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体育科の学び

こんばんは。

今日は久しぶりの講義がありました。


今学期は1週間に3コマ+ゼミ2つ


という、とても時間に余裕がある学期です。


いかにも大学生らしいですね。



せっかくなので、今日受けた授業にから学んだ事を書いていこうかなと思います。



今日は体育科の教科教育法の授業でした。


初回のため、オリエンテーションがあり

一年間で取り組んでいく事は、

自分自身での実践の在り方を考える事

という事が大テーマでした。

そこでの大きな論点として


"子供の立場から"学習指導について考える


という事でした。


この子供の立場を考えていない学習指導というのは、


バレーは三段攻撃がなければ成り立たない


4月は徹底的に集団行動だけやる


というような、授業者の信念のみで授業を作り、

授業の言葉を借りるならば


学習者不在の学習計画


というものが、子供の立場を見ていない授業という扱いでした。



そもそも、学校体育の大きな狙いという上で、


国民の誰もが、それぞれの体力や年齢、技術、興味・目的に応じて、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会を実現する。

というものがあります。

スポーツというのは、イギリスで生まれた近代スポーツから生まれたもので、

狭い定義では競技スポーツ(チャンピオンスポーツ)
→人生をそのスポーツにかける等、多くの事を犠牲にして勝つことや記録を目指していくスポーツ


広い定義では生涯スポーツ
(レクリエーション・ウォーキング・ラジオ体操なども含まれる)
→楽しむことや、健康維持など様々な目的のもと生涯にわたってスポーツに取り組むこと。ここで押さえておきたいのは、ラグビーやサッカーなどの全てのスポーツは生涯スポーツであるという事ですよね。中保1で学んだ内容です。


というように分けられるそうです。
そして、現代の学校体育で目指していくものはもちろん後者の方です。

その中で、実際に三段攻撃が成立する事はない例が多いにもかかわらず、そこを無理やり目指していくことや、

集団行動のみをやらせるなどの学習者に学びがない事をやらせる事は

果たしてその狙いに沿っているのか?


というのが授業の冒頭部分でした。


こういう事例がなくならない事が(学習者不在の授業設計をしている事が)

小学校では人気No.1の体育が、歳を重ねることにより専門家から教わっているにも関わらず、人気がなくなっている1つの原因であるという話もありました。


次に、スポ少のバレー大会や、サッカーW杯の日本vsポーランドの事例を使い


そのような事例についてどう考えるか


という話がありました。



その中で、

スポーツは勝つ為にやるものだから仕方ない事である


という意見があったという話があり、


もし仮にそうならば、

スポーツは勝つ為にやるものである


という共通認識のもと行われるならば


教育の場にスポーツは持ち込まれなくなっていく

という事でした。


なぜなら今行われているスポーツの中には


勝つ事を目的としないスポーツ


が数多く存在するからです。



競技スポーツ・生涯スポーツ


においても、生涯スポーツに取り組む人の方が圧倒的に多いという話もありました。


また、


勝つ為に行うスポーツには多くの問題がある


という事で、

ドーピング・暴力・監督が絶対だ


などの勝利至上主義から生まれてしまう考え方から起こる問題が起きやすいという事でした。


これでは教育の場に持ち込まれなくなっていく理由もわかります。



また、日本代表が行なった事について、良し悪しを語る上で、


スポーツは勝つ為にやるもの


という発言は、ただの自分の信念や経験にすぎない


という事を言っていました。


私はとても共感すると共に、私もよくこういう考えを持ってしまうとも思いました。


自分の意見・経験・信念を用いる事は悪い事ではないし、あっても良いが、それがそのまま専門家の発言として自分が扱う、という事はあって良いのか?大学でわざわざ専攻して学んでいる事がそれで良いのか?


