システムに対するささやかな抵抗―短歌で表現された日常のズレ
建物のあちこちで見かける赤いアレ。確かに「強く押す」と書いてあるが、弱く押せば大丈夫というわけではない。
火災報知器をそっと押し、ジリジリ鳴り響くなか佇んでいる人物の姿が浮かんでくる。「え、僕のせいですか」とでも言い出しかねないこの人。社会システムに対する反抗と言うほど大きなことではないが、やっちゃいけないことをしたくなることは誰だってある。
歌集『サイレンと犀』には、システムに対する「おどけ」とでも言うべき歌がこの歌の前後に並んで収められている。
これはインスタを意識