『物語』/400字エッセイ
『嘘みたいな本当の話』という本の中に、たった一行の作品が出てくる。
これを読んだとき、物語の考え方が大きく揺さぶられた。たったの一行、起承転結の「起」しかないのに抜群のおもしろさ。その根幹には、このエピソードが事実であるという前提がある。
こちらは短歌。事実かどうか明らかにされているわけではないが、この作品が存在すること自体が事実らしさを感じさせる。この短歌のおもしろさはもうひとつ、言わずと知れた有名短歌のパロディになっていることである。
物語の本質は、事実であるかどうかではなく、そこに事実らしさがあるかどうかではないだろうか。
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