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引っ越しと断捨離とアプリケーションのモダナイゼーション

「モノ、多いっすね〜!」

日本からフィリピンへの引っ越しに当日、ざっと初見した後に引っ越し屋さんのリーダーが発した開口一番のコメントです。


日本の住まいからフィリピンへ引っ越しするにあたり、多くのモノは倉庫へ搬出し、必要最小限のモノをフィリピンへ輸送する事にしました。
赴任期間は二年の予定。その間、日本の家は定期借家契約で貸し出します。フィリピンのコンドミニアムの家賃や恐ろしく高いインターナショナルスクールの学費を少しでも賄おうという算段です。

しかし、家族5人+1匹の物量たるや、そう一筋縄ではいきませんでした。
引っ越しに向けて色々なモノを処分し身軽にしたつもりでしたが、全くもって焼け石に水だったようで、結局トラック二台にぎっしり。そのうち一台にいたっては、搬出作業の半ばくらいで引越屋さんも入りきらないと判断し、大型のトラックに入れ替えたほどです。朝から始まり午前中には終わるはずの搬出作業も、お昼を挟んでようやく終了。「さすが職人!」と感動すら覚えた引越屋さんの手際の良さをもってしても、この有り様だったのでした。。。

いやぁ、、、本当に疲れました。
そもそもフィリピンの労働許可の申請手続きが遅れに遅れ、予定よりも遅く帰国したのが痛かった。結果、引越し当日の直前まで、荷造りは妻一人でほぼ対応することに。そのため私が担当のオーディオ機器やネットワーク機器の配線等の撤去、私の私物の荷造りはまるっとできていませんでした。搬出前日は徹夜に近い突貫作業で対応したのでした。
腕は腱鞘炎で腫れ、首の筋を痛めて物理的にも首が回らなくなり、重い荷物の上げ下げで腰痛も、、、と、満身創痍で何とか乗り切った感じ。直前まで子どもたちの荷物を含め膨大な量の荷造りをこなした妻には、この先ずっと頭が上がりませんね。

なぜこんなにモノが増えてしまったのでしょうか。
大好きな小説や漫画を単行本で持っていたい。
思い出の品々は捨てずにいたい。
キャンプ道具や山道具、その他趣味の道具達も色々揃えたい。
バイクもある。車もある。。。
そう、恥を忍んでお伝えすると、私はモノが大好きなのです。
できればぜ〜んぶ、フィリピンに持っていきたい。(笑)

でも、今回の引っ越しを通じて、つくづく「極力モノをもたない」ことの利便性を強く感じました。いや、わかっちゃいるのですけど、ね。
当然、フィリピン生活中もモノへのこだわりや執着心を捨て、ミニマルな生活を心がけなければ、、、と思う今日此の頃です。


はて、そういえば、最近似たような話しを仕事の最中にしたような。
そう、あるお客様の長年かけて作り込んできたホストシステム(基幹システム)のアプリケーション・モダナイゼーションの案件相談時でした。
長年かけて作り込んできたホストシステム(基幹システム)のアプリケーション資産(=モノ)は、なかなか割り切って捨てたり作り変えたりすることができないお客様が多いのです。「日本のお客様あるある」の、システムへの「こだわり」です。世界に目を向ければ、パッケージ製品を最大限活用して効率的にシステムを導入・運用している中、日本では、このカスタムメイドで作り込んできた仕組みこそが「差別化」の要素であり「競争力」である、と考える傾向が強いようです。
確かに、ある側面ではその通りでしょう。一方で、そのこだわりが故に、長い目で見た時に、グローバルの中では競争力を削ぐ原因になっている可能性があることにも目を向ける必要があるようです。そんな思い入れのある「こだわり」のシステムであればあるほど、安易に捨てることができずに積み上げていくことになる。そして、捨てるべき時に捨てることができずにいると、捨てたい時に捨てることもできないジレンマに陥ってしまうことがあるからです。

結果、、、
グローバルスタンダードではないカスタムメイドの固有のシステムであるが故に、対応できる人材が集まらない。
新しい仕組みに作り変えたくても、現行システムの膨大なプログラム資産を移行することができない。
そして、高コスト体質になる。
老朽化していくシステムに支えられた事業の継続性にリスクが伴う。
などなど。。。

グローバルスタンダードに則ることが必ずしも全てにおいて正解ではありません。効率性の追求だけが解ではないと思います。一方で、グローバルスタンダードの潮流から外れる事の影響の大きさを見誤ると大変です。固有のシステムや機能に「こだわる」のであればこだわるなりに、それらが「大きな投資を伴っても本当に必要なモノで、持ち続けるべきモノである」のだと、断固たる覚悟を持つ必要があるわけです。

裏を返すと「こだわりを捨てる」「執着しない」、すなわち不断の「断捨離」にも覚悟をもって取り組むことが、システムの引っ越しにおいても転勤時の引っ越しにおいても言わずもがな重要な鍵であるということかと思います。



閑話休題


そんな訳で、ドタバタの引越し作業を無事乗り切り、2024年3月末、晴れて家族5人+1匹で揃って新天地マニラへ降り立ったのでした。
(マニラへの移動当日、搭乗する便の乗客の最後の一人になるなどすったもんだのドラマがあったのですが、これはまた別のお話。。。)

ではでは、今日はこの辺で。
Bahala na! (なんくるないさ!)


愛犬の六(ハチならぬ、ロク♪)の送り出し。
無事に着きますように!!