8月最終週:そうですか。じゃあ、これで夏終わりで
「最近どうですか?」
「人生以外は全てうまくいってるよ」
「それ面白いと思ってますか?」
「……」
「夏らしいこと、何かしましたか?」
「冷房を無駄に効かせて部屋で毛布に包まって本を読むのは夏らしいことに含まれる?」
「含まれません」
「じゃあしてないね。何も」
「しましょうよ、夏らしいこと。それで、夏、終わらせましょう」
「夏らしいことって?」
「ちょっとは自分で考えたらどうですか?」
「花火とか?」
「花火、良いですね。では8月最後の日曜日で。どうせ暇ですよね?」
「うん、まあ」
「どうでした?」
「めちゃくちゃ楽しかった、小学生ぶりだから」
「そんな前なんですか」
「小学生のときさ、家族で花火やることもあったんだけど、その頃は花火やるときでさえ親の機嫌を窺いながらやってたから、ある意味、人生で初めて純粋に花火を楽しんだかもしれない」
「そうですか。じゃあ、これで夏終わりで」
「うん」
「そういえばまだ夜ご飯食べてないですね」
「そうだね。お腹すいた」
「ラーメン食べて帰りましょう」
※この物語はフィクションです
◆今週の一曲
青春なんていらないわ
三月のパンタシア
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