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【第二十八場…生まれ変わったカスベガス】


《E氏→水を得た魚になったというたとえもある。伏線の回収ができてホッと安心した》

 おじさんは、ありったけの地下水を吸い上げて破裂したのでした。黄色い水が、サーカスのお客さんたちばかりか、カスベガス中の人たちに降りかかります。みるみる、みんなの顔が変わってきました。生きてる人間の顔です。
「ワーー!」
 大歓声がわいています。子どもの親たちは、わが子を抱き寄せて喜びました。やっと本当の親子に戻れたのです。アンアッピはわたしの植木鉢より小さくなったおじさんを拾い上げました。そして、
「ゴメン…」
 とつぶやきました。おじさんは、小さな声で、
「アリガトウ」

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 アンアッピの目は、まっ赤っかです。
「ごめんなさい!」
「アリガトウ」
「本当にごめんなさい」
「アリガトウ」
 ふと気づくと、アンアッピは誰かにだきしめられていました。

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「あっ… かあさん…」
 アンアッピのおかあさんは、黄色い顔で、ニッコリほほえむと、また小さくなっていきました。

 アンアッピは、わたしを植木鉢から出すと、ありがとう星人のおじさんと一緒に古井戸のそばに埋めてくれました。それから毎日毎日、周りの草を抜いたり、水をくれたり、わたしのお世話をしてくれたのです。

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