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伊那市ダブル選用【ファクト考察 人口減少問題とは?③】

というわけで前回の続きから(前回は上記リンクです)。
今日は、実は「行政職員の大半が答えられない」人口減少の本質に迫ってみたいと思います。

☆歳入(税収)減少は本当に「人口減」だけが理由なのか?

僕がこの国の行政が持つ感覚でトップランクに駄目だな思うのは「歳入(税収)が減るから人を増やさないといけない」という理屈がいの一番に出てくることです。

「いやいや、1970年くらいから人口減るってわかってたことを何十年も先送りして、何の対策も政策もうってこなかったよね。しかも狭い国土で人口増えすぎたら大変!なんて議論までしてたよね」

という突っ込みをまず入れたいです。
そのうえで歳入(税収)の話なんですけれど、歳入を増やして、国民も幸せになる方法は、国民の所得(手取り)を増やすことなんですよ。

これ具体的になんかやってきましたっけ? むしろ、この国はもう成長しないから国民に負担してもらうしかない的なポジションにいませんか?

だから景気に左右される所得税や法人税ではなくて、景気関係なくむしりとれる消費税を増やしたいんですよね?

と(実際、昨年の歳入では消費税収が所得税収を上回りましたし、現在の日本国民における税負担率は5割弱まで増加。江戸時代の五公五民がリアルになってきた)。つまり、皆さんが守っている何かは「行政という自分たちの職場とその給与(天下り先)の維持なのでは?」と私達がそう受け取らざるをえない行動や状況が続いてしまっている・・わけです。

というところで大脱線前に話を戻しますが、理屈上は人口が減る以上のペースで個々の所得が上がれば、歳入の問題はひとまず解決するわけです。

その為に行政は、怖くても減税して、規制も減らして、時代に適した新しい事業や産業が伸びるスペースをあける方がいいですよ!ということでもあります。

なので、公務員の本当の仕事は、その地域に住む人々がよく食べ、よく飲み、よく笑えるように。その為に地域の人々のお財布が少しでも増えるように関わっていくこと、出来ることをやっていくこと

それが Public Servant の姿であるはず。
国の中核たる人々が自分たちの国やそこで働く人々を信じないで、ただ現状維持を決め込んだから、私たちの国は30年間も停滞してしまったとも感じます。みんながサラリーマンで、同じように働き、同じように給与所得から天引きされて財政があるのなら生産人口減はイコールで歳入減になりますが、現実の世の中はもっと多様な人が多様な働き方、暮らし方をしています。

そのリアルを彼らはまず知る必要がある・とも指摘できそうです。

☆人口減少における本当の目標とは?

【市町村に一般病院が80%以上の確率で立地するためには、27500人以上の人口規模が必要、50%以上の確率で立地するためには5500人以上の規模が必要である】

というわけで、国交省資料によるこの一文。
本当はお役所の歳入(税収)の話なんかではなくて、こっちこそが共有すべき問題であり、皆が知っておくべき知識でしょうという話です。

小売・飲食・娯楽・医療機関等の私たちの暮らしに欠かせないサービスは、どうしても一定規模以上の人口を必要としますので、その数字目安こそ大切な指標になると考えます。

ちなみに Starbucks Coffee が80%以上の確率で立地するためには 275000人以上の人口規模が必要、50%以上の確率で立地するためには 175000人以上の規模が必要となっています。長野県で上伊那にスタバがあって、下伊那にないというのは、経済人口圏として見たときにこの数字で説明できるとも言えるでしょう。ちなみにマクドナルド等のハンバーガーチェーンだと約5万人~3万人とハードルは一気に下がります。

☆要はやる地域かやらない地域かということ

そこでまた前回も書いた【大目的】ですが、若い民達に対して

【必要な収支バランスと十分な時間と幸せなパートナーシップを持つ】

環境を作れるか? という行政課題こそが「人口減少問題」の本質なわけです。行政自らが向き合い、解決しなければいけない課題を民草や経営者達に丸投げして「自己責任で子供を産めよ、増やせよ」とかいう無理ゲーをして「民間が勝手に解決してくれたら一番いいのに」(←マジでこれ言った公務員います)はいかんわけです。

なので、必要な収入がある人が多い東京で出生率が圧倒的に低い状況になるのは、支出自体も大きいことや、何よりも時間が不足していること。保育問題のような不足している夫婦の時間をさらに奪うような行政の失策がこれでもかと積み重なっているからです。

この点で地方の出生率がより高いのは、それこそ上記3点のバランスが東京より良いからと言えるでしょう。とはいえ、暫定目標の 1.80 には程遠いところが殆どですから、地方や地域は今こそより収入を向上させたり、時間所得を向上させたりという工夫。いわゆる政策が必要とされているし、それをやるかやらないかが、まさに未来への分かれ道になっているわけです。

当然、これらは「具体的に何をやるか?」「その根拠は何か?」という両輪が示されていなければ机上の空論、絵にかいた餅に過ぎません。財源やその為になにを捨てるのかといった政策をきちんと立てられない人に投票しても、それはリスクでしかないということです。

2009年の民主党政権で起こったこと(*1)を私たちは教訓としていかなければならないと言えるでしょう。

昔は言うだけ言って公務員に丸投げで良かったかもしれませんが、今はそうではない。これからの政治家に求められるのは、人柄第一であることはもちろん、そのうえで具体化し、公務員達のリーダーとして彼らを育て実行する力と人脈。政治の条件はこの国の難局に伴い、そのハードルは確実にあがってきているのです。

(*1)2010年度予算編成で財源確保が難航。マニフェスト(政権公約)の柱の一つだったガソリン税の暫定税率撤廃が見送られた(振り返ってもこれマジで痛い)うえに、子ども手当や高校無償化などを盛り込んだ結果、一般会計総額は初めて90兆円を突破。予算の組み替えや無駄削減で2013年度までに16.8兆円の財源を捻出するとしていたマニフェストは陥落し、国民からの信用も崩落していった。

というわけで次回でこのテーマはいったん終わりたいと頑張ります!

*今回のおススメ







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