佐和子

18年胸に秘めていた思いを書く。
あなたと心のなかででも共に過ごし、故に自分は痛く、辛く、無力感を抱えそれでもあなたと共に世に出した息子を誠心誠意育てた。

あなたが子供を産めなかった体だったかもしれないことをつい最近になって気づくことが出来た。
それでもあなたとの子育てを夢に見て、たとえ心のなかに抱えきれない何かを持ち続けながらも、暮らした環境では一人の時間に少しでもしてみたいことを思いつくままに行動し、どうにか切り抜け仕事をやめようとしたときに促され子供とのために10年間、子供と向き合い、自分と向き合い、あなたと向き合い、共に悩めたら、共に育てられたらと常に思っていた。

あなたとなら悠長なことで悩み、とても子育てをあなたと上手く出来たかはわからない2人、3人と自分は子供を育てたかったろうし、そのたびに苦労をかけたかもしれない。

昔気質で自分はあなたを専業主婦にして、家を守ってほしかった。
そして自分は仕事を精一杯して、子育てもろくにしないろくでなし親父になりいつかは離婚もされていたかもしれない。

心のあなたを亡くした自分は子供のことをいつも見ていて、あんな失敗はもう二度としないと固く誓い、子供と自分に対して決して失敗しないように万全に万全を配し、今社会情勢が混乱していても、そういった想定外の事態も加味した上で、子供を現代の成人年齢18歳まで育てた。

子供自体は悩むことはあっても、二人のこの様に素直でとても育てやすい子でなんとかなったよ、ただあの子は自分にとってはとても苦手なことをする子でただ自分の作ったご飯を食べ、言いつけを守り、学校も休まず、習い事も楽しみ、そして自分に似て目立ちたがり屋、これからも心配事は尽きない。

今ここまで来て思う。これからあの子が生きていく上で何ができるのか。
自分のお母さんに会いたいだろうし、だから会いに連れて行くよ。
あの子が少しショックを受けるかもしれない、けど確かにあなたが産んでくれた子で自分が育てた子。
もしかして自分がみたら入れ物だけになってしまっていて自分はまた悲しみにくれるかもしれない、けれど自分はまた自分の幸せを願えるかな。

あなたみたいな子を見たときに、いつか気づいてしまったんだ。
元々時折現れるような少し生まれに対してなにか特別な子だったんだね。

自分みたいなどこにでもいるような、努力しか能のないそんな人間でもあなたと共に時間をすごせてよかった。
それでも、あなたをおいていくかもしれないけど自分は生きていく。

綺麗事でもなくただ単純に自分の子育ての上での役割を終え、そしてあなたに息子は会うだろう、そのときにあの子の確かな成長に気づいてくれると嬉しい。

もう時間は戻らない、けれどいつか夢見ていたあなたとの時間は無かった。
これからなんてわからない、けど自分は今少しづつ生まれ始めた夢に向かって自分は生きていく。

一度離れもう交わることはない道に、最初の相手があなたで良かった。
やっと素直になれる。
愛なんてあなたに自分が感じるべきではなかったんだね、少しあなたが持っていた自分で行動することが出来ずしたいこともあまり良くわからない。
動物園にも、旅行にも、子供が好きで保育士になりたかったことも、楽しい経験も、自分はあなたに与えるばかりだった。

最後まで責務を果たし自分は自分の人生を生きるよ。
もう心にあなたは居ない、これで自分は良かったと言えるのか、と考えてもしなにか与えられたならあなたとの出会いでは自分があなたに時間を与えるものだったのかもしれない。
一度言ってくれたよね、「人生を変えてしまうかもしれない」変わったにせよその後の選択は自分で選んだ。

これからも少しゆっくり自分のことを考える時間をもらえる。
奪いはしなかった、あなたらしい。
心のなかででも共に歩んでくれてよかった。

自分の人生をこれから生きるね。