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【詩】ぱりんの日

国道246号線 高架沿いのアスファルト
狭い郵便局と看板のはげたケーキ屋の間
ちいさな窪み 道の傷 アスファルト色の雨が溜まる

冬の朝、ついに氷になる
この地区ではめずらしいけど 氷だよ。
急ぎ足のみなさん、氷ですね。

自分の靴の裏側を、とっくり見る人なんていないよね。
靴の裏っていうのは、むしゃくしゃさせる物の影を
踏むためにあるのだし。

氷かな?
氷ですか?
キミ、氷?
男の子が立ち止まる
氷だと確かめたくて割ってみる 
今年さいしょでさいごの氷 惜しげもなく、ぱりん。

(あのね、惜しげもなくって言うのはね、
♪ さくら さくら ♪ 春の野山はさくら なのはな ものの花 ♪
36色クレヨンの風  肺の底までたらふく吸わせてくれるのを
言うのさ。まあ、いいけど)

氷にあいた穴 覗いてみようか
アスファルト色の幾千もの破片 汚れた闇を落ちていく
彼らは雨となり 霧の蜷局をまき 海流の山脈を隆起させ
サバンナの夏へ乗り上げる

熱くてやりきれない象 耳でからだを扇ぐ風は
美しくも青黒い 暗雲
イカヅチを秘めた 大陸を呼ぶ





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[あとがき]
今年の冬は、とても寒かったし、長かったです。
(日本全国、寒かったようで、大雪の地域の方は大変です)
でも、天気予報によると、いよいよ暖かくなるらしいですよ。
ということで、冬物を掲載する最後の機会だ、と
この詩をアップしました。





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