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銀杏BOYZ ねえみんな大好きだよディスクレビュー①

2020年10月21日、6年半ぶりになる銀杏BOYZの3rdALが発売された。

東京オリンピックは開催されていないし、好きだったあの子は音信不通になってしまったけど銀杏BOYZのアルバムは発売された2020年。

今回はアルバムに先駆け発売された書籍、ドント・トラスト銀杏BOYZのインタビューや近年の峯田の活動を引用しながらディスクレビューを三回に分けて行っていく。

まず初めに、このアルバムは3つの章から構成されているアルバムであると考える。

①T1.DO YOU LIKE MEからT4.アーメン・ザーメン・メリーチェイン②T5.骨から​T8.いちごの唄 long long cake mix
③T9.“生きたい”からT.11アレクッス

本章では①のT1からT4のディスクレビューをしていく。

T1.DO YOU LIKE ME

今回のアルバム制作にあたって峯田自身は生きたいとそれらを包み込むポップス、さらに峯田のルーツでもあるハードコアを入れたアルバムという構成を2017年から考えていたらしい。

この曲はまさに峯田のルーツミュージックであるハードコアを全面に押し出したトラックとなっている。
また、興味深い点としてはノイズから曲が始まるところである。
不穏なノイズからアルバムが始まるという展開は2ndALの一曲目“17才”を想起させる。
"I LOVE YOUが言えないや” ”I MISS YOU息できないや”と初恋を想起させるフレーズが続く。片思い中の悶々として脳みそが揺らぐさまをノイズや性急なビートで表現している。
サビはライブでも映えそうなシンガロングで峯田自身もインタビューでライブハウスの音を意識できるような作りにしたと話している。
リリース日に公開されたMVではまさに“濃厚接触”で初恋とハードコアを肉体的に表現した映像になっている。

T2.SKOOL PILL

峯田自身の学生時代、ルーツミュージックと出逢った頃の回顧録のような楽曲。”森くんがミカに告った日” ”月曜日 はじめてブルーハーツをきいて”
インタビューでは森くんの誘いでハードコアバンドを結成したのがバンド活動の原体験と語っており、その原体験や青春のあらましを真空パックしたような曲になっている。
また、峯田はNIRVANAもルーツの一つと語っており、アウトロはNIRVANA的なアレンジを感じる。
ハードコア曲を冒頭に配置することで、峯田は自身のルーツがパンク・ハードコアであることを明確にしている。

個人的には、ここ6年間の峯田は俳優などの音楽活動以外の表現も積極的に行っており、世間への俳優としての認知度も高まっていると思う。
しかし、あくまで自分はミュージシャンでありバンドマンであることをステートメントするために必要な2曲であると考えた。

T3.大人全滅

この曲はGOING STEADYのDON'T TRUST OVER THIRTYのセルフカバーであり、ゴイステ時代の若さゆえの焦燥感が全面に押し出されていた原曲とは大きくことなり、歳を重ねても消えない渇きや飢え、痛みなどの感情をノイズを重ねながら表現することで、歌詞を変えずとも原曲とはまた違った受けとめ方が出来る。

インタビューでは峯田は若いころに作った曲が今の40代になった自分の気持ちにハマることもあると答えており、近年のライブでのゴイステ曲の解禁が大人全滅やいちごの唄などの曲が生まれた背景にもあるなと改めて感じた。

また、T1からT3は音楽との出会いからゴイステ結成までの自身の歴史の流れを紡いでいるようにも捉えることができる。
ここまでの3曲で過去の自分を振り返りつつも次のトラックであるアーメン・ザーメン・メリーチェインでは峯田和伸の今のリアルな気持ちを歌っている。

T4.アーメン・ザーメン・メリーチェイン

T3まで過去の自分を振り返りつつ、ルーツや自身の変わらない部分を表現しているが、アーメン・ザーメン・メリーチェインでは、痛みや焦燥などの感情や人との出会いや別れ、哀しみや怒りなどを全て抱えた上で”愛しているだけ”とシンプルに表現している。
2枚目までの銀杏BOYZではあまり歌われてこなかった恋愛感情という意味だけではない愛が歌われている。

自分の元から離れていった人や会えなくなった人、今自分の周りにいる人、すべての人に自身の思いを込めて”ただ愛しているだけ”と歌っているのだ。
”光なきこの世界も”愛しているのだ。どんなに悲しい別れや出来事が自分にふりかかっても愛で優しく痛みを包んでいく優しさに満ち溢れた曲。

銀杏BOYZはただ、若者の感情を吐き出すだけのアーティストではないということがこの曲から伝わってくる。
すべてに愛を伝えるこの曲は”全方位ラブソング”であり、”ラブソング地獄”の今作のなかでも特に優しく、温かくすべての人を包み込むラブソングとなっている。

銀杏BOYZの新たな代表曲としてこれから語り継がれる曲となるであろう。

また個人的に感じたのは2020年7月24日にリリースされた宮本浩二の新曲のPS I LOVE YOUも全方位ラブソングとして”愛している”と歌っている

リリース日の近さからも影響受けたなどの可能性はあまりないとは思うが、峯田がリスペクトしている宮本も今、このタイミングでラブソングを歌っているのは単なる偶然ではなく、コロナウイルスなどで疲弊しているすべての人々にもう一度愛を鳴らすことの大切さを訴えていると感じた。

今回は以上になります。ここまで読んでいただきありがとうございました。


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