見出し画像

【第二十二場A…地球一周旅行】

《E氏→アンアッピというネーミングは想像がつかないぞ。あっけないシーンだ》

《s...元からあった話を大変更しました。アンアッピはunhappy由来です。幸せになれば、アッピになります》


 大きな島が現れました。イマワノクニの何百倍もありそうな島です。でも、ちょっと勢いをつけすぎたみたいです。
『ヒャッホー!』
 この星を一周回ってしまいました。朝になって、お昼になって、夜になって。海って広いんですね。思い出の国々は、思ったより小さくて、びっくりしました。イマワノクニなんて、本当に小さい島でした。
 そして、また朝になりました。最初に見た大きな島が出てきたので、おじさんは、脚を伸ばして着陸することにしました。そうそう、ここまで大きいと島とは言わないで、大陸と言うそうですよ。
 まだかなりスピードが出ていたので、止めるのが大変です。ちょうど、砂漠でしたので、脚が砂深くめり込みました。なんとか無事に着陸成功です。ちょっと怖かったけれど、今までで一番ワクワクしました。


 また二人旅の始まりです。またまた砂漠です。詩人さんとキリット大統領たちの修行は、うまくいっているのでしょうか。旅というのは、出逢いと別れの繰り返しなのですね。急にふたりになって、わたしは、さみしいという気持ちを知りました。初めはふたりだけだったので、元に戻っただけなのに、心っておもしろいです。

【第二十二場AA…イマワノクニ】

 詩人さんとキリット大統領は、いさんで進みました。道案内は黄色いカラスがしてくれますので心配ありません。幸いイマワノクニは水の豊富な国でしたし、食べ物は、山で採った木の実がありましたので、何とか飢えをしのげました。しかし、二人は、言葉に苦労しました。背が低く、平べったい顔をしたイマワノクニの人々の話す言葉が、さっぱりわかりません。向こうも、こちらの言葉がわかりませんので、
「オニダ! オニダ!」
 と言って石を投げてきます。何を言っているのかわかりませんが、これでは、近づくこともできず、術を学ぶなんてとんでもありません。二人が困っていると、北東の方でピカッと光りました。
『きっと何かあるに違いない』
 そう思った二人は、一目散にその方向へと歩きはじめました。さっそく、黄色いカラスが道案内しはじめます。
 フヤマ県に入ると、山の上で光っているのが見えました。ここまで来ると疲れもふっとびます。二人はせっせと山を登りはじめました。
山の途中には、怪しげな男たちを何人か見かけました。二人があいさつしても、何も言いません。じろりとにらむだけです。
 ようやく頂上にたどり着きますと、古い木の鳥居がありまして、そこをくぐると茅葺きの社がありました。そこにも怪しげな男がひとりしゃがんでいて、二人をじっとにらみます。二人があいさつしても、やはり返事はありません。その男は黙って右手を上げて二本指を立てました。すると、
「やめろ! おまえごときが術をかけてもムダじゃ!」
 社の扉が開いて現れたのは、イマワノクニの王様に仕えていたモンゼン・ラミ太郎というおじいさんでした。キリット大統領のようなほりの深い顔をしています。おじいさんがそう言うと、怪しげな男は手を下ろしました。彼は、足止めの術をかけて、二人を動かなくしようとしていたのです。
「待ってましたぞ。思っていたより、ずいぶんお若いようですな」
 おじいさんが、気安く声をかけてきたので、二人はほっとしました。怪しげな男たちは、おじいさんの元部下である弟子たちでした。

【第二十二場AAA…モンゼン・ラミ太郎】

 モンゼン・ラミ太郎は、イマワノクニの王様の側近で、王様が迷われた時の相談役でした。彼は天の声を聴くことができ、彼の言う通りにしていれば、国は安泰だったのです。やがて、仕えていた先代の王様が亡くなり、息子が新しい王様になりました。この王様は、何かと意見に反対するこの相談役を快く思わなかったのです。そして、ついにラミ太郎を反逆罪で牢に入れてしまいました。
 ある夜、格子の窓から、二つの流れ星が見えました。居ても立ってもいられなくなったラミ太郎は、牢から逃げ出します。ラミ太郎には彼のことを心から慕っている部下たちが五人おり、彼らも同行しました。一行は流れ星の落ちた方角を目指します。そして、山の上に鳥居を立て、社(やしろ)を造り、ひたすら待ったのです。

【第二十二場B…アンアッピ登場】

 太陽がじりじりして、砂は熱々、おじさんは、わたしに日が当たらないようにして、植木鉢に水をかけてくれています。すると、
「おいっ!」
 と、うしろから声がしました。ロバに乗った少年です。
「その水、おれに飲ませろ!」
 おじさんが右腕を伸ばして、じょうろを差し出すと、少年はグビグビっと全部飲んでしまいました。
「アリガトウ」
 そう言ったのは、おじさんです。
「あーうめえ! おまえ、どこでこの水、手に入れた?」
 少年は、お礼も言わずに訊いてきます。それでも、おじさんは、
「アリガトウ」
 としか答えません。
「だーかーらー、その水どこで手に入れたかって聞いてんの!」
「アリガトウ」
「何言ってんだ? 子どもだと思ってナメてると承知しないぞ!」
「アリガトウ」
「わけわかんないな! 他に何か持ってないのか?」
「アリガトウ」
「じじい、頭わるいんじゃないの?」
 そう言って少年は、パシッとおじさんの頭をたたきました。それでも、おじさんは、
「アリガトウ」
「バーカ!」
 少年は、アッカンベーをして去っていきましたが、おじさんは、また、
「アリガトウ」
 おじさんは、少年のあとを追うように歩き出しました。長旅で疲れているのに、おじさんは休まずに歩きます。でも相当疲れているのでしょう。あまりにゆっくり進むので、ロバの少年にも追いつけません。夜になって、やっと山の麓に着いたと思ったら、ゆっくり倒れるようにして、おじさんは眠ってしまいました。

サポートありがとうございます。ほかの方へのサポートに回させていただきます。さらに、あなたからいただいたお力で『ありがとう星人 りんごの種』『ありがとう星人 詩人の自信』『ありがとう星人 裸になれた王様』『ありがとう星人vs.ドクダミシイ』など、絵本出版につなげさせていただきます。