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コロナ禍における車内の除菌について

鈑金工場(自動車事故修理工場)の佐野です。

コロナウィルスの影響により、
「愛車の車内の除菌」や、場合によっては「修理中の代車の除菌対応」について、お問合せが増えています。

コロナ禍における除菌とは、コロナウィルスを減らす必要があると思います。
(コロナはウィルスであって菌ではないから除菌の対象ではないと言われると困りますが...)

除菌という言葉の定義を見てみますと、
(日本石鹸洗剤工業会:https://jsda.org/w/03_shiki/a_sekken30.htmlから引用)

(引用)「物理的、化学的または生物学的作用などにより、対象物から増殖可能な細菌の数(生菌数)を、有効数減少させること」
とあります。

有効数という言葉について検索してみると、TOTOさんのサイト(https://qa.toto.jp/faq_detail.htm?id=251607)が出てきました。

(引用)■TOTOの基準
TOTOでは、『洗剤・石けん公正取引協議会』の定義に基づいて、「除菌=生菌数を1/100以下に減少させる(99%以上除去)」と設定しています。

しかし、実際に車内にどれだけコロナウィルスや病原菌がいるのか、除菌作業後に菌がどれだけ残っているかを確認する手段がない以上、弊社では「きちんと調べないと、車内を除菌する」という言葉を使うべきではないと考えます。
仮に弊社での作業を言葉で表すのであれば、”除菌的作業”がウソをついていない事になるでしょうか。
除菌的作業とは、「菌の数が除菌”的”作業前より少なくなっていると思われる方法」というのがウソではないでしょう。
(しかし、広義の除菌的作業には通常の車内清掃におけるエアブローでほこりやりちりなどを飛ばす作業も除菌的作業となると思います)

このように、「車内除菌サービス」一つとっても、その工場がどれだけ正しい情報を入手しようとしているかが分かります。
(後述しますが、次亜塩素酸水を車内に振り撒いたり次亜塩素酸水で拭いたりするのを除菌という車内除菌サービスを仲間の工場がしていたら、恥ずかしいからやめたほうがいいとアドバイスすると思います)

現時点で、車内を除菌的作業にて菌の数を減らすのに効果的な方法は下記のものが考えられます。
・次亜塩素酸水
・オゾンガス
・光触媒
・アルコール
・界面活性剤(いわゆる洗剤)

高額な設備投資が不要なもので、取り組みやすいものを挙げました。

これらの問題点を挙げていきます。
・次亜塩素酸水->現時点で行うべきではない
製品評価技術基盤機構(以下、NITE。経産省より依頼を受けコロナウィルス関連の試験を行っているとお考えください)によれば、有効性は認められず、かつ人体への安全性も確立されていない。

・オゾンガス->効果はあるが、濃度によっては人体に影響が出るため、注意が必要。
奈良県立医科大学さんののプレスリリース(http://www.naramed-u.ac.jp/university/kenkyu-sangakukan/oshirase/r2nendo/documents/houdousiryou.pdf)を私なりにまとめると、
「人体に影響が出るレベルの濃度で、人が暮らすような空間ではない小さい密閉空間において効果があった」という事になると思います。
この際小さい密閉空間という事は考慮せず、車内においては内気循環の状態を密閉空間として考えると、1ppmにおいて効果は1/10-1/100との事ですので、除菌の定義にあたるレベルになるでしょう。
オゾンについての情報提供をしている、O3WEBというサイト(http://o3.kalmor.jp/:脱臭装置の開発等を行っている会社のサイト)によると、人体に安全なレベルとは、「個人差はあるが、0.01ppmで安全、0.06ppmまでなら有人空間まで」とあります。
(さらに詳しく、こちらに記載されています:http://o3.kalmor.jp/technology/page7.html
常温でオゾンが酸素に戻るまで16時間とも書いてあります。
つまり、車内オゾン除菌サービスの提供者が「30分で終わります!」とスピード除菌を謳っている場合、オゾン分解の触媒を使ったO3からO2に戻す作業を行って居なければ人体に影響があり危険です。オゾンの刺激臭がすると0.1ppmを超えているので、すぐに換気しましょう。
30分程度で終わる場合、曝露時間の関係で消臭は出来たとしてもコロナウィルスの不活性化はあまり出来ていないと考えられます。
残留濃度について考えていない工場でのオゾン除菌はお金の無駄どころか、危険ですね。
(従業員の方の健康被害が心配です)

・光触媒->効果はあると思われるが、施工表面のみ(空間除菌が出来るような記載はやめるべき)
光触媒工業会のサイト(https://www.piaj.gr.jp/roller/contents/entry/新型コロナウィルスに対する光触媒高ウィルス効果の考え方について)によれば、
「光触媒を施したところの表面に効果はあるだろう」という事ですので、光触媒のみで空間除菌も行えるような表記をしていれば、私は詐欺ではないかと思います。
車内という意味では、人の手の触れる面に光触媒を施すのがベターでしょう。運転席のハンドル、ドアハンドル、スイッチ類ですね。

・アルコール->効果がある濃度だと変色の恐れ
効果があるとされる濃度は70%以上になりますが、車内に使われる素材を考えると、変色などの恐れがあるため使えないと思います。
使える場所もあると思いますが、リスクがあるため私は行いません。

・界面活性剤->効果がある濃度だと変色の恐れ
どの界面活性剤で考えるべきかについては、NITEのこちら(https://www.nite.go.jp/data/000109226.pdf)のリストにある商品が良いと思います。
効果のある濃度になると、これもアルコール消毒同様車内の素材の変色を招く可能性があり、あまりお勧めできません。

以上、私が調べた結果です。
今のところ「オゾン除菌」が現実的で、安全な濃度で考えると、オゾンを発生させ1時間程度で濃度1ppm前後を目指し、60分程度密閉状態で維持し、そのまま放置だと16時間(夏は少し短くても良いかもしれません)放置、がベターでしょう。
放置しなくても、その後しっかり換気をすれば良いかと思いますが、除菌の目的がウィルスを1/100以下にする(除菌の基準に沿う)ということであれば、放置の方が効果は高そうです。

という事で、弊社ではオゾン除菌・オゾン消臭サービスを始めたいと思います。
(弊社の使う機器の特性と使用方法を考慮すると、理論上コロナウィルスを1/10-1/100の1/100に近い方で不活性化できると考えられるため、除菌という言葉を使っています)
金額はこれから考えますが、実作業時間を考えると半日預かり(理論値1ppmにて1時間オゾン車内曝露、2時間後換気の約3時間預かり)で2,000円、1日預かり(理論値1ppmにて1時間オゾン車内曝露、16時間放置の約18時間預かり)で3,000円というところでしょうか。代車無料ですので、代車代くらいにしかなっておりません。


ウソをつきたくないという性格から、言葉の定義や効果のエビデンスを上記のように示しておりますが、サイトにも表記があるように、オゾン除菌の濃度についてはあくまで理論値である事をご了承ください。

また、車内という限定的な空間においての除菌となります。
これだけではコロナウィルスには罹患しませんとは当然言えません。
普段から、石鹸等による手洗い・うがいを欠かさず、健康を保ちましょう。


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