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Aurora

仕事に忙殺されて触れる余裕さえなくなっていた「好きなこと」

母に必要のない気を遣って隠し続けた「好きなこと」

本を読むこと、歌うこと、文章を書くこと、他にもたくさんあるけれど、

その時、私の心の中に強く溢れていたこと。

BUMP OF CHICKENの曲に触れたい

ずっと押さえつけていたものがなくなって、一気に溢れ出したような感覚だった。

その年に彼らがツアーをしていたことも、このとき知った。

もっと早く、自分の好きなものを大切に出来ていたらな。

もっと早く、母とこんな関係を築けていたらな。

そんな気持ちにもなったけれど、これからそうしていけば良いんだ。

そう思えるようになっていた。

その年のツアー名は「Aurora Ark」

天体の事を今でも好きなんだ、なんて少し嬉しく思った。

彼らの曲を聴く余裕がなくなってしまった時期の曲から、順番に聴いていこう、と思っていたけれど、

「Aurora Arc」のジャケットに目を奪われた。

そして気付けば「Aurora」のMVを再生していた。

その時の気持ちは言葉では表すことが出来ない。

10秒。藤くんの声が聞こえてたった10秒。

歌詞の意味が身体に入ってきた瞬間に涙が溢れた。


もうきっとたぶん大丈夫
どこが痛いか分かったからね
自分で涙拾えたら いつか魔法に変えられる

ー出典:「Aurora」/作詞作曲:藤原基央

なぜ好きな人に対して嫌悪感を抱くのか、

なぜ母親に対して過剰に気を遣ってしまうのか、

原因も分からず、対処法も分からずもがき続けた。

誰にも理解してもらえなくて、苦しくて、悲しくて。

でも、ひとつずつひとつずつ、痛みの原因を探して、それを受け取って。

どんなに痛くても、苦しくても、自分でやるしかなくて。

どうして私は普通じゃないんだろう、なんで他人と違うんだろう。

「普通になりたいだけなのに」

何度も泣いて、何度も諦めかけて、最低なこともした。

でも、そうやって一つ一つ自分の気持ちを拾ってきたからこそ、

諦めずに変わろうと動き続けたからこそ、

今、魔法のような暖かい気持ちでここにいる。

途切れることなく歌詞が身体に入ってくる度に、涙がこぼれた。

一つ一つの言葉、全てが、まるで自分に向けて唄ってくれているようで。

この3年の頑張りを、ずっと見ていてくれたような気持ちになって。

気付けば聴き終えるまで、ずっと泣いていた。

この曲はきっと、曲を作って、リスナーの皆に届けるときのことを唄っているんだと思う。

でもあの時は、あの時だけは「Aurora」は私のための歌だった。

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