『か・い・こ』

詩人として歩きだしたはずのぼくは、臆病なまま生きている。

だから、正直なふりをした臆病ピエロのまま。

ひとつの詩も書かずに、気がついたら六十年も経っていた。

「ほう、おまえ、なかなかやるじゃないか。わしなんか、もう三千年経ったぞ。誰も助けずに救世主やっておる」

二人の親友に続いて、同居していた103歳の伯母が亡くなった。

この三人の自分なりの弔いが終わったら、退屈なさなぎごっこは、もうやめだ。

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