会沢修也

会沢修也

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エントロピーを最大にする分布

確率分布に対して、エントロピーという量が定まります。 $${H(p(x)):=\sum_x -p(x)\log p(x)}$$ これは「情報量」を表す量であり、熱力学(物理)的なエントロピーとも対応する興味深い対象です。この記事では、「情報量」であることの直感的なモチベーションを回収し、どんな確率分布だとエントロピーが大きくなるか、について考察します。 1.エントロピーの意味エントロピーの表式$${H(p(x)):=\sum_x -p(x)\log p(x)}$$は、$${

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      1.概要極座標などの座標変換を考えるとき、ラプラシアン$${\Delta :=\frac{\partial^2}{\partial x_1^2}+\cdots+\frac{\partial^2}{\partial x_n^2}}$$がどのように変換されるかは重要なテーマです。最も顕著な例は、(水素原子のシュレーディンガー方程式のように)ラプラシアンが現れるPDEでなおかつ球対称性を課したい場合が考えられます。需要はよくある一方で、その計算を直接遂行しようとするのは記号も煩雑

      • すうがくぶんかアドベントカレンダー2023 12/8 「2項定理のq-変形」

        すうがくぶんか講師の会沢です。すうがくぶんかアドベントカレンダーの一環として、最近研究で使った「2項定理のq-変形」に関する解説記事を書きました。 冒頭では高校数学レベルで楽しめる、2項定理の味わい方も載せています。 1.通常の2項定理とその拡張まず高校数学でも扱うような、通常の2項定理とは次のようなものでした。 数$${a,b}$$に対して、 $$ (a+b)^n = \sum_{k=0} ^n {}_nC_ka^{n-k}b^k $$ ここで$${{}_nC_k:=

      エントロピーを最大にする分布