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日々の雑感 day65【読解力という日本人の弱点】

問:必要な情報がどのWebサイトに記載されているか探し出す
問:情報の質と信憑性を評価し、自分ならどうするか根拠を示して説明する

この二つの問いは、PISA2018でOECD諸国の子供達平均より日本の子供達の正答率が低い顕著な「問い」として示されたものです。

もちろん、こういう話があるとすぐに「今の子供達は~」と言い出す親世代、爺世代がいるんですが、これは今の子供達だけに特別に起こっている課題ではなくて、もはや日本の伝統的ともいえる「弱点」です。

つまり、爺世代から親世代と受け継がれ、その親が無自覚に育てたゆえにこういう状況がさらに継続されているという事。上の世代はPISAによる世界水準の評価とか受けていないだけです。

例えば昨今見られたワクチンに関するデマや陰謀論、はたまたエビデンスのないお告げや占いレベルの話しを本気で拡散しているいい大人達こそ、上記の典型的な悪い見本として皆さんにも思い当たることが多いでしょう。

☆読解力の弱さとは

このPISA2018ではこうした結果分析から、今の子供達に対する課題として「読解力」があげられたことは、比較的よく知られているところです。

で、親世代や教師世代は子供達に対して「読解力」が低い要因を「ゲーム」「漫画」ばかりだから・・と思い込んで対応するのは、極めて表面的な反応であり、本質から外れた対応と言えそうです。ゲーム禁止条例とかつくってしまうような大人達こそ実は読解力に欠けていて、やはり、

・必要な情報がどのWebサイトに記載されているか探し出す力
・情報の質と信憑性を評価し、自分ならどうするか根拠を示して説明する力

に不足している典型的な事例とも言えるでしょう。
だってそもそもなんですが、OECDが規定する「読解力」とは何か?という前提を理解していない大人、教師達が多すぎるからこういう行動をしてしまうのです。OECDでは「読解力」を

自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、社会に参加する為にテキストを理解し、利用し、熟考し、これに取り組むこと

と明記しています。同じくデータ的にもまったくスマホを使わない、使う事が許されない子供達は、依存症のようになっている子供と同じくらい成績が悪化する事も示されています。

こうしたデータの原点にあたることなく、子供達の「読解力」を単純に文章を「読み解くスキル」と認知し、指導をしてしまうと本当の意味での「読解力」が身につかない事は火を見るより明らかなわけです。

この視点からは、大人社会で「本をたくさん読んでいるから自分には読解力がある」とか「マニアックに作品を批評したり、批判する事で自分は出来ている」とか主張する大人達もOECDの定義からは読解力のないグループに属している人の方が多い・・という事もあわせて指摘出来そうですね。

☆主体性というキーワード

というのも、上記読解力の定義を考えれば「主体性」と「行動GOAL」とその過程による「自己成長」が明確に示されていると言えるからです。

このあたりは今の時代をとても表現していると言えて、先の見えない時代という今を生きるために、行動し、成長し進んでいく。その為の「読解力」であるということなんですね。

日本人のとても悪い癖でこうした自分の人生、ライフスタイル、価値観といったコアな部分をよりよく変化させ、育んでいくことに紐づけるのではなくて、スキル習得という「目標を目的化してしまう」ことで、はっきり言えば時間を無駄にしてしまう。成長しない、身につかないその場限りのタスク処理を繰り返してしまい、生産性が良くならないという悪循環に陥ってしまいます。

先日も某所でお話をしましたが、今の大人。親や先生方には「なぜ学ぶのか?」という問いに子供を納得させる答えを持つ事が求められています。

今までの日本は「義務」「服従」という圧力や態度で子供や部下と言った上下関係の下を無理やりねじふせるようにやらせて来ましたが、こうした文化や習慣がこの国からどんどんと主体性を奪っていってしまったわけです。

どうして英語をやるのか? どうして数学をやるのか?

きちんと説明できる大人として私達は応えられる人でしょうか?

☆国語の授業に見る課題とは?

PISAのデータを見ても、日本の学校の授業は子供達がとても従順で、教室が荒れていない事が分かります。OECD平均を0指標にした時にプラス 0.8 と図抜けた数字を示しています。

一方で、先生からきちんと支援を受けたという生徒の実感の値はOECD各国の平均とほぼ同等。そして先生からフィードバックを受けているという数値では一気に平均以下のマイナス 0.5 程度まで落ち込んでしまいます。

これは生徒が授業を通じて教師から「自分の長所」や「自分の改善点」を伝えてもらっていない・・という事実を指し示しています

☆方向性

かくしてですが、これは子供の世界も大人の世界も同様で、私達、日本人は

・個別化(一人一人の個性を理解し、それぞれにあった方法の提案)が出来ない指導者に囲まれている

・つまり個別化の為の観察力や共感力が不足している

・伝える為の表現力、コミュニケーション力も不足している

・けれど、それを出来ていると思い込んでいる人が多い

という国内環境に置かれているとも言えます。

そして、ここからが大切。そんな環境だから「諦める」というのはいかにも後ろ向きですし、少なくとも今の日本で自分の人生を他人に委ねるというのも賢明ではないでしょう。

この状況を受容したうえで、今の自分をより一歩前に進めるために出来る事。それを大人として実行する事。そのことこそが、もっとも大切なアクションとなります。

リー・アンジェラ・ダックワースはTEDで「子供のGRIDを育む為にもっとも重要な事の一つが、子供の身近な大人であるあなた自身がGRIDのロールモデルであること」と述べていました。

まさにで、そんなよきお手本としての大人になる為に今日の一歩、明日の一歩をより良く積み重ねていきたいものです。







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