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オンライン演劇「今夜はオンライン飲み会デス2」

狂気のサイコキラー曽根がオーナーである唯一無二の時間を提供する魅惑のバーXYZ。その曽根がまさかの復活をはたして、戦慄のオンライン飲み会が再び。


オンライン版は終了しましたが、この後にドラマ版が控えているため、物語の展開の本筋からは出来るだけ触れないようにはしておりますが、ネタバレ要素も含んでおりますので、そんなものは見たくなーーーいと思われる方は、そのままご退出くださいますよう。自己責任で何卒よろ。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★












我々観客に与えられた大切な役割は「選択」。

もちろん人間は運命を妨げることはできないけれど、他人の人生を選択で変えるという役割は傍観者でありながらも当事者となる。

第一作目のドラマ版のラストが衝撃的だったのを踏まえての今回への繋がり。まさに導入部分の最初からまさかで始まる。

選択によっていろんな分岐でストーリーが変わっていくというものはよくあります。

一作目はある目的でオンライン飲み会に集められた5人男女。

観客である我々の「選択」は軽ーい気持ちで直感で選択できる類のものではなく。

その自分の選択一つで、その中の一人の命を断つというものでした。なので初めて参加したときは、「選択」するという行為への躊躇いがすごくて。

その続編となる今回、一体どんな風になるのかと思っていたけれど、前回のシチュエーションを更にバージョンアップされたものになっていた。

一つ前回とは異なる大きな部分が用意されていた。

それは今回集められた人間は自分たちと同じ側であるということ。

今回オンライン飲み会に参加し、集められた人間たちは、曽根からゲームを持ちかけられて「選択」を行う。

それは、ある部屋に仕掛けられた二人の人物の一部始終、二人のやり取りを覗き見をしながら、今から一時間後この二人のどちらかが命を落すのを、どちらを助けるのか選択しなければいけないというものであった。

それは選択というよりかはジャッジ。いわばどちらを助けるのかの弁護人、そしてその様子を観ている我々観客は陪審員という役割を与えられたのだ。

前回は我々観ている側が、たった1つの選択にてそれが、その後、即誰かの命を落とす引き金となるという苦しみを生じるものであった。

しかし今回は選択のその1回では決まらずに、二人の会話のやり取りや弁護を見ながら、2回目の投票で結果が決まるというチャンスがあること、

そして自分たちとの間にジャッジせねばならない苦悩する人間がいることで、自分たちがこのオンライン飲み会の一部始終を最前で参加しているという物語の役割が濃くなり、命のやり取りを、当事者になるという感覚が麻痺し、より傍観者でいられるということが強まる。

そういう部分も人間って怖いところデス。

見ている側は選択を求められる時以外にチャット機能で参加することも出来、初日の回ではコメントが単にちゃかすものだったり、ストーリー展開を予想したものを書いたり、いろんなKYっぷりが酷く。正直、物語を傍観者がぶち壊してた。

でも2回目観た時は、その傍観者たちが傍観者である物語の一つとなるようなコメントであって。それもストーリー上での役割として考えられた意図的なピースにはまっていた。チャット機能を使用する側のセンスや質にも大きく作用される諸刃の剣だなと感じた。

今回この忌まわしいオンライン飲み会に集められた人間たちも、ただ単に選ばれたわけではもちろんなく。

暴かれていく過去。人間の欲や醜い部分がさらけ出され。登場人物たちのクズっぷりが次々と露呈されていく。 

その彼らも最初から、そういった部分が見えるわけではなく、善良な普通の人間の皮を被っているが、彼らが決して特別でなく誰もが裏の部分を持っている。

今回はマルチエンディングでなんと選択によって用意されたエンディングは4パターン。

初日と千秋楽と2公演観ることが出来たのですが、やはり舞台というのは生でもオンラインでも、回を重ねる毎にその役への熱量が増したり、最初感じた印象や伝わるものが違ってくることで「選択」がおのずと変わる。

1回目観たときは、あるキャラクターのクズっぷりが強烈すぎて、これはこのキャラクターが生き残るパターンは皆無では、なんて思っていたら、2回目観たときは、違うキャラクターの狂気がさらにえげつなく救いがないものに感じられ、まさかの選択変に繋がったり。

2回観れたことで運良く真逆の選択ルートを辿ることができたので、一度だけでは知り得なかった情報や感情でより物語への深みを感じることが出来て良かった。

何度も物語の中で色んな登場人物たちが口に出す「同じ穴のムジナ」というワードがずしんと心に大きくのし掛かる。

今回の役者陣もモンスター級の素晴らしい役者揃いだった。9月に3週に渡って放送されるドラマ版も同じキャスト陣で挑まれ、また今回のオンライン版とは違うエンディングが用意されてるとのことで、また再び衝撃を体験できることが楽しみデス😈


【観劇日】8月10日(初日舞台)22時開演 、8月13日(千秋楽)22時公演

【出演者】曽根:西郷豊  門田ゆりか:水崎綾女  松中太:中尾暢樹  ムネリン:白石拓也  佐々木正義:矢野ぺぺ  小久保未来:能條愛未  



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