という話がありました。

その中で、
例えばサッカー部の中にも体育科意外の人がいます。

その体育科ではない人と同じ視点でサッカーを語っていては、僕が大学で体育学を学んでいる意味がないという事です。学校体育でのサッカーや、サッカー部の指導において、体育を専門的に学んでいる考え方、学問知識を盛り込まなければこの4年間は全く意味ないよ

という事でした。

私は考えたことも無かったですが、確かにそうですよね。
普通に考えて、体育を学んできたサッカー部の顧問よりも、英語専攻してきて競技としてサッカーを続けてきた顧問の方が、


よく勉強してきているんだな


と思われやすい気がします。


そのほかの教科を学んでいる人にはない、より深い考え方が出来なければならないという事です、


なかなかハードルが高いですね笑


要するに、

自分の経験や信念は専門家の発言・実践の根拠にはならない


という事です。



また、ドイツの研究者Ommo Grupe氏の
Sport als kultur

という本を紹介され、

その中で、


スポーツの場面で達成向上を目指す事
それ自体が自己の向上を目指して努力していく事なのである
スポーツ場面において達成向上を目指す事は
人間として「向上」を目指す事なのである
よって他人に打ち勝つことや記録を打ち立てる事は
比べれば2次的なものとみなされるべきである


という事を紹介された。

これば体育教育でもっておかなければならない考え方であることも伝えられた。


私はすごく良い考え方だなと思い、

筑波大学の

ドイツの「スポーツ科」にみる 脱近代スポーツ種目主義への移行過程の研究

という研究の中の

Gropeにみる運動の意味論


というのも読んでみた。


その中で

運動というのは2重の意味を持っている。

1)運動は日常生活の限定された一部分である。当然、そこに限界があるにせよ、それは多 様で、しかも変容する意義(Bedeutung)を備えた現実だといえる。

2)私たちは、私の運動行為を用いて、または、それを通して私の現実を経験し、それを構 築していく。運動は、経験をもたらす媒体であると同時に経験を構成する道具でもある。

という事が書いてあった。


また、運動の意味は大きく4つあり、

1)道具的意味(die instrumentelle Bedeutung)
2)探究的意味(die explorierend-erkundende Bedeutung)
3)社会的意味(die soziale Bedeutung)
4)人格的意味(die personale Bedutung)

に分けられるようだった。

また、こんどはスポーツの意味は6点に整理され、

1)身体の経験と自己の人格の経験、
2) 健康と安寧
3)興奮と緊張
4)他人との結びつき
5)モノの経験及び自然との関わり・美意識とドラマ性
6)プレイ性

以上の6点に整理されるようだった。


運動とスポーツについての分け方と分けた後の解説については詳しく書いてあり、


僕の能力ではここにまとめる事が出来ないので

興味がある人は読んでみてください。



最後に先生はドイツの例を挙げて、

自然科学と人文社会学について言っていました。


東ドイツでは、競技スポーツが盛んであった過去があり、勝利至上主義の考え方から自然科学の学問が発展した(ドーピングなど)


一方で西ドイツではナチスに支配され、人間ではないような行為をさせられたような過去を反省し、
人文社会学の学問が発展した(その頂点がGropeである)


という説明があった。


学問はその環境によって生まれ方が違うのだなという事を再認識した。





いろいろ書いてきたが、私はこの講義の中で一番大事だと思った事は、

専門家としての意見を述べたければ、

自分の信念や経験を頼りにせずに

実証されてきた研究や、国、社会としての事実をもとに物事を考えていかなければならない



という事であったように感じる。


自分の経験の中に「学問研究」のメスが入れば、それはひっくり返ってしまう。スポーツでは自然科学に頼りがちである



という最後の言葉が全てだったと思う。




私は教育実習を経て、自分で授業を行なったが、

いざ、もう一度学習者となって授業に参加すると
やはり色々なことが見えてきて楽しかった。


コマ数は少ないものの、多くの事が学べる気がしている。

一回一回の授業を大切にして秋学期を過ごしたいと思う。

時間があれば、Ommo Grope氏について書かれた事について今後少し書きたいと思います。

あまり発信してきませんでしたが、大学ではこういう事を学んでいるんです。



参考 
ドイツの「スポーツ科」にみる 脱近代スポーツ種目主義への移行過程の研究 - NRW 学習指導要領を中心に-

平成28年度
岡出美則 筑波大学

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