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第1回 SAPって難しい! 何からはじめればいいのかわからない!

「SAPって難しい!」そう感じたことはありませんか? 書籍『世界一わかりやすいSAPの教科書 入門編』はそんな皆様のご要望にお応えしたベストセラーです。本連載では全4回にわたって、書籍の内容をちょっとだけご紹介いたします。第1回は、著者とく氏からのメッセージ「はじめに」です。
本書の狙い、読者対象などをお伝えします。
※一部情報は2021年執筆時点のものです

はじめに

 「SAP って難しい! これ、全体を把握できる人いるの⁉」
 社会人1年目のときに私が思ったことです。

SAPは世界一のERPシステムで、世界中の大企業がSAPを使っています。し
かし、世界中で使われているにも関わらず、みなさんはSAPを始めるにあたって、

  • これから勉強を始める入門者向けの本がない

  • SAP社のサイト を見てもSAPってよく分からない

  • 実際の会社業務にどうやって使えばいいのか分からない

といった悩みを持ったことはないでしょうか? SAPの情報が見つかっても、専門用語だらけで、実際の会社業務にどうやって使うのかイメージがわかないのが現状です。

私も新卒で就職したIT企業でSAP部隊に配属になったのですが、実際に何から学べばいいのか分かりませんでした。まわりの先輩や上司も、1つのモジュール(業務機能)については詳しいのですが、SAP全体を把握できている人はいませんでした。大手のSAPベンダーならともかく、私がいたようなSAPをやっている人が50人もいない会社では、SAPを体系的に学べる環境はほとんど整っていないでしょう。

実際に、日本国内のSAPパートナー企業115社のうち、SAPの認定資格取得者数が50名以上いる会社はたったの23社です(「パートナー別SAP認定コンサルタント資格取得数」より)。残りの92 社に属する方やユーザー企業でSAPS/4HANAを扱う方は少なからず、私と同じような悩みを抱えた経験があるのではないでしょうか?

私はSAP歴10年で国内外のSAP導入プロジェクトや保守プロジェクトを経験してきました。そんな中で経験したことやノウハウを普段、私はブログやTwitterでSAPやプロジェクトのノウハウに関する情報として発信しています。そして、ブログやTwitterでSAPの情報を発信していると、1日に1回は個別で問い合わせのメールやDMをいただきます。
それだけ、SAPのことで分からないことが多く、悩んでいる方がたくさんいらっしゃるということだと思います。

また、多くの会社で使われているSAP ECC6.0というバージョンのサポートが2027年で終了します。そのため、次のSAP S/4HANAへのバージョンアップ案件が直近2 ~ 3年で急増してきています。それによって、SAPコンサルやSAPエンジニアとして新しくSAPプロジェクトに参画する方も増えてきています。
そんな中、バージョンアップ案件が急増し、かつSAPを教えてくれる人がまわりにいない状況下で、新しくSAPを始める方が1日でも早く戦力になるために、どうやってSAPを勉強すればいいのかと悩んでいることは想像に難くありません。
実際に私の職場でも、SAPに初めてふれる中途採用や新卒採用の方が入社されてくるのですが、必ず1回は心が折れる姿を見てきています。
そんなとき、ふと私は思ったのです。「もっと取っつきやすく、誰でもSAPのことを簡単に理解できる本はないものか?」と。

そこで、私はSAPが難しいと感じる方のために、誰にでも取っつきやすく、分かりやすいSAPの入門書を書くことにしました。
本書では「SAPってどういうシステムなの?」「実際の会社業務にどうやって使うの?」ということを、「もしも宅配ピザ屋にSAPを導入したら」という多くの人が業務をイメージしやすい例を使って、SAPについて解説していきます。

SAPを理解するには、3つの知識が必要です。

  1. 会社業務の知識

  2. SAPの知識

  3. ITの知識

これまでSAPを扱ったことがない入門者にとって、特に.の「会社業務の知識」と.の「SAPの知識」は重要なのですが、いまいちイメージしづらいものです。そのため、本書では「SAPを会社業務にどうやって使っていくのか」といった点に重点を置いて解説しています。
これまで、SAPのことについて、いろんな本を読んできたり、まわりの方に聞いてきたりして、「じゃあ実際にどうやって業務で使っていくの?」という疑問を抱えた人にとって、分かりやすい本になっています。

私はSAP全体を理解するのに10年かかりました。でも振り返ってみると、「意外に簡単だな」というのが私の感想です。
本書では、私が10年間でつまずいてきた箇所を、SAPの入門者の方にも分かるように、ゴリゴリにかみ砕いて解説しています。この本を読み終わるころには、会社業務の全体像を捉えられ、業務とSAPのつながりが腹落ちするはずです。
SAPコンサルやSAPエンジニアの方は、大きくスキルアップする土台ができ、仕事がどんどん楽しくなります。SAPユーザーの方は、会社の業務全体や経営のことが理解でき、1つ~2つ上の役職の視点で仕事ができ、まわりの仕事仲間から信頼が厚くなります。

私のように、SAPを理解するのに10年もの時間をかけるのはもったいないです。
本書を入門者はもちろん、SAPに関わる人に手にも取っていただき、SAPや会社業務について理解を深めていただけたら幸いです。

試し読み

書籍目次

第1章 SAPってなに?
1-1 SAPとは
1-2 SAP ERPが世界中で使われている理由
1-3 SAPを理解するために必要な3つの知識
Column SAPコンサルあるある
第2章 会社の業務を知ろう!
2-1 宅配ピザ屋の設定
2-2 宅配ピザ屋の業務内容
2-3 宅配ピザ屋の業務の流れ
Column SAPとスポーツ
Column SAPコンサルが取るべき資格
第3章 SAPモジュールってなに?
3-1 SAPモジュール一覧
第4章 材料の仕入れとモノの管理をしよう
ー MM(調達・在庫管理)
4-1 MM(調達・在庫管理)モジュールの業務
4-2 MM(調達・在庫管理)モジュールで使う組織
4-3 MM(調達・在庫管理)モジュールで使うマスタ
Column ABAPのプログラミングスクールがほしい
第5章 ピザを作ろう ー PP(生産計画・管理)
5-1 PP(生産計画・管理)モジュールの業務
5-2 PP(生産計画・管理)モジュールで使う組織
5-3 PP(生産計画・管理)モジュールで使うマスタ
Column SAPと英語
第6章 ピザの注文受付とピザの配達をしよう
ー SD(販売管理)
6-1 SD(販売管理)モジュールの業務
6-2 SD(販売管理)モジュールで使う組織
6-3 SD(販売管理)モジュールで使うマスタ
Column SAPコンサルとリモートワーク
第7章 店舗のお金を管理しよう ー FI(財務会計)
7-1 FI(財務会計)モジュールの業務
7-2 FI(財務会計)モジュールで使う組織
7-3 FI(財務会計)モジュールで使うマスタ
Column SAPコンサルとTwitter
Column SAPとRPA
第8章 店舗の経営状況を分析しよう ー CO(管理会計)
8-1 CO(管理会計)モジュールの業務
8-2 CO(管理会計)モジュールで使う組織
8-3 CO(管理会計)モジュールで使うマスタ
Column SAP Basisの仕事
Column SAPフリーランス
第9章 モジュール間の業務のつながり
9-1 モジュール間のつながり
9-2 MM(調達・在庫管理) ⇔ SD(販売管理)
9-3 MM(調達・在庫管理) ⇔ PP(生産計画・管理)
9-4 MM(調達・在庫管理) ⇒ FI(財務会計)
9-5 MM(調達・在庫管理) ⇒ CO(管理会計)
9-6 PP(生産計画・管理) ⇔ SD(販売管理)
9-7 PP(生産計画・管理) ⇒ CO(管理会計)
9-8 SD(販売管理) ⇒ FI(財務会計)
9-9 SD(販売管理) ⇒ CO(管理会計)
9-10 FI(財務会計) ⇒ CO(管理会計)
Column SAPのオフショア開発
Column 優秀な人ほど転職しよう
Column SAPの便利機能
Column PMOのお仕事
第10章 SAP導入のポイント
10-1 SAP導入プロジェクトは業務改革プロジェクト
10-2 SAP標準機能とアドオン機能を使い分ける
10-3 周辺システムと連携することも考えよう
Column SAPコンサル vs 社内SE
どっちのほうがスキルが伸びる?
第11章 SAP導入プロジェクト
11-1 SAP導入プロジェクトのフェーズ概要
11-2 企画・構想
11-3 要件定義
11-4 設計と開発
11-5 テスト
11-6 移行
11-7 トレーニング
11-8 運用保守
第12章 SAPのこれからの展望
12-1 2027年まで
12-2 2027年から① 今後増えてくるデジタル案件
12-3 2027年から② SAP社の周辺システム
12-4 2027年から③ ユーザー企業のデジタル化推進
12-5 2027年から④ SAPコンサル・SAPエンジニアの
ポジション取り

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