となった


一昨年のDNA研究結果では、この港川人は、縄文人の直接の祖先とは言えず、5万~1万年前の東南アジアやオーストラリア等の集団に近いという。

つまり、南方から航海術を駆使してこの港川まで来たのだ。そうしてたどり着いた港川人はしかし、資源が恵まれているとは言えないこの地で繁栄するのは難しかったのだという。

頭骨を元に再現した港川人のイラストは、元は日本人的なイメージだったものの、研究が進むにつれ南方海洋民族とのつながりが指摘されるようになる。それに合わせ港川人のイメージも変化した。

湊川人の頭骨
当初、頭骨から再現された湊川人の顔
その後研究が進み、湊川人の顔も東南アジアやオーストリアの人々の表情に

最近では、石垣島に25,000年前の旧石器時代の人骨が見つかったという。日本最古の発見が更新されたのだ。

考古学はいつだって最古で最新だ。

港川人は南方からきたのだろうか。
海上の道


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