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『シュシュシュの娘』音楽制作ノート/海田庄吾

まずはコロナウイルスによってお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみ申し上げます。
この未曾有の事態にいまも苦しみ、困難に闘われておられる方々もおられると存じます。
一刻も早く心の安まる世界が来る事を願い、微力ではありますが『映画、音楽』という作品を通してお力になれましたらこれ以上に嬉しいことはありません。

コロナの脅威にいまだ恐れ、嘆き、荒れ、本来の優しい自分達である事がどんどん苦しくなってきている時です。
コロナはこんな我々の弱さをも露呈させたのではないでしょうか、早く本来の優しい世界になりますように。

では、『シュシュシュの娘』の音楽制作をお話させて頂きます。

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・『シュシュシュの娘』に参加させて頂いた経緯

『シュシュシュの娘』に参加出来ました事をとても大切に思っています。
監督のおもいに心打たれました、これが一番の参加理由です。
依頼のその時、多くはお聞きしていません。ただ入江監督が動き、何かに力を贈ろうとしている事を感じ一切の迷いなくお受けさせていただきました。声を掛けて頂いて本当に嬉しかったです。

・入江悠監督

入江監督とは『ビジランテ』『ギャングース』まだ作品は書けないですが『シュシュシュの娘』の前にもう1作の4作品でご一緒させて頂いてます。
いつもは作品に音楽でも深みと広がりを出したいとメロディや曲調ではなく使う素材、その音の表現の意味を話し合う事がまず入江組のスタートとなっています。

例を挙げますと『ビジランテ』では閉塞感、先行きの見えない息苦しさを表現したくホースを振り回し根元にマイクを置き空気を奪っていくようにしました、エンドロールでは少し光や安らぎを出したく厳しい音楽でありながらもマイクを上に置き空気を与えるようにしました。こういった手法は潜在的に感じる程度にして充分な効果と広がりを出せると思っています、これはその作品への僕の主題の音です。

因みに僕が最も尊敬している作曲家はエンニオ・モリコーネ、武満徹、バーナード・ハーマン、キース・リチャーズです。要らない情報だったらごめんなさい。

このように入江監督はこういった試みを一緒に楽しんでくださる監督です。
他の2作品でも全く違う視点でこういった手法を取っています。

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いっぽう『シュシュシュの娘』では監督との作品ではめずらしく曲調からの依頼を受けました、80年代のユーロビートやシンセポップ、若かりし頃DISCOで女の子に声を掛けながらも体に馴染んでいた音楽です。
もとはクラウドファンディング、制作発表のムービー用のはずが本編にも使っています。
スタッフの方々や監督とも良くご一緒されているプロのラッパーP.O.Pの上鈴木兄弟さんに「シュシュシュ」の声を沢山頂いて一気に魂が宿ったのを憶えています。

その他、3曲80年代風シンセポップを書きました。
うち1曲はDAVID BOWIEが80年代ブライアン・イーノとシンセポップをやったら、というちょっと重めの曲、、、綺麗な曲だったのですが見事にボツ。

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その他の2曲は無事通過、最近の入江監督作品にみられる俳優部に踊ってもらう為の音楽? と思いきやそれがほとんどメインテーマというのにもワクワクしながら作曲しました。
また音の手法として今回はシュッともピーとも破裂音もする素材を使っています、何を使っているか見つけてくださいね。

劇伴は本当に必要な箇所に必要な熱量で配しております、どこの、いつの、どんな音楽かあえてバラバラにしています、この作品世界だからこその縦横無尽な音楽も是非楽しんで頂けますと嬉しいです。

表現者は本来、絶えず精進し出来ることなら思いを表現し発表し多くは語らない

今までの僕の生き方ではありますが、シュシュシュと忘れて人間性に溢れたエネルギーの作品『シュシュシュの娘』是非よろしくお願い致します!!

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監督の掲げた3つ

・仕事を失ったスタッフ、俳優と、商業映画では製作しえない映画を作ること。
・未来を担う若い学生達と、あらたな日本映画の作り方を模索すること。

残すは

・苦境にある全国各地のミニシアターで公開すること。

是非とも最寄りのミニシアターでの観劇をよろしくお願い致します。

海田庄吾


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映画『シュシュシュの娘』
8月11日(水)先行プレミアム試写会
8月21日(土)全国ミニシアター公開

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