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牧師を辞めて
牧師を辞めて1年が過ぎた。
僕の信仰がどうなったかというと特別な変化はない。むしろ、自分の信仰がどのようなものなのか輪郭がよりはっきりしたように思う。もちろん牧師をしていた時もそれなりに自分の信仰の輪郭ははっきりしていたけれど、それは「牧師として何を伝えたいか」という点での輪郭であって、「キリスト者(信仰に生きる者)として何を求めているか」という点での輪郭ではなかったように思う。
そんなことを考えていたら、牧師をしていた時というのは随分一方的だったんじゃないかと思えてくる。何かを押し付けようなんて気持ちはなかったし、純粋に聖書の教えの素晴らしさを伝えようとしていたはずだし、何かを求めて教会に来る方たちの求めに応えたいという思いがあってのことだったけれど、本当にそれが出来ていたかを振り返ると出来ていたとは思えない。
ぶっちゃけ聞いてみたいのは、教会に行っている方たちは本当に教会で何かが満たされているのだろうか?ということ。地域のサークルとかお友達の集まり以上の何かが得られているのだろうか?どれくらいのキリスト者が教会で信仰が満たされた思いを持っているのだろうか?
牧師を辞めてあちこちの教会に足を運んだけれども、そこで何かが満たされたということはなかった。断言するけれども、僕は一人のキリスト者となって教会で満たされたことはない。もちろん牧師をしていたからそういう点では少しばかり見ているところ、聞いているポイントなんかが違うかもしれないけれど、そうだとしても何も響くものがなかった。
信仰というのは、人それぞれだと思う。誰もが同じであるとは思わないし、同じである必要はないと思っている。だから教会に対して求めるものが違っても良いと思う。なんだか安心するからとか、なんとなく行かないと落ち着かないとか、アカデミックな興味で行っているとか、習慣だとか、色々あって良いと思う。
でも、行く側はそうであったとしても、教会は伝えるべきものを伝える場所であるはずだし、どんなに多岐にわたる求めがあったとしても福音の真理の持つ普遍性は時代を超えるほどバシッと誰にでも伝わるものであるはずだと思う。それに触れたいと思って、牧師を辞めて、一人のキリスト者として改めて新鮮な気持ちで教会に足を運んでみたけれども何も得られなかった。
これまでの僕のnoteの記事はどちらかというとキリスト教に対してネガティブな記事が多いと思う。今までのようにこれからのキリスト教に期待しているからというのが半分、期待が外れてガッカリしているからというのが半分だからというのが正直なところ。
でも、牧師を辞めて、教会にも行かなくなって、別の仕事をして、そうして日常から教会が遠くなって(信仰そのものは自分の内にしっかりあります)、やっぱりキリスト教という宗教自体はなくならないとしても、教会という組織はなくなるだろうなぁという思いは変わらないことに改めて気が付いた。
今、新型コロナによって世界が変化している。ニュースを見ていると経済活動がどうだこうだとやっているけれど、その中で、新しい事業形態を見出して売上げを伸ばしている会社やお店があるということもボチボチ目にする。時代に翻弄されながらも新しいことを始めている人たちがいる。そのような中で教会はどうなのだろうか?
僕の所にはもうあまりキリスト教関係のお知らせとかお手紙なんかは届かなくなっている(どこに住んでいるかを組織に伝えていないからだけど)。だから現在教会はどんなことをしているのかは個人的なつながりでしか知ることが出来ない。他にはインターネットで動画配信やSNSなどで情報発信しているものを目にする。でも、その内容を見て思うのは、いまだにのん気なことをしているんだなぁということ。
新型コロナで礼拝などの集会をしていないという教会が一定数あると思う。新型コロナ禍で営業自粛やお客さんが来なくなった飲食店のように教会も営業自粛しているのだと思うけれど、動画配信やSNSだけではない新しい何かを生み出すべく知恵を絞っているのだろうか?少なくとも僕にはそれは見えないし聞こえて来ない。
これからどうなっていくのか注目している。
僕は牧師を辞めて良かったと心底思っている。新しい仕事をしながら自分の信仰を大切にして生きていることに幸せを感じている。僕の信仰の根幹にあるのは「自由」だから、牧師をしていた時もそれなりに感じていたけれど、今は自分の信仰の自由さがはっきり分かって良かったと思っている。神さまと自分の関係がよりはっきりと豊かなものになっていることを日々感じている。
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