本当の空/短歌のある日々
世の中には良い作品と呼ばれるものでも、ニ種類に分かれると思う。
ひとつは誰が見ても良い作品だとわかるもの、もうひとつは目が肥えた人や玄人が評価するもの。短歌でよく聞くのは、石川啄木の是非。キャッチーで素人にもわかりやすい作品が多いが、プロの歌人からするとちょっとフクザツな気にさせるような。どちらが良い悪いではなく、とにかくニ種類あるとだけ。
その意味で、冒頭の短歌は間違いなく前者だろう。何の番組も流れていない画面に本当の空が映っている。今まで映していたものが偽物であったことを示しているが、そこに嫌味はない。
笹井宏之という歌人の作品のほとんどは、玄人好みするものだ。言葉遣いはわかりやすいが、ぱっとみて何を示しているかわかりにくいものも多い。そんな中にふとこのような作品が紛れているのだから、本当に才能があったのだろうことが素人目にもわかる。
手放しで良い短歌と言いたい。
